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2024.04.26

我が国に設置された孔子学院に関する再質問主意書

令和6年4月25日付で下記の通り質問主意書を提出しました。
政府からの答弁があった際には、こちらに掲載いたします。
 
『我が国に設置された孔子学院に関する再質問主意書』
 
我が国に設置された孔子学院に関する質問主意書(第二百十三回国会質問第五三号。以下「本件質問主意書」という。)を提出し、答弁書(内閣参質二一三第五三号。以下「本件答弁書」という。)が送付された。
 
これまで提出した質問主意書を通じて、孔子学院の設置及び運営における透明性の確保が必要であることを一貫して強調してきた。本件答弁書によると、文科省は、令和五年十二月四日、「「孔子学院」等に係る情報の公開について(依頼)」(令和五年十二月四日付け文部科学省高等教育局参事官(国際担当)及び初等中等教育局参事官(高等学校担当)事務連絡)(以下「本件事務連絡」という。)を発出し、「孔子学院」や高等学校等に設けられる「孔子課堂」「孔子学堂」等(以下「孔子学院等」という。)の運営情報を公開するよう働きかけているとのことである。
 
本件事務連絡が発出されて以降、約四ヶ月が経過した。本件事務連絡では、孔子学院等の情報公開について「基本組織に関すること(所在する住所・連絡先、役員等名簿(役職名、氏名、所属)、法人または大学における組織上の位置付け、意思決定等運営方法、海外の提携先大学等)」、「教員組織、教員の数並びに各教員が有する学位及び業績に関すること」、「授業科目、授業の方法及び内容並びに年間の授業の計画に関すること」、「収支計算書等、連携先大学等との費用分担の状況など収支の状況に関すること」の項目の公開を求めている。
 
しかし、各孔子学院等の紹介ホームページを確認したところ、設置経緯や活動内容については情報が概ね掲載されているものの、基本組織や教員組織、特に予算及び決算などの収支状況の掲載はごく限られたものだけであり、内容は極めて不透明なものであった。求められている透明性の確保には未だ至っていないといえる。
 
本件質問主意書の質問二で指摘した米国における懸念事項に対し、答弁書の通り、設置費用や運営費の公開が進めば、「1 設置費用や運営費が大学の負担であるか否か」は明らかとなることが期待されるが、現段階で文科省が情報公開を求めていない「2 中国政府から大学への資金提供の有無とその額、3 孔子学院の予算・教育内容・人事に対する中国政府の管理の程度、4 孔子学院の教職員が中国の国益擁護を誓約しているか否か、5 孔子学院と大学との契約内容」は、我が国の安全保障や教育の自由に影響を及ぼす可能性があるため、公開が求められるべき内容である。
 
本件答弁書によると、孔子学院等の設置に関しては、学校教育法に手続規定がなく、他にも規律する法令は存在しないとのことであるが、これらの組織が実質的に中国共産党が全一的に統治・コントロールする中国政府の統制下にあることを考えれば、通常の学校関連機関よりもより厳格な監督が必要といえる。政府がこれらの情報を持たず、監督を避けている現状は適切ではない。
 
中国の「国防動員法」及び「国家情報法」(以下「本件二法律」という。)は、我が国にある中国の組織並びに在留中国国民に効力を及ぼす恐れがあり、看過できない。本件質問主意書の質問五に対し、本件答弁書は質問の具体的内容が明らかではないとして答弁を一切行っていない。
 
本件質問主意書にいう「孔子学院及びそのスタッフが中国の法律に従って行動すること」とは、我が国に設置された孔子学院等及びその中国籍職員が、本件二法律に基づき、中国政府からの国防勤務や情報工作活動の指示に従うことを意味する。またこれによる「日本の安全保障や教育の自由に及ぼす可能性がある影響」とは、孔子学院等及びその中国籍職員が、中国政府の指示を受けて行動することにより、日本の安全保障や教育の自由に悪影響を及ぼす可能性があることを意味する。「これらの潜在的な影響」とは、我が国に設置された孔子学院等及びその中国籍職員が、中国政府から本件二法律に基づき、国防勤務や情報工作活動の指示を受けて行動する場合に、日本の安全保障や教育の自由に潜在的な悪影響を及ぼすことをいう。
 
