2024.05.30
【国会 5/28】移民政策につながる新制度と能登半島地震の復興支援
令和6年5月28日、神谷宗幣 参議院議員が
財政金融委員会で国会質疑を行いました。
移民政策と能登半島地震の復興支援
について質疑を行いました。
以下が今回の質疑のポイントです。
1. 能登半島地震の復興支援について
・公費解体が遅れている現状を指摘
・公費解体の予算と実施状況について質問
・特措法の制定など解体促進の取り組みについて質問
2. 技能実習制度の廃止と育成就労制度の影響について
・外国人労働者受け入れによる日本国民の賃金低下の恐れを指摘
・過剰な外国人労働者受け入れによる問題の懸念を指摘
・移民受け入れ拡大に繋がらないよう慎重な政策進行を要望
動画はコチラから視聴できます。
https://www.youtube.com/watch?v=n1kwi69mk5M
まず始めに神谷宗幣議員は
今年の元旦に発生した能登半島地震の
復興支援に関連して質問しました。
政府が4,157億円の予算を
確保しているにもかかわらず、
倒壊した家屋の公費解体が
ネックになり復旧復興が進んでいません。
国民からは
「国は何をやっているのか」
という不満の声も聞こえてきます。
このような背景の中
公費解体の予算と実施状況
について確認しました。
環境省の答弁は以下の通りです。
・災害等廃棄物処理事業費補助金として
202億円の予備費の使用が決定され、
被災市町村に交付されている。
・これまでに約1万5000棟の申請を
受け付け、約800棟の解体工事が
実施されている。
・解体工事を加速するため、
現地調査や解体費用算定の
効率化を進める。
神谷議員は、
約2万2500棟の倒壊家屋のうち、
着手したのが800件
というのは迅速とはいえない
と指摘しました。
解体工事の進捗が遅いのは、
相続関係の複雑さ・建物の登記証明書の
取得の困難さがネックになっているようです。
神谷議員は、
輪島市が採用している
相続人の代表者による誓約書を
自治体に提出する方法や、
石川県知事が政府に特措法の制定を
要望していることを例として示し、
公費解体を進めるための特措法などの取り組み
について質問しました。
環境省からは、
申請手続きの円滑化を図るために、
「公費による解体撤去の申請手続の更なる円滑化に関する事務連絡」を
法務省と共に発出したとの説明がありました。
家屋の建物性が失われた場合には、
関係者全員の同意がなくても
公費による解体撤去を進めることが
可能であることを示したということです。
また、倒壊家屋以外の
損壊家屋等については、
いわゆる「宣誓書方式」の活用を
促進し解体撤去の円滑化を進める
という答弁も得られました。
続いて神谷議員は、
新たな育成就労制度の創設に
関して切り込みました。
政府は、現行の技能実習制度を廃止し、
人手不足分野での人材確保及び育成を
目的とする育成就労制度を
創設するとしています。
技能実習制度の目的は、
日本で培われた技能・技術または知識を
開発途上地域に移転し、
その地域の経済発展に貢献する
というものでした。
新制度はそれと全く異なり、
外国人労働者の積極的な受入れと
日本人の人手不足問題の解消を
目指す方向に舵を切る政策転換です。
海外の事例を見ると、
移民政策による外国人労働者の受入れは、
賃金の抑制につながっています。
これでは、税制措置などを通して
促進しようとしてきた民間企業の
賃上げの機運が低下してしまいます。
以上のことから
外国人労働者受け入れによる
賃金低下への影響について
どのように分析しているのか
問いただしました。
出入国在留管理庁(入管庁)の答弁です。
育成就労制度においては
特定技能制度と同様に、
国内労働市場への悪影響を
生じさせることがないよう、
人材・人手不足が生じていることを
受入れ対象分野の前提としている。
国内労働市場への悪影響を避けるため、
賃金が日本人と同等以上であること
を条件としている。
有識者や労使団体等で構成する
新たな会議体を設けて、
育成就労制度の受入れ対象分野及び
受入れ見込み数の設定について
議論・検討を行う。
育成就労外国人に対する報酬の額が
日本人の報酬の額と同等以上であること、
その他の待遇が主務省令で定める
基準に適合していることを要件とする。
入管庁としては、育成就労制度において
外国人を安価な労働力として
受け入れることがないように、
関係省庁と共にしっかりと取り組むということでした。
神谷議員は、市場原理が働くので、
「供給が増えれば価格・賃金は下がる」
これは外国人の賃金を
日本人と一緒にしても変わらないと指摘しました。
また、育成就労制度では
きちんとデータを取って、
慎重に進めるように要望しました。
政府は、デフレ脱却を掲げながら
増税しています。
賃金を上げると言いながら、
外国人の労働者の供給を増やしています。
政策に一貫性がありません。
まるで経済成長を抑え込んで
日本人を安い労働力として
酷使したいのかと国民が思っても
おかしくありません。
神谷議員は、
育成就労制度がスタートしても、
外国人労働者の受け入れ数を厳しく制限して、
まずは日本人労働者の賃金の安定状態をつくり、
それから制度の拡大を考えるように
重ねて要望しました。
育成就労制度は特定技能に
移行できる人材を育成することを
目的としています。
そして、特定技能二号の在留資格では、
更新の継続により事実上無期限の在留と
家族の同伴が可能になります。
まさに移民受け入れ拡大につながる制度です。
移民受け入れは、
以下のような段階を辿ることが
一般的です。
初期段階では、
適切な移民政策を実施しない
無策の状態が続きます。
次に、社会コストの増大を抑制できず、
手に負えないという状態になっていきます。
そして、移民による社会コストを
減らしていくために
政府が主導して文化理解や言語習得などの
施策を実施する統合という段階に
移行します。
しかし、統合政策にもかかわらず
外国人の増加や文化的差異による
不適応が累積し、破綻するという
のが最終段階です。
技能実習生という形で外国人労働者を
受け入れてきましたが、
日本政府は具体的な数値を
試算してきませんでした。
受け入れ数の上限も
短期的な労働需要の解消
という視点しかなく、
長期的な社会への影響
というものが考慮されていません。
他国の失敗の例を教訓にして、
育成就労制度を導入する段階で、
様々な観点から具体的な社会コストの試算を行い、
受入れ数の上限などについて
事前に国民に説明するべきだと訴えました。
入管庁は、
外国人材の受入れの拡大に当たっては、
日本人の雇用への影響や、
社会保障等に係るコストの増大
といった懸念を踏まえた慎重な検討が
必要であるとの認識を示しました。
また、育成就労制度については、
労働力不足に対応するため、
人手不足分野における人材育成
及び人材確保を目的とし、
受け入れ見込み数を上限としており、
かつ家族の帯同を認めないなど、
無制約に受入れを拡大するものではない
ということでした。
神谷議員は、
海外では、過剰な移民政策は
形を変えた侵略行為・国家破壊行為
だとして、政治の大きな争点に
なっているところもあると
指摘しました。
そして、「前車の轍を踏む」ようなことがないように
くれぐれも慎重に政策を進めるように
要望して質疑を終えました。
詳細は動画をご視聴下さい。