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2024.05.17

ネオニコチノイド系農薬散布の問題点|清野まさし

ネオニコチノイド系農薬散布の問題点|清野まさし
茅ヶ崎市議会議員 清野まさしです。
2023年5月1日より議員活動を始め、市民から湘南海岸砂防林への松食い虫防除作業でのネオニコチノイド系農薬散布のお話をお伺いいたしました。
茅ヶ崎市では平成17年から現在までネオニコチノイド系農薬『チアクロプリド』を使用しています。
私自身も相談を受けるまでこの農薬散布を認識しておらず、海岸エリアに長年住んでいる方々でも知らない方が多い状況でした。
 
少なからずこの時期になると体調不良を感じると訴えがあり、市民に知っていただくことが大事だと請願として議会に提出することになりました。
 
茅ヶ崎市議会 令和5年第2回定例会にて、「茅ヶ崎市内海岸砂防林へのネオニコチノイド系農薬散布についての請願」は全会一致で採択されました。
ただ2023年の農薬散布は終了していたため、2024年以降の対応として地元住民への農薬散布作業の周知徹底と注意喚起を求めるとともに、神奈川県との安全性への疑義について協議を要望するものとなりました。
*末尾に結果報告を記載しています
 
藤沢土木事務所の「令和6年度松くい虫防除作業のお知らせ」によると、今年は5月7日から17日までの散布が予定されています。
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/ex5/saborin/index.html
 
『ネオニコチノイド系農薬散布の問題点』

① 近隣住民の多くが農薬散布の事実を知らない
注意喚起の張り紙が小さく、看板も数が少ないため、サーファーや観光客への周知も不十分(私自身もサーファーで海に来ていましたが知りませんでした)

ネオニコチノイド系農薬散布の問題点|清野まさし

② ネオニコチノイド系農薬は有害
国内外で人体、地下水・土壌、生態系への悪影響が指摘されており、使用されている薬剤のチアクロプリドは地下水と生殖系への影響からE Uでは使用禁止となっています。(欧州委員会 Daily News 2020年1月13日)
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/mex_20_38

 

③ 松枯れの原因と農薬の効果検証が不十分
農薬散布をしても、毎年数百から千本の松枯れが発生しています

 

④ 化学農薬散布以外の手段もある
島根県では環境にやさしく健康に配慮したボーベリア・バシアーナ剤(松くい虫の天敵である昆虫病原性糸状菌による生物農薬)が使用されています。(島根県中山間地域研究センター天敵を用いた新しい松くい虫駆除技術 平成20年3月)
https://www.pref.shimane.lg.jp/admin/region/kikan/chusankan/syoseki/hakkankansyu.data/tente200803.pdf
 

『国、自治体の動向』

① ⺟親の尿中ネオニコチノイド系農薬等濃度と⼦どもの発達との関連について解析した論文が、令和5年10月13日に環境保健分野の学術誌「Environment International」に掲載されました。(環境省)より抜粋
https://www.env.go.jp/chemi/ceh/news/page_00040.html

  (結論)エコチル調査に参加する母子8,538組のデータから、妊娠初期および中後期の母親の尿中NEO濃度と4歳までの子どもの発達との関連を解析した結果、どの時点でも関連は見られなかった。推定一日摂取量が許容一日摂取量を超える母親はいなかった。


② 神奈川県におけるネオニコチノイド系農薬等の環境実態(神奈川県環境化学センター)より抜粋
https://www.pref.kanagawa.jp/documents/60011/r01bull03.pdf

  (まとめ)得られた結果を用いて,環境影響評価を行ったところ,全ての場所において,全ての農薬がEC /PNEC < 0.1であり,化学物質の環境リスク初期評価ガイドラインによると,「現時点では作業は必要なく,水生生物への影響は低い」という結果となった。

 
茅ヶ崎市議会 令和6年第1回定例会 総括質疑でこの問題を取り上げました。
「茅ヶ崎市内河川海域においてネオニコチノイド系の農薬は調査されておりません。アセタミプリドは畑に、チアクロプリドは水田にて使用されております。後者は通年使用されているのではなく苗植え時期やカメムシが発生する時期に集中的に使用されています。そこに台風や豪雨が重なると河川に流れ出す可能性があります。昆虫を殺す農薬でありますが河川や海に生息するエビやカニの甲殻類、動物プランクトンも殺してしまい、うなぎや魚類の減少の原因とされております」
 
市からは、国や県の動向を注視していくという答弁でした。
引き続き注目してまいります。
 
請願・陳情の経過及び結果について(報告)
『処理状況』
茅ヶ崎市は、所管する神奈川県の担当部局と主に文書による協議を行なった。
 
農薬散布の周知徹底等について
<現在> 

① 神奈川県の広報誌、神奈川県藤沢土木事務所のホームページ、国道134号及びサイクリングロードでのチラシの提示

② 砂防林に隣接する住宅等へのチラシの掲示

③ 近隣の小中学校及び高等学校での周知等

<今後>

① 更なる手法を神奈川県が検討するので茅ヶ崎市も協力する

 
農薬の安全性・代替手段の検討についての周知に関して
<神奈川県>

① 松枯れ対策として薬剤散布が最も効果的かつ有効的な手段であり今後も継続する

② 住宅から約10mの範囲は薬剤の樹幹注入を行い、薬剤散布中及び散布後の気中濃度の測定や落下量調査等を行う

③ 仮に常に最大気中濃度となる薬剤を人が1日中吸入しても有害な作用を受けない値である

④ より安全な薬剤が開発された場合、情報収集、研究をしていく

<茅ヶ崎市>

① 今後も必要な情報の収集に努める

 
農林水産省へのヒアリング
農林水産省消費・安全局にヒヤリングをさせていただきました。
安全性が確認された農薬だけを登録するために、関係省庁が連携して取り組んでいます。
農林水産省では農薬の試験はしておらずメーカーから試験データを提出していただいているとのことでした。
令和6年3月より厚生労働省が所管していた食品中の残留基準値の設定を消費者庁に移管されました。
改正農薬取締法に基づき2021年度から開始し、国内での使用量が多い農薬から順次開始しており初年度はグリホサート、ネオニコチノイド系農薬など14有効成分が対象となっているそうです。
 
参考資料 
農薬取締法に基づく規制の現状と今後について
令和2年10月 農林水産省消費・安全局農産安全管理課
https://www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_info/attach/pdf/index-10.pdf
ネオニコチノイド系農薬散布の問題点|清野まさし

清野 まさし
Seino Masashi
ネオニコチノイド系農薬散布の問題点|清野まさし
所属議会
茅ケ崎市議会議員(神奈川県)
 
経歴
国立木更津工業高等専門学校機械工学科
特別養護老人ホーム 介護福祉士

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