農共改革と郵政民営化

こんにちは
和歌山県の林元政子です。

身内がお米を作っております。
その関連で農協、農家さんと接点が多くあります。

小泉進次郎氏がお米の値段を下げる救世主のように連日報じられていますね。

先日、農協を組合から株式会社化される可能性についてのLIVE配信をさせて頂きましたところ、多くのコメントを頂きました。

私が、

今回の米価格高騰に絡める形で
農協改革派の小泉進次郎氏を大臣に据える政権与党の方針と、

農協を悪者として報じる
最近のメディアキャンペーンについて
危機感を募らせ発信している根拠を
まとめたいと思います。

小泉進次郎氏が農林水産大臣に就任されました。

農協版総合商社と呼ばれる全農(全国農業協同組合連合会)の株式会社化を推進する方であり、
(2016年10月31日付のWedge ONLINEの記事)

「農林中金はいらない」と述べて来られた方です。

小泉進次郎氏がこれまで取り組んでこられた
「農業改革」について、
またこれから行う可能性の高い改革について、

「郵政民営化と同じことを農協でやろうとしている」

とLIVEの中で発信させて頂きました。

これはどういう意味かを中心に説明します。


◽️背景:小泉進次郎氏と農業改革

小泉進次郎氏は、自民党の「農林部会長」(2015年頃)や「農業改革推進議員連盟」などで中心的な役割を担い、日本の農業改革を推進されてきました。

彼の農業改革の主張は、
以下のような問題意識に基づいています。

• 農業が高齢化・担い手不足に直面している。

• 農協(JA)が既得権益化し、農家のためというよりも「組織の維持」が目的になっている。

• JA全中(全国農業協同組合中央会)が上からの統制を行っており、現場(個々の農家)の自由や競争を妨げている。

こうした課題を解決するために、
小泉氏は構造改革を提唱しました。

◽️郵政民営化との共通点:何を「同じように」やろうとしたのか。

郵政民営化(2000年代・小泉純一郎内閣)のポイント
• 郵便局は民間と競争せずに守られていた。
• 利用者よりも組織(郵政官僚や天下り)の都合が優先されていた。
• 小泉純一郎氏は「民間でできることは民間で」と主張し、郵便局の三事業(郵便・貯金・保険)を分離・民営化した。

農協改革との共通構造

• 「JA全中(中央会)」の権限剥奪:JA全中は全国のJAを監督する立場にあり、地方の農協に対して実質的な支配力を持っていた。小泉進次郎氏は、この中央集権的な仕組みが農家の自由な経営や創意工夫を妨げていると批判しました。

 → 郵政民営化における「郵政公社本体の解体」に相当

• 農協の株式会社参入や競争の促進:農協による農産物販売や融資における独占的立場を見直し、株式会社などの民間参入を促進し、農業に競争原理を導入しようとした。
 → 郵便・貯金・保険を市場に開放したことに相当

• 農協の「農業以外の活動(共済や金融)」への依存の是正:農協が本来の農業支援ではなく、共済(保険)や金融業務に傾斜していることを問題視し、農業に集中するよう求めた
 → 郵便局の「本来業務」への立ち返りと似た構図


具体的に小泉進次郎氏が主導・支援した改革内容

1. JA全中の監査権限の剥奪(2015年法改正)
• JA全中が持っていた農協に対する「指導・監査権限」を廃止
• 農協は、より地域や個別の事情に合った運営が可能に

2. 株式会社の農業参入の支援
• 企業の農地取得の規制緩和
• 流通や販売でも農協以外の選択肢を拡大

3. 農協改革のロードマップ策定
• 「農協改革の3年計画」など、期限付きの改革実行

評価された点
• 農協の閉鎖性や既得権を打破しようとした姿勢
• 若手政治家としてタブーに挑戦したリーダーシップ

批判された点
• 現場の農家の混乱
• 農協側との対立を深め現実的な協調的改革が進まなかったところ
• 改革後、農家の所得や競争力が向上したとは言いがたい

郵政 vs 農協の本質的な類似点

小泉進次郎氏の農協改革は、父・小泉純一郎氏の「郵政民営化」と非常に構造が似ています。

本質的には
国内の巨大な金融資産を、グローバル資本(とくに外資)が管理・運用に関与しやすくするための制度改革」とも読み取れる側面があると氣付きます。

◽️郵政民営化と外資の関与
• 郵政民営化によって、郵貯(ゆうちょ銀行)と簡保(かんぽ生命)が民営化・株式会社化されました。
• 郵貯と簡保が持っていた350兆円を超える金融資産は、かつては「国民の財産」であり、比較的保守的に運用されていました(多くが国債など)。
• 民営化によって、これらの資産の運用先が多様化し、外資系の投資銀行・保険会社・ファンドなどが運用のアドバイザーや受益者になれる構図が生まれました。

