2024.03.28
【国会 3/22②】 金融・資産運用特区… 外資依存の社会にしない!
令和6年3月22日、
神谷宗幣 参議院議員が財政金融委員会で
午前につづき午後の国会質疑を行いました。
「外資に依存する社会にしない!」
この想いで、金融・資産運用特区について
懸念事項を質問し、問題提起しました。
動画はコチラから視聴できます。
https://youtu.be/sxlZfEUfDyI
神谷議員はまず、金融・資産運用特区について
懸念事項を質問していきました。
『金融・資産運用特区』は、
昨年12月に公表された資産運用立国実現プランの
施策の1つとして創設が予定されています。
この特区をつくる目的は、
国民の資産が預金として停滞している状況を変え、
投資を通じて日本経済の成長を促して国民の資産を増やし、
国内外の資産運用会社を集め海外のお金も入れて
日本の成長企業へ資金供給される環境を作りたいということ。
ここで最優先で考えるのは、
国民の資産を運用して増やすことなのか?
それとも、外国資本を呼び込んで
日本企業への投資を促すことなのか?
神谷議員は政府の見解を問いました。
対する答弁では、
金融・資産運用特区の基本的な説明が前段に語られました。
まずは国民の資産を運用で増やしていくことが目的。
そのためには、投資先となる特区内の企業・産業が
成長しなければいけない。
そして、雇用が生まれ地域の経済社会が活発化する
その過程において、海外の資産運用会社が、
”日本の投資家では十分に提供できないリスク性資金”
の補完としての資金提供を否定するものではない。
こうした説明に続いて、次の回答が得られました。
「国民の資産を増やすことに主眼を置いている」
神谷議員は好意的に受け止めつつ、疑問を投げかけていきました。
各自治体から出された提案は、先の回答と異なり、
「海外の資産運用会社や投資家を呼び込むこと」
が主眼になっている。
仮に成功しても、
企業のサービスや技術が外国へ流れてしまう、
日本にとって重要な資産が外国資本に買収されてしまう、
そんな恐れのあるプランが出ている。
※各自治体の提案書については
「金融・資産運用特区」「提案」「自治体名」で
ネット検索して見ることができます。
特区創設は積極的な ”攻め” の取り組み。
攻める時には ”守り” も同時に考えないといけない。
実際に今、日本の株式や不動産は外資に多く買われている。
日本の主導権や資産を守る具体的な対策はどう考えているのか?
どうやって外資に取られるのを防ぐのか?
神谷議員の質問に対し、得られたのは次の返答。
政策が、金融・資産運用特区における企業・産業を成長させて
雇用を生み地域経済の発展に資するものかどうかは、
地域ごとの経済の状況を踏まえて総合的に検証する必要がある。
各自治体と丁寧に対応しながら検討していきたい。
とても防衛策に対する答えと言えるものではありませんでした。
神谷議員は「甘い考え方は非常に危険」だと、
想定される問題を突き付けました。
かつて ”海外資産の受け入れモデル” とされた
北海道のニセコリゾートの現状。
ホテルもスキー場もほとんど全てが外資に買われてしまっている。
外国人が働きに来て、そこに外国人が遊びに来ている。
日本人がしているのは、雪かきやホテルのベッドメイキング。
まったく日本にお金が落ちていない。
固定資産税等は一部が日本に落ちていても、
その分、地方交付税が減るのでプラスマイナス・ゼロ。
外国人が儲けるために、むしろ日本人が数十億円かけて
上下水道の整備などインフラを整備している。
さらには、マネーロンダリングみたいなことも
起きてしまうかもしれない。
日本人の資産を活かして日本企業を成長させ、
日本に利益を還元したいというのであれば、
本当に特区をつくることで良いのか?
