2024.04.05
戦時下の朝鮮半島出身労働者をめぐる問題に関する質問主意書
令和6年4月4日付で下記の通り質問主意書を提出しました。
政府からの答弁があった際には、こちらに掲載いたします。
『戦時下の朝鮮半島出身労働者をめぐる問題に関する質問主意書』
戦時下の朝鮮半島出身労働者をめぐる問題(以下「本件問題」という。)については、これまでに累次の質問主意書を提出し、答弁の送付を受けた。その中で、日韓両国間の連携を発展・強化すること、及び韓国の理不尽な行為に対しては一寸の譲歩なく筋を通すのが最良の策であることを示した。もとより本件問題は、すでに日韓請求権・経済協力協定において両国間で解決済みである。
それにも関わらず、本件問題に関し、韓国最高裁は、日本企業四社に対する原告の訴えを相次いで認める判決を下し、令和六年二月には、日立造船が韓国での資産の強制執行を防ぐために供託していた約六百七十万円全額が原告側へ支払われた(以下「本件支払い」という。)。原告側はこれを「日本企業による事実上の賠償」ととらえているが、本件支払いは、国際法令上賠償責任のない日本企業への資産の不当な侵害であり、決して許容されるべきではない。
これに対して日本政府は、林芳正官房長官が「日韓請求権協定に明らかに反する判決に基づき、日本企業に不当な不利益を負わせるもので極めて遺憾だ」と述べ、外務省は在京韓国大使を呼んで抗議したという。
昨年、韓国政府は、韓国の財団が日本企業に代わって賠償金を支払う解決策を発表した(以下「本件韓国発表」という。)。本件韓国発表に基づき、韓国側は日立造船に対する財産権侵害を是正する措置を講じるべきである。一部報道では、「日本政府関係者によると、解決策の枠組みに影響しない例外的な事例」としているとも報じられているが、日本政府としても、二国間関係は公正に評価し、本件支払いに対して厳格かつ適切な対応を講じるべきではないか。
以上を踏まえて、以下質問する。
一 林官房長官によると、日本政府は韓国側に適切な対応を求めているとのことであるが、具体的にどのような措置を韓国政府に求めたのか。
二 平成三十一年三月十二日の衆議院財務金融委員会において、当時の麻生太郎財務相は、本件問題に関する日本企業の資産差し押さえ問題への対抗策として、韓国からの輸入品に対する関税引き上げの考えを問われたのに対し、「関税に限らず、送金停止やビザの発給停止などいろいろな報復措置がある」旨答弁した。また、令和二年八月四日の閣議後の会見では、韓国の司法手続きによって差し押さえられた日本企業の資産が実際に売却された場合の措置について言及し、「しかるべく対応を取らざるをえない」旨述べた。
上記答弁を前提として、政府は、今後具体的にどのような対抗措置を講じる予定か。
三 政府は、昨年七月、簡略な輸出手続きを認める優遇対象国「グループA」に韓国を再指定し、同年十二月には日韓通貨スワップ協定を締結したが、昨今の情勢を踏まえ、再検討をする考えはあるか。
右質問する。