アフラックの事例
• アフラック(米国系保険会社)は、かんぽ生命と業務提携を行い、日本郵便の販売チャネルを通じて保険商品を販売。

• 「日本郵便の窓口で外資系保険が売られる」状況は、郵政民営化によって外資の販路を広げた結果と捉えることができます。

◽️小泉進次郎氏の農協改革と外資との関係

農協(JA)もまた「巨大な金融資産を保有」
• 全国の農協は、農家の信用事業(貯金・融資)や共済(保険)などを通じて、100兆円以上の資金を動かしている金融機関でもあります。
• その中核を担っているのが「JAバンク」や「JA共済連」などです。
• これまでは、全中や全農などを通じて国内で閉じた運用をしてきました。

小泉進次郎氏の改革の方向性

1. JA全中の権限剥奪
• 全中による中央集権的な統制を廃止し、「自主自立」を促すという名目で、金融・保険・流通におけるガバナンスを分散。
• これは、地方JAや農業関連の資産管理のガードが緩くなることを意味します。

2. 株式会社や外部企業の参入促進
• 農産物流通や農地経営、金融サービスなどの分野に、外部企業(場合によっては外資)も参入できるようにする。
• 実際、農業分野へのファンド投資や、農業関連の外資系IT企業の参入が拡大しています。

3. 農業の「企業化・市場化」
• 農協による「農家のための仕組み」を縮小し、「農業は経済合理性で行うべき」という方向へ。
• 結果として、農協の資産・チャネルが外部資本(とくにグローバル資本)にとってアクセス可能な状態に近づきます。

◽️外資系企業の参入事例

郵政民営化とアフラックの提携

郵政民営化により、日本郵政は米国の保険大手アフラックと提携を拡大しました。2013年には業務提携を結び、2018年には資本関係に基づく戦略提携に合意しました。これにより、アフラックのがん保険が全国約2万の郵便局で販売されるようになり、日本郵政はアフラック・インコーポレーテッドの株式約7%を取得しました 。   

農協改革と外資の農業参入

農協改革により、外資系企業の日本農業市場への参入が進んでいます。例えば、中国資本が出資する農業法人が日本の農地約26万平方メートルを取得した事例があります 。また、米国の農業ロビー団体は、日本の農協が市場競争を阻害していると指摘し、農協の解体を求めています 。  

外国資本が議決権を有する法人による取得事例
場所:愛媛県西条市
• 時期:2017年以降、継続的に取得
• 取得面積:累計で十数ヘクタール(具体的な面積は明示されていません)
• 出資比率:香港の企業が49%を出資
• 農地の利用目的:キウイフルーツの生産 

政治的ロビー活動の比較

郵政民営化における米国のロビー活動

郵政民営化に際して、米国政府や金融業界は、日本の郵政市場への参入機会を求めてロビー活動を展開しました。米国通商代表部(USTR)は、日本政府に対し、外国企業の参入機会の拡大を要請し、アメリカの金融業界も市場機会を狙って積極的に働きかけを行いました 。 

農協改革における外資の影響

農協改革においても、外資系団体の影響が見られます。在日米国商工会議所(ACCJ)は、JAグループの組織改革に関する意見書を公表し、農協の信用・共済事業を一般の金融機関と同等の規制に置くべきと提案しました 。また、米国の農業ロビー団体は、日本の農協が市場競争を阻害していると指摘し、農協の解体を求めています 。  

これらの事例から、郵政民営化と農協改革は、外資系企業の参入や政治的ロビー活動を通じて、日本の金融・農業市場の構造に大きな影響を与えていることがわかります。特に、外資の参入が進むことで、国内の既存組織や制度が変革を迫られる状況が生まれています。

◽️結論

小泉進次郎氏の農協改革の方向性は、
「JAという国内の巨大な資産・インフラを持つ組織を分解し、資本市場・外資が関与できる構造に変える」

という点で、父・小泉純一郎の郵政民営化と本質的に同じ構造を持っています。

「農業の自由化」
「民間の活力導入」
「既得権打破」
といった美名の裏で、

実質的には、農協の資金と農家の取引基盤が外資の手に渡りやすくなる構図が生まれているという見方ができるわけです。

長文お読み頂きありがとうございます。

以上のことから
農協は組合のまま維持すべきと考えます。
郵政も再国営化すべしと考えます。

皆様はいかがですか。

私は2人の子供を授かり子育てしつつ、在宅医療の会社を運営して21年の看護師です。 比較的元気な方には心身のリハビリテーションを、人生の最終章を迎え生を閉じる時が近づいた方には、最期の時間を出来るだけ穏やかに、納得して過ごして頂くために伴走するお仕事です。 延命治療が本人の意思確認不十分な中でも当たり前に行われる日本の終末期医療の現状と海外の医療の違いに違和感を抱き、「病気は予防が大切」と発信して参りました。 2018年、後に参政党の結党にも繋がる學びのコミュニティと、それを主催する神谷代表にご縁を頂き今の活動に至ります。 参政党で1番に地域支部が立ち上がったのが和歌山です。 日本人と私たちの国家は存続の危機にあると考えております。 「次世代により良い日本を残す」ため、行き過ぎたお金の支配と政治と国民の分断に終止符を打ち、自立した主権者として學び行動する国民運動の力で、日本人ファーストな政治を和歌山から拡げて行きます。 時代の転換点です。 一緒にオセロをひっくり返しましょう!

林元 政子
和歌山県国政改革委員
和歌山県支部連合会