「公共サービス」のそもそもの目的と意義とは?
宮城県は、全国で初めて水道民営化を実施した県です。
「民営化」と言っても水道事業まるまる民間に売却したのではなく、行政が公共施設などの資産を保有したまま、民間企業に運営権を売却・委託する「コンセッション方式」が取られています。
水道管とか給水ネットワークを民間が買いとるのは、自然災害が起きた時のリスクが高すぎるわけです。だから、水道ネットワークは地方自治体が行って、水道施設運営事業は民間が担当します。
これって、どうなんだろうと思います。美味しいとこだけ民間に行ってませんか?
日本の美味しい水を販売して収益は得たいが、水道システムのメンテナンスとか修理とかリスクは取りたくない、という風に見えなくもありません。
また、独占事業体が好きなように値段を上げていき、すべての国民の生活に欠かせない水という貴重で不可欠な資源が手に届かなくなったら大変なことです。
本当にこの方式で宮城県は潤うのでしょうか?コスト削減できるのでしょうか?突発的な災害があった時はどうするのでしょう?水道事業に精通している職員がいなくなったらどうやって管理するのでしょう?そうなったら満足のいく水質を本当に維持し続けられるのでしょうか。
あと一つ大きな懸念点は、外資が参入しているという点です。宮城は「みずむすびサービスみやぎ」というグループが事業を受託したのですが、この新会社の議決権株式の51%をヴェオリア(フランスの会社)が所有しています。つまり今後の水道事業の運営方針は外資によって左右されてしまう。安全保障の観点からも経済面からも大問題だと思います。
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日本では「民営化」っていう言葉に「効率化」「コスト削減できる」というふわっとしたイメージがあると思うのですが、そもそも水道事業ってなんで今まで公営事業だったのかを思い出す必要があるでしょう。
公営である意味って何でしょう?
- サービスに継続性がある。
- 質が一定する
- 利益度外視しても国民が生きていくのに必要なサービスをみんなが受けられるようにしましょう。料金が上がったり下がったり極端に変動しない。
- みんながそのサービスにアクセスできる。それを基盤として住民の生活が可能になる。
事業を吟味するときに、これは公営の方が向いている事業なのか、民間でもいけるのかをまず考えないといけないでしょう。
上記のリストを見る時に、私は水道事業は公営の方が適している事業だと考えます。実際、世界では水道事業の民営化で失敗しているケースは多く、37カ国235都市で再公営化しています。
とはいえ、民営化されちゃいましたから、まずは、適正な料金、安全な水質が担保されているか監視していきたいと思います。
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さて、ここで4病院再編のことを少し考えてみましょう。
今回の4病院は県立病院、つまり公営病院ですよね。
私は、4病院再編は「反対!!」とまでは行かないかもしれませんが、まだまだ話し合いと調整が必要で、場合によっては撤回が必要だと考えています。
病院の老朽化が進んでいる、将来の街のあり方や人口の変化も鑑みた上で建て直す必要があるのは理解しますが、移転と統合案が極端すぎるように感じます。これでは、病院が長年かけて構築してきた近隣医療機関等の連携が崩れてしまいます。現地再建もしくは別の形での同地域内移転は本当にできないのでしょうか。話し合いがまだまだ必要であると考える。
公営病院であることのメリットって何でしょう?
- サービスに継続性がある。
- 質が一定する
- 利益度外視しても国民が生きていくのに必要なサービスをみんなが受けられるようにしましょう。料金が上がったり下がったり極端に変動しない。
- みんながそのサービスにアクセスできる。それを基盤として住民の生活が可能になる。
果たして今回の4病院再編は上記の目的を達成しえるものなのでしょうか。
1970年生まれ、茨城県結城市出身。米オレゴン州立大学国際学・社会学卒 業。キリスト教牧師。モザンビークに5年間駐在し、子供育成プログラムマネジャーを務める。現在も「Hands of Love」という団体を立ち上げ、アフリカでの幼稚園、職業訓練、農業指導に関わっている。また、15年にわたって高校で性教育講演会を行うなど、さまざまな形で教育に関わってきた。
ローレンス綾子
宮城県議会議員候補 青葉選挙区宮城県連