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2024.06.14

LGBT理解増進法における「不当な差別」の定義の明確化に関する質問主意書

令和6年6月14日付で下記の通り質問主意書を提出しました。
政府からの答弁があった際には、こちらに掲載いたします。
 
『LGBT理解増進法における「不当な差別」の定義の明確化に関する質問主意書』
 

 LGBT理解増進法の施行に当たり懸念される事項に関する質問主意書(令和五年六月十四日、第二百十一回国会質問第一〇八号、以下「本件質問主意書」という。)に対して、答弁書(令和五年六月二十三日、内閣参質二一一第一〇八号、以下「本件答弁書」という。)が送付された。本件答弁書では、本件質問主意書の差別の定義、理解増進の活動、公金の適正な使用等に関する質問に対し、「今後検討する」との答弁がなされた。
 
 同法律は「性的指向」や「ジェンダーアイデンティティ」について、「不当な差別はあってはならない」とする一方で、どのような行為が「不当な差別」に当たるのかを明示していない。本件答弁書でも「差別」の定義は説明されず、定義を明示しない理由も明確にはされなかった。
 
 この法案は審議の際、国民の理解増進を目的としており、何かを禁止し規制する法律ではないと繰り返し説明されてきた。一方、現状では、地方自治体など行政では同法律に基づき、「理解増進」のための施策実施を求められていることにより、それに伴い様々な取り組みが展開されている。これにより、自治体における施策や条例制定が具体的な基準も不明瞭にされたまま進められており、地域社会における無用な対立や混乱を惹起させることにつながらないか、懸念される。
 
 こうした中、令和六年二月、「共生社会と人権」に関するシンポジウムでのビデオメッセージ(以下「本件メッセージ」という。)において岸田総理大臣は、「雇用や入居などの場面やインターネット上において、外国人、障害のある人、アイヌの人々、性的マイノリティの人々などが不当な差別を受ける事案を耳にすることも少なくありません」と述べた。しかし、具体的な事例やデータも示さないで行われたこの発言は、日本における差別が広がっているとの誤解を招きかねない。差別の定義づけも例示もないため、具体的にどのような事案を指して「不当な差別」と言っているのか、その根拠が判然としない。このような発言が、いっそう地方自治体、地域社会、さらには行政や