2024.03.15
【国会 3/12】 国際保健規則の改正は国会で審議を
令和6年3月12日、神谷宗幣 参議院議員が
財政金融委員会で国会質疑を行いました。
訴えたのは主に以下の4点です。
●財政健全化目標の見直しを
●ウクライナ支援金のチェックと追加支援の抑制を
●少子化対策の本気度が伝わる予算額を
●国際保健規則の改正は国会で審議を
動画はコチラから視聴できます。
https://www.youtube.com/watch?v=GfpBuL6MPUU
「国・地方のプライマリーバランスを2025年度に黒字化する」
鈴木財務大臣の所信表明に対し、神谷議員は、
1年での実現は非常に難しいと見解を述べた上で、
「プライマリーバランス黒字化が財政健全化だ」
というそもそもの捉え方の見直しを求めました。
財政健全性の指標を
『GDPに対する政府債務残高』から
『GDPに対する政府純利払費』へシフトすべきという主張が、
近年、海外の主流経済学者の中にあります。
※「政府純利払費」とは、海外から借りているお金に支払う利息の総額。
『GDPに対する政府債務残高』という従来の指標では…
日本はG7で最もデフォルトリスクが高い国で財政状況は不安定、
だからさらなる増税が必要だと議論が進んでしまう。
『GDPに対する政府純利払費』という指標を用いると…
日本はカナダに次いで2番目に低い水準であり、
海外への金利支払いがショートしない限り財政破綻しないのだから、
国民負担率 約5割という重税状態から国民を解放するのも可能
だという考えができる。
しかし、財政健全性指標の変更と
プライマリーバランス黒字化目標の見直し
について問われた鈴木財務大臣の見解は、
「慎重な検討が必要である」というものでした。
プライマリーバランス黒字化、
これによる債務残高対GDP費の安定的引き下げは、
政府の裁量で一定程度コントロールできる要素を含み、
歳出・歳入の両面における政府の努力が反映される。
対して「政府純利払費」は、
金利という市場動向に左右され、
政府の裁量でコントロールすることができない。
そう説明しつつ他方、
国民負担率上昇の抑制については重要な論点であるとして、
「まずは行財政改革を徹底して安易に国民負担に頼らない」
という政府の方針を述べました。
この答弁を受け神谷議員は、
指標を1つに絞るのではなく、
複数の多角的な指標でトータルで考え、
国民に経済情勢を示すよう要望しました。
そしてその先に見えてくる消費税の凍結、
これを一定期間でもできれば、
国民全員の賃金を10%上げたのと
同じような経済効果があるはず。
政府が促進する「賃上げ」は中小企業には難しく、
まずは減税を通して経済を活性化させ、
結果として自然な賃上げと税収増加を目指すべき。
財政健全性指標の変更と
プライマリーバランス黒字化目標の見直しは、
財政健全化を目指す上で避けては通れない課題である
と検討を促しました。
「ウクライナ支援を引き続き進めていきたい」
所信表明でのこうした言葉に対し、
神谷議員は異議を唱えました。
どれほどの金額を援助してきたのか?
来年度はどの程度の支援を予定しているのか?
得られた答弁は、
22年2月以来これまでで約86億ドルと、
24年度の支援として35億ドルで計121億ドル、
日本円にして約1.8兆円。
その半分以上は
世界銀行を通じた信用補完で優先弁済権をもっているため、
返済が滞る可能性は少ないというものでした。
神谷議員は、ウクライナへの支援金が
適切に使われているか疑念が浮上している
という海外の報道に触れ、質問を続けました。
ウクライナの政治家等の私的な収入となっているケース、
アメリカの軍需産業へ流れている可能性…
日本からの支援金はどのように管理監督されているのか?
