2024.04.26
追いつかない森林管理の現状|大津力
埼玉県飯能市議会議員の大津力です。
日本における森林面積は約25万平方キロメートルで、これは国土面積の約3分の2に当たります。私の住んでいる埼玉県飯能市は、市面積約200平方キロメートルの4分の3に当たる約150平方キロメートルが森林で、古くから林業がさかんな地域でありました。江戸時代中期から計画的に植林する育成林業が始まり、材木を筏で組んで当時の江戸へ出荷しておりました。
時代は下り、戦後は復興景気による需要の押し上げもあり、飯能の林業は好景気に沸きました。しかし、昭和30年代に入ると、外国からの輸入材に押され、全国的にも林業が低迷するようになりました。
そして、現在は山村の過疎化や林業家の高齢化も進み、林業経営が極めて難しい時代となっております。そのような背景から、飯能市では採算が取れないため放置されてしまっている森林が出てきております。そして、この問題は飯能市だけではなく、全国でも同じような事が起きております。
先日、飯能市の森林を視察致しました。手入れがされていない森林の中に入ると、うっそうとしており、間伐や枝打ちがされていないため、ひょろひょろした幹の細い木が密集し、その細い幹からは枝がたくさん出て、森の中を進むのを困難な状況にしております。そして所々に倒木があり、特に沢に面した斜面では、木が倒れこみ、沢を倒木が覆い被さるようになっている所が多数ありました。
また、森林内には残された間伐材もありました。間伐は本来、搬出するものですが、搬出費用がかさむことから、「切り捨て間伐」と言い、森林内に残すこともあります。このような倒木や間伐材は、景観を損ねるだけではなく、大雨による土砂流出時には、土砂と一緒に流れ出し、下流の橋や家屋等への被害を大きくする危険性をはらんでおります。
後日、この状況を市の森林づくり推進課に相談しに行きました。沢は、県の管理と市の管理に分かれており、それぞれの沢はそれぞれが管理をし、定期的に堆積土砂や倒木の撤去をしているとのことでした。しかしながら、予算の関係で全ての撤去が追い付いていないことも現実でした。
一方、普段は水が流れておらず、大雨の時だけ水が流れる、谷状の地形となっている所は、県や市の管理ではなく、その土地の所有者の管理となるようです。このような場所にも倒木が見られますが、所有者の中には、そのような状況になっていることすら知らない方も多いのではと思われます。と言うのも「山を相続したものの、一度も自分の山に入ったことが無い」という方も多くいると聞いているからです。
このような山を所有者の責任において整備をすることは簡単なことではありません。森林環境譲与税を活用して、自治体が森林所有者の意向を受けて整備をすることもありますが、広大な森林面積を施業する予算も人手も足りません。そして、お金を産み出すことが無く、むしろ管理の義務や、災害時の補償のリスクだけを負うだけの山であれば、少しでもお金になるのであれば、売ってしまいたいと思う所有者の気持ちが沸くのも当然でしょう。
森林でのメガソーラー開発や、盛り土開発などの舞台となっている所の中には、このような背景から開発業者に売ってしまった所も多いのではないでしょうか。また、外国資本による水源地の買い漁りにも、同様な背景があるのではないでしょうか。
このようなことから、所有者自らが管理できない森林は、国が買い上げ、管理をしていくことが、災害防止や安全保障等の国益を守ることに繋がると考えます。まずは、森林の現状を国民に知らせることが重要と考え発信していこうと思います。
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大津 力
Otsu Tsutomu
所属議会
飯能市議会議員(埼玉県)
経歴
昭和46年9月8日埼玉県飯能市生まれ。
埼玉県立所沢高校卒業 駿河台大学経済学部卒業。
平成25年飯能市議会議員当選。父のギャンブルによる借金返済に苦労し、同じように苦しんでいる方を救いたいと思い政治を志す。
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