国外では、以前から「孔子課堂」を問題視する動きがみられる。例えば、二〇一九年には、豪州のニューサウスウェールズ州の教育局が、十三校の公立高校に設置された「孔子課堂」を閉鎖することを決めた。これは、「孔子課堂」の内容が中国共産党の宣伝機関と見なされ、内容が中国政府のプロパガンダを強く反映しているためとされている。二〇二〇年には、米国の国務長官と教育長官が全米各州の教育長官宛てに書簡を送り、「孔子課堂」の教育プログラムが中国政府によって管理され、児童・生徒を狙った影響工作の一環であると警告した。この書簡では、中国政府がカリキュラムを作成し、訓練された中国語教師を米国の幼稚園から高校まで数百校に配置していることが指摘され、「孔子課堂」が中国の世界的な影響力拡大の重要な要素であること、そしてこれらのクラスが毎日何万人もの米国の子供たちに接触していることが強調されている。二〇二二年、豪州のノーザンテリトリー準州政府は、孔子課堂が中国のためにプロパガンダを行っているかに関する調査を住民に約束した後、同州のウッドロフ小学校(Woodroffe Primary School)に設置されていた孔子課堂を閉鎖したという。これらの国際的な動向を踏まえ、日本としてもあるべき対策の検討と実施が求められていると考える。
 
 以上を踏まえて質問を行う。
 

諸外国、とりわけ我が国と民主主義的な政治や文化のあり方で価値観を共有する米国や豪州などでの諸動向、またこの間の我が国での調査を踏まえ、中国政府が支援して我が国を含む諸外国の学校・教育機関に設置を進めてきた孔子学院について、政府はその性格、役割、意義や実際の我が国への影響(安全保障面等)をどう評価しているか、明確に示されたい。
 
 
孔子学院等の運営に関する情報公開の取組について、本件事務連絡後の進捗状況を示されたい(存在する孔子学院等ごとに、情報開示措置が具体的にどのように行われたか、それをどう評価しているか)。また、情報開示措置の不均一性が見られることに対して、今後いかなる対策が考えられているのか。
 
 
孔子学院等及びその中国籍職員が本件二法律に基づき中国政府の指示に従う可能性について、政府はどのように評価しているのか。懸念される状況への対応は、どのように検討されているのか。
 
 
国外の事例を見れば、この度、本件答弁書でも示された高等学校に設置された「孔子課堂」について、大学における孔子学院と共通する懸念があると考える。前述の国外事例について政府は把握しているか。また、これらの事例を踏まえ、政府は、「孔子課堂」について、どのように評価し対応するつもりか。
 
 
我が国の安全保障や教育の自由を守るために、本件質問主意書の質問二で挙げた2から5についても把握することは重要であると考えられるが、政府はどう考えるか。今後とも情報を集め、対応について検討を進めるべきと考えるが、政府の今後の対応方針について説明されたい。
 
 
本件答弁書によると、孔子学院等の設置に関しては、学校教育法に手続規定がなく、他にも規律する法令は存在しないとのことである。これらの組織が外国政府の統制下にある可能性を考えれば、学校教育法以外の法令の適用を含め通常の学校機関よりもより厳格な監督が必要ではないか。
 
 
本件二法律に関し、本件質問主意書の質問五につき、前文で説明した「孔子学院及びそのスタッフが中国の法律に従って行動すること」、「日本の安全保障や教育の自由に及ぼす可能性がある影響」、「これらの潜在的な影響」の具体的内容を踏まえて、改めて政府の見解を示されたい。
 
 右質問する。

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