それに対する答弁は、
国際会議場などでウクライナへ直接伝えるとともに、
世界銀行やユニセフなど国際機関と密接に連携しながら
対応しているというもの。
神谷議員は、能登半島の震災などに触れ、
「他国の人たちを支えるのにも限界がある」
と国民感情を代弁し、
管理監督を改めて求めるとともに
多額な支援金を控えるよう要望しました。
次に神谷議員は少子化対策を切り口に、
日本を壊しつつある様々な政策へ触れていきました。
2023年の子供の出生数は、
年間75.8万人と過去最低で下落の一途を辿っています。
しかし、その対策である
『子ども未来戦略』に基づく『加速化プラン』は、
既存の政策を寄せ集めてそれに少し多めの予算配分した
という程度の3.6兆円規模。
もし、出生率を上げる事ができたハンガリー並みにするなら
30兆円規模になり、これでは全く本気度が感じられない。
そう指摘した上で、次のように提案しました。
諸外国が手を引いていっている脱炭素政策、
遠い海の向こうの国の復興支援、
男女共同参画政策など…
これらを見直せば、数兆円単位の予算を回せるのでは?
人口減少や少子化を食い止める政策の優先順位はどのくらいか?
鈴木財務大臣の回答は、
人口減少問題は最大の戦略課題であり、
3.6兆円はこれまでにない規模である上、
さらに2030年台初頭までに
国の予算または子供1人当たりでみた国の予算の
倍増を目指すというものでした。
加えて、脱炭素政策・ウクライナ支援なども
重要な予算であると述べました。
それを受け神谷議員は、
予算額で優先順位を示すことが国民へのメッセージだとし、
「人口減少を許容し、外国人を受け入れることで維持しようとしている」
「日本を多民族国家にしようとしてるのではないかと感じることもある」
と、現在の政府の方針を問題視しました。
そして、日本の在り方、世界の在り方へも言及し、
「本当の意味での異次元の対策」を強く要望しました。
日本が日本人の国として特色をもって存在すること、
それが世界の多様性を守る。
世界中の国が多民族の混合社会になれば、
多様性はなくなって均質化した社会になってしまう!
多様性を守るためにも、
日本人の人口をこれ以上急激に減らしてはいけない!
最後に神谷議員は、WHOで議論されている
『国際保健規則』改正へ切り込みました。
5月に決議される予定なのに、
未だに改正案が公表されていない。
WHOが法的拘束力のある指示を
各国へ出せる内容が含まれている。
指示が出された場合、財政的な対応も必要になる。
『国際保健規則』改正の問題点をそう整理し、
神谷議員は問いかけました。
『大平三原則』に基づいて国会での議論が必要ではないか?
※『大平三原則』とは、憲法上、
国会の承認が必要とされる国会承認条約の判断基準。
① 法律事項を含む国際約束
② 財政事項を含む国際約束
③ 上記①②を含まなくても、
日本と相手国との間、あるいは国家間一般の
基本的な関係を法的に規定するという意味において
政治的に重要な国際約束であって、
それゆえに発効のために批准が要件とされているもの。
(参照:国会の承認を要する「条約」の範囲 中内康夫(外交防衛委員会調査室)立法と調査2020.11 No.429 参議院常任委員会調査室・特別調査室)
鈴木財務大臣は『大平三原則』を踏まえた上で、
「国際保健規則は既に国会で承認されたWHO憲章に基づく規則である」
として、国会の承認は求められていないとの見解を示しました。
同時に、財政的な影響が生じる場合には、
予算の一部として国会で審議されるものだ
という認識も加えました。
神谷議員はすぐさま反論しました。
WHO憲章が国会で審議され1回認められた
からといって随分と過去のものであり、
これから先の変更全てを白紙委任で認める訳にはいかない。
さらに、議員全体へ向けて
次のように強く呼びかけ、質疑を終えました。
「我々の知らないところで勝手に決まっていました」
そうならないようにこの問題を注目していただきたい!
国会で審議し、広く国民の議論を聞き、
国民の周知のもとで日本が乗るか乗らないか議論できるよう
働きかけていただきたい!
詳細は動画をご視聴下さい。