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2024.05.10

エネルギー供給基盤事業への外国企業参入及び自然エネルギー財団の関与に関する質問主意書

令和6年5月9日付で下記の通り質問主意書を提出しました。
政府からの答弁があった際には、こちらに掲載いたします。
 
『エネルギー供給基盤事業への外国企業参入及び自然エネルギー財団の関与に関する質問主意書』
 
二〇二四年三月、内閣府主催のタスクフォースの会合で議論された再生可能エネルギー導入に向けた規制の見直しに関して、構成員から提出された資料に、中国の国営電力会社「国家電網公司」のロゴマークの透かしが入っていたことが発覚した。この透かしの入った資料は、経済産業省や金融庁での会合でも使用されており(以下「本件問題」という。)、政府内での中国企業の影響力が問題視されている。
 
この問題は、中国系企業とつながりを持つ有識者会議の構成員が、中国系企業の意向に沿った政策提言を行っている可能性があるという疑惑に火をつけた。該当する構成員は、自然エネルギー財団の事業局長であり、再生可能エネルギー推進と反原子力発電について積極的であった。また、この財団は、二〇一五年に習近平国家主席が国連開発サミットで提唱した国際送電網構想を強力に推進してきたという背景もある。
この疑惑は、中国系企業が日本のエネルギー供給基盤事業に次々と参入し、莫大な利益を上げる一方で、中国系資本が自衛隊基地周辺など国防上重要な地域を含む国土を買収している事実と関連し、国の経済安全保障への懸念をより一層強めている。
 
中国には、中国政府が有事発生の際に人や資源や施設などを政府の管理下に置くとともに在外の中国国民及び企業についても国の命令に従わなければならないとする「国防動員法」がある。同法の存在は、中国企業が日本のエネルギー供給基盤事業に関与することで経済安全保障上のリスクを高めている。これについては、一昨年「咲洲メガソーラーなどエネルギー供給基盤事業への中国企業参入に関する質問主意書」(第二百九回国会質問第一九号)で取り上げた。
 
日本のエネルギー供給基盤が他国政府による介入の間隙を持つ事態は避けなければならない。本件問題をきっかけとして、エネルギー供給基盤事業の外資系企業参入に関しては、経済安全保障を確保するための具体策として、改めて参入規制を明確にし、実行ある方策について検討を行うべきである。
 
以上を踏まえ、質問する。
 
 
本件問題について、河野太郎大臣は、SNS上で「チェック体制の不備でお騒がせしたことについて、今後は対策を強化し同じようなことが起きないよう徹底していきます」と述べた。しかし、本件問題の本質は、透かしロゴの消し忘れではなく、有識者会議の構成員が中国系企業の意向に沿って政策提言を行っていたのではないかという疑いである。政府としては、今回の事態についてどのように考えるか。自然エネルギー財団は、中国国家電網とグローバルグリッド促進のため団体(GEIDCO、自然エネルギー財団によれば「自然エネルギーの活用のために世界的な送電ネットワークの構築をめざす国際的非営利団体」)を共同して立ち上げ、その団体の理事会メンバーとなり正副会長にそれぞれ中日のトップが就任している。これについて、政府はどう評価しているのか。
 
 
政府は有識者会議のメンバー選定にあたり、資料を提供した構成員とその関係先の利害関係についてどのような調査を行い、構成員の中立性を担保してきたのか。例えば、内閣府タスクフォース委員だった自然エネルギー財団事業局長の大林ミカ氏は、過去、中国側が主催する再生可能エネルギー推進に関わるイベントに参加し、パネラーとして同国政策に賛意を示すような言動をしているなどの事実について、把握はしていないのか。
 
 
二〇二四年三月二十四日付けの産経新聞の記事によれば、青森県内で認定された再生可能エネルギー事業計画のうち、二百九十件以上で中国人や中国系資本が関与しており、これらは自衛隊施設周辺にも及んでいると報じられている。この点、二〇二二年九月に全面施行された重要土地等調査法に基づき、青森駐屯地や三沢基地などが注視区域に指定された(二〇二四年四月十二日内閣府告示)。注視区域では、土地等利用状況調査とともに、不適切な利用の規制等の措置を講じることとされているが、すでに告示された注視区域について、いつ頃までを目途にこれらの調査や措置を行う予定で、調査や措置の結果についてどのような項目が公表される予定か。
 
 
航空自衛隊防府北基地(山口県防府市)などが施設で使用する再生可能エネルギーをタイの電力大手バンプーグループの子会社から調達していたことが報じられている(二〇二四年四月一日産経新聞)。自衛隊施設においては、昨年度時点で全九百六十九施設のうち五十施設で再エネ調達が可能となっており、再エネ比率百%の電力調達を達成した施設は三十六施設あるという。このうち、再エネ調達が可能となった五十施設が電気供給等の契約を行った電気供給事業者を全て回答されたい。また、このうち、共同出資会社を含め、外国企業が関与している電気供給事業者はいくつあるかについて、併せて回答されたい。
 
 
経済安全保障の観点から、国防の要を担う防衛施設のエネルギー供給基盤は国内企業に限るべきとの要請が特に強いと考えられるが、政府は、防衛施設の電気供給事業者を選定するにあたり、どのような基準を設定しているのか。
 
 
再生可能エネルギー設備とそれに関連する技術を外国に依存した場合、技術的なバックドアを通じてサイバー攻撃が行われるリスクや、エネルギーインフラが戦時に攻撃の対象になるリスクが懸念されるが、これらに対して安全上の対応はどのように措置されているのか。
 
 
外資系企業による日本のエネルギー供給基盤事業への参入について、経済安全保障確保の見地から政府は規制強化に向かうべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
 
 
自然エネルギー財団が二〇一一年八月の設立以来、提唱する日本を含むアジア各国との間で送電網を連結するというアジアスーパーグリッド(ASG)構想について、政府の見解を示されたい。
 
右質問する。

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