2024.04.12
【国会 4/9】 植田日銀総裁へ問う ~政策転換 ETF処理 金利引き上げ CBDC~
令和6年4月9日、神谷宗幣 参議院議員が
財政金融委員会で国会質疑を行いました。
質問の相手は、植田和男 日銀総裁。
事前に通告していた内容は他の議員に先になされたため、
急遽内容を変えて質問したのは以下の4点でした。
・日銀の政策変更、何故そんなに急ぐのか?
・日銀保有のETFどう処理するのか?
・金利引き上げは、日本経済が力を取り戻してからに!
・CBDC導入へ向け、国民的議論へ!
動画はコチラから視聴できます。
https://youtu.be/9anURIyh-D8?si=QFSQTCoGJLCOCNdS
IMFが提唱したことは、
日銀の政策にどの程度影響を与えているのか?
神谷議員は、この2月の『対日4条協議』で
「金融緩和政策の終了を提唱する」と話があり、
そして日銀の政策変更が今回なされた事に対して問いました。
※対日4条協議とは、国際通貨基金の協定第4条の規定に基づいて
毎年行われる、IMFと加盟国との2者間協議。
IMF代表団が訪問し、経済や金融の情報を収集するとともに、
その国の経済状況や経済政策について政府当局と協議、
その後、IMF理事会での議論の土台となる報告書が作成される。
(参照:国際通貨基金HP「IMF理事会、2023年の対日4条協議を終了」)
植田総裁は、IMFの代表団と面談し意見交換したと認めた上で、
政策変更は「日本経済の経済・物価見通しの改善、
特に物価見通しの改善に伴って実行したもの」だと弁明しました。
神谷議員はそれを受けて、先の質問の意図を説明しました。
2023年12月の財政金融委員会では、
”インフレが確認できて、その確度が明確になった時に政策変更”
という答弁だった。
あと半年ぐらい待っていれば結果が見えてくるので、
それからの政策変更でも良かったのではないか?
何故そんなに急ぐのか!?
この点は、他の議員への答弁でも説明が得られなかったため、
神谷議員は質問を次へと進めました。
日銀が買い入れしてきたETF(上場投資信託)、
保有する70兆円分をどう処理するのか?
仮に市場に売っていくとするなら、
どういう投資家に向けて売却するのか?
万が一、沢山売ったために株価に大きな変動があった場合、
改めて政策変更して再び買い取ることはあり得るのか?
「あまり外国資本に売らないでもらいたい」
という予てより伝えてきた懸念と、
「日本人がしっかりと買えるような形を考えてもらいたい」
という要望を添え質問しました。
植田総裁は、
個別の提案への具体的なコメントを避けるとしつつ、
検討していく意思を示しました。
神谷議員は、さらに追加して検討を求めました。
もしETFを買取りする場合、
東証だけでなくマザーズにも資金を入れて、
それなりに内部留保があり資金がある状態の大企業よりも、
中企業以下にお金が流れるようにしても良いのではないか?
神谷議員は質問をつづけ、
これから金利引き上げが検討されていく事に関連して、
2つの考え方を紹介して総裁の考えがどちらに近いか尋ねました。
・金利がある世界に戻り、
市場原理が働いて生産性の低い企業は淘汰されると、
経済全体の生産性が上昇する。
生産性が持続的に上昇する状態になると、
賃金の持続的な向上が期待され、消費や投資が増える。
・経済全体の需要が拡大し、
中小零細企業の売上が増えると、
それら企業が生産性向上のための投資ができる。
経営者の方々を見ていると、
現場の状況はどっちかというと後者で、
そうでないと意味がないのではないか?