そして、神谷議員は代案を提示していきました。
日本において主要な資産保有者は、高齢者。
ハイリスク・ハイリターンの投資商品を望んでいない。
望むのは、自分が生きている間の安心、子供や孫への相続、
それから出来れば社会貢献への活用。
そこで提案は、政府主導で官営のファンド等をつくり、
高い資産運用スキルをもつファンドマネージャーを雇って
運用してもらうこと。
高齢者の方に出してもらった資金で、
例えば日本の水道事業や電気事業など
インフラ投資に充ててもらう。
これは社会貢献でもあり、
債権の形で渡してその相続税を下げれば、
子供や孫に相続もできる。
スタートアップはリスクが少しあるので、
その分に関しては配当を高める等すれば良い。
もし、ファンドが上手くいかなければ、
外国人の高いスキルをもつファンドマネージャーを連れてくる。
まさにこれは明治時代にやった「お雇い外国人」。
日本人は学ばせてもらい、
出来るようになったら日本人がやれば良い。
これで、活用されていなかった預金資産を動かして
日本経済を成長させ、国民の資産増加と、
日本企業へ資金が供給される環境を整備することが出来る。
企業や社会のインフラが外資に買われるリスクも避けることが出来る。
神谷議員は、この代案への政府の感想を求めました。
その答弁は、金融・資産運用特区について
前述されたのと同様の説明に留まりました。
預金を企業や産業の成長に向けて、
家計が投資に関する果実を享受できるということが目的。
重要なのは、国と地域が共同して企業や産業を育成していくこと。
日本の投資家では十分に提供できないリスク性資金を提供する場合や、
海外とのビジネス展開によって地域経済の発展に資する場合など、
海外資金を否定するものではない。
各自治体からの具体的な施策について、
それぞれの地域の実態を踏まえ自治体と丁寧に対応をしていきたい。
神谷議員は、「目指すところは一緒」だと強調した上で、
「わざわざ外国の投資会社に任せなくても良いのではないか?」
そう疑問を呈し、提示した代案の前向きな検討を求めました。
神谷議員はさらに、金融・資産運用特区について
自治体からあった提案の問題事案へと踏み込みました。
それは大阪の提案「投資家ビザの創設」。
外国人投資家に対し、一定条件下で永住許可を認めるというもの。
特区を通じた投資移民の受け入れを、政府は構想してるのか?
今回の特区に限らず、
将来的に投資移民を受け入れていく可能性はあるのか?
対する答弁では、次のように明言されました。
「政府としては…
一定程度の規模の外国人及びその家族を、
期限を設けることなく受け入れることによって
国家を維持していこうとするいわゆる
『移民政策』をとる考えはございません」
そうしつつも、令和5年6月に閣議決定された
『新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版』
に触れて「投資家向けビザの創設を検討する」と述べ、
東京都及び渋谷区からそうした提案があったことに言及しました。
参考資料:内閣官房HP 新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版
神谷議員は、質疑の終了時間に迫られる中、
なんとか問題を訴えようと早口になりながら、
『投資移民』を受け入れた結果、
中国からたくさんの移民が流入してしまった
海外の事例を紹介しました。
オーストラリアは永住権の発行を停止、
香港は2015年に打ち切った後に再開するものの
中国本土の居住者を除外、
シンガポールでは永住権を取得しても5年毎に審査が必要など
厳しい要件にしている。
お金を出せば永住権をもらえる『投資移民』。
中国は数千万人の富裕層がいて、移民としてたくさん来てしまう。
彼らは不動産をいっぱい買うため、不動産価格が高騰してしまう。
彼らは特定の地域に集中してしまい、様々な衝突が起きてしまう。
こうした失敗事例から学ぶべきことはたくさんある。
経済合理性だけで受けるべきではない。
門戸を開くにしても、要件を厳しくしないといけない。
他の国々の失敗と同じことにならないようにと懸念を伝え、
神谷議員は最後の質問を投げかけました。
特区の内容は、われわれ国会議員が
国会でちゃんと審議させてもらえるのか!?
在留資格を認める他にも、
同性婚を認めるとか、パートナーシップ制度を緩和するとか、
国税を軽減するとか色々な提案があり、
外国人に対してあまりにも優遇が過ぎるのではないか!?
鈴木財務大臣は答えました。
現在、自治体からの規制改革提案などについて検討を進めている。
地域ごとの具体的な取り組みなどを盛り込んだパッケージを
本年6月を目途に策定する方針。
パッケージの策定自体は、国会の議決を要するものではない。
パッケージの内容が地域社会に及ぼしうる影響等に留意しながら、
地域の様々な関係者の意見や疑問に答え検討を進めていく。
「仮に、パッケージに法律改正を要するような
大きな制度変更を盛り込む場合には、当該法律改正について
国会でのご審議をいただくことになります」
神谷議員は、大臣が明言したこの言葉を受け止めた上で、
改めて懸念を伝え質疑を締めくくりました。
「特区を実験的にやることは良いんですけども、
それが抜け穴になって国の制度が大きく変わってしまう
というような事がないように、しっかりと慎重に審議をして、
国益に適った事業を進めていただきたい」
詳細は動画をご視聴下さい。