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2024.02.29

我が国に設置された孔子学院に関する質問主意書

 令和6年2月28日付で下記の通り質問主意書を提出しました。
政府からの答弁があった際には、こちらに掲載いたします。
 
『我が国に設置された孔子学院に関する質問主意書』
 

 私は、「我が国に設置された孔子学院に関する再質問主意書」(第二百十一回国会質問第八八号)を提出し、答弁書(内閣参質二一一第八八号。以下「本件答弁書」という。)の送付を受けた。
 
 孔子学院を巡る問題については、国会質問や質問主意書で取り上げられた際、注目を集めるものの、政府は問題への抜本的な対策を講じずに現在に至っている。しかしながら、孔子学院の不透明性や、中国政府の宣伝工作拠点となっているとの懸念、「国家情報法」や「国防動員法」との関連性などの課題や懸念は依然として残っている。
 
 国外では、孔子学院の閉鎖が続いている。米国では、米国内に約百あった孔子学院が五以下に減少した。我が国では、福山大学で孔子学院の撤退が決定されたとのことであるが、立命館大学、桜美林大学、北陸大学、愛知大学、立命館アジア太平洋大学、札幌大学、大阪産業大学、岡山商科大学、早稲田大学、関西外国語大学、武蔵野大学及び山梨学院大学には設置された状態である。
 
 かかる状況を踏まえて、政府の対応策につき、以下質問する。
 

 本件答弁書によれば、孔子学院の「運営の透明性を確保する必要があると考え、…その運営に関する情報を公開するよう働きかけ」「「孔子学院」を設置する各学校法人の動向を注視」するということであった。これを踏まえて、孔子学院の運営透明性を高めるために、具体的にどのような情報公開の働きかけが行われたか。また、これまでに開示された主な情報の内容と、政府が新たに把握した情報は何か。

 

 米国上院国土安全保障・政府問題委員会の報告によれば、孔子学院の問題点として、「中国政府による多大な資金提供、中国政府が孔子学院の予算・教育内容・人事の全てを管理、孔子学院の教職員が中国の国益擁護を誓約、孔子学院と大学との契約内容を非公開」が挙げられている。これらの問題点について、政府はどのように対応しているか。また、以下の点について情報の把握や開示が行われているか。

 

1 設置費用や運営費等が大学の負担であるか否か

2 中国政府から大学への資金提供の有無とその額

3 孔子学院の予算・教育内容・人事に対する中国政府の管理の程度

4 孔子学院の教職員が中国の国益擁護を誓約しているか否か

5 孔子学院と大学との契約内容

 

 答弁書(内閣参質二一一第六三号)によれば、「「孔子学院」は、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校、同法第百二十四条に規定する専修学校及び同法第百三十四条第一項に規定する各種学校のいずれにも該当しないと考えられることから、同法においてその設置に係る手続は定められておらず、そのほかにも、その設置について規律する法令があるとは承知していない。」とのことである。これにより、孔子学院の設置や運営に対して政府の直接的な関与がないことがわかる。政府は、累次の答弁を通じて、孔子学院の設置や運営の適正性を確保するために適切な関与を行わないのかとの趣旨の質問に対して、毎回質問の内容が明らかでないとして誠実な答弁を避けている。
 
 この点、前述した問題提起を踏まえれば、孔子学院が日本の大学内に設置されることは、大学の自治はもちろん、日本の安全保障に対する懸念も呼び起こす。政府は、孔子学院の設置や運営に関して、適切な監督や関与を検討しているか。また、政府は、孔子学院の活動が日本の教育の自由や安全保障に与える影響についてどのような評価をしているか。

 

 本件答弁書によれば、「学校法人が「孔子学院」を設置することにより当該学校法人が設置する学校の教育研究活動に支障が生じている場合や、設置された「孔子学院」の活動に法令違反があると認められる場合には、適切に対処してまいりたい」とのことである。政府はこれらの状況をどのように把握し、監視を行っているか。

 

 中国の「国防動員法」は、「満十八歳から満六十歳までの男性公民及び満十八歳から満五十五歳までの女性公民は、国防勤務を担わなければならない」と規定し、外国在住の中国人も「国防勤務」を免除されていない。また、「国家情報法」では、一般の組織や国民に国家が行う情報工作活動への協力義務が課されており、これは中国国内の中国人に限らず、海外在住の中国人にも適用される。これらの法律により、日本国内の中国の組織や中国籍の個人が情報活動を含む特定の行動を行うことが想定されており、特に我が国の大学内に設置された孔子学院において、これらの法律が組織や所属する中国籍保有者に中国の利益のための行動を義務付けている可能性について懸念がある。
 
 この背景を踏まえ、政府は孔子学院及びそのスタッフが中国の法律に従って行動することにより日本の安全保障や教育の自由に及ぼす可能性がある影響についてどのように評価しているか。さらに、政府はこれらの潜在的な影響に対してどのような監視体制を構築し、どのような対応策を講じるか。

 

 本件答弁書によれば、「「孔子学院と同様の機関」が小学校、中学校又は高等学校に設置されているかどうかについては、今後実態把握を行う考え」とのことであった。その後の実態把握の進捗状況、実態把握で判明した内容如何。

 
 右質問する。

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