植田総裁の回答は、
両方のメカニズムが潜在的には働き得るというもの。
そして、賃金と物価の好循環が強まっていく中で、
実質賃金の伸び率がプラスに転じることも見込まれる。
それによって消費が増大、
経済の需要サイドに強さが戻って一段と強くなる。
そう付け加えました。
神谷議員はその答弁を受け、
拙速に金融引き締めや増税を行えば、
中小企業がバタバタと倒産してしまう
という強い懸念を伝えました。
今回の政策転換は、
金融機関等はメリットが大きいが、
中小零細企業は資金繰りが厳しくなる、
変動金利で住宅ローンを借りている方々も返済が大変になる。
これからさらに利上げがなると、倒産等が増えていく。
それなのにこのタイミングで、
「消費税を15%に引き上げた方が良いんだ」
という経団連や元官僚の方の言論もある。
岸田総理は
「向こう10年間、消費税は増税しない」
と2022年11月に明言していたはず。
国民の皆さんと対話していると、
まだ日本経済は力を取り戻せている状況ではない。
倒産してしまうと、円安を背景に
日本の企業・技術・不動産がまた外資に買われてしまう。
そして神谷議員は、慎重な対応を要望しました。
収支バランスを合わせるとか国際ルールを守るとかよりも、
国民が安心して暮らせる経済状況を日本の津々浦々に作ることが大事。
働いている方々の賃金や生活にしっかりフォーカスして頂きたい。
日銀には経済状況が確実に安定するまで金融緩和の継続、
政府には財政出動をしてもらい、
日本企業や国民にお金が回る状態を確実にやってもらいたい。
それに至るまでの減税をきちっとやってもらいたい。
日本経済が力を取り戻すという状況が
確定してからの引き締めをお願いしたい!
最後に神谷議員は、
中央銀行発行のデジタル通貨CBDCについて、
植田総裁の展望について尋ねました。
※参考資料:日本銀行HP「中央銀行デジタル通貨とは何ですか?」
植田総裁は、次のように現状と展望を語りました。
現在、CBDCを日本で導入することが
技術的に可能かどうか検討を深めている。
民間の関連事業者との意見交換のフォーラムをつくり、
関係官庁との連絡協議会も今年から発足、
”今後、導入するとしたらどういう制度面の手当てが必要か?”
についても検討している。
そうした検討を続けていった先に、
本当に導入すべきかどうかに関する国民的な議論、
そして判断をいただくことになる。
※参考資料:日本銀行HP「中央銀行デジタル通貨」
神谷議員は、「国民的な議論」という言葉を受け、
そのためには予備知識が必要だとし、
デジタル通貨を入れた場合のメリットとデメリットについて
植田総裁の考えを尋ねました。
植田総裁は、急な質問に対して
整理するのが難しいと前置きしながらも、
次のように述べました。
デメリットは、
新しいシステムを導入しないといけないため、
作り方次第でそれなりのコストがかかること。
そして、メリットとしてあげたのは次の2つの例。
様々発行されている民間の『〇〇ペイ』というデジタル通貨、
”こっちを使ってたのをこっちに移す”
”こっちの通貨からこっちに売却する”
といった事をシステム間でするのが難しい中で、
共通のプラットフォームをCBDCが提供する
ような機能が期待できるかもしれない。
様々な金融市場、株式市場、債権市場、
不動産のような流動性の低い市場で証券化し、
それをトークン化して売買を容易にする・
小口化も可能にするというような時、
CBDCがあることで決済が上手くいき取引が促進され、
金融の技術進歩にも資する可能性がある。
こうしたメリットとコストとの相対、
さらにプライバシーやセキュリティの問題、
これらを総合して導入すべきかどうかが決まっていく。
そう植田総裁は認識を示しました。
神谷議員は、
「非常に前向きに考えておられる」と好意的に受け止め、
「導入すべき」という参政党の立場を明確にして
質疑を終えました。
プラットフォームを外国が作ったものに取られてしまうと、
プライバシーとか情報の安全保障にも関わってくる!
是非、今のような議論を国民に広めていただいて、
ちゃんとした国民的議論が起こる土壌を作っていただきたい!
詳細は動画をご視聴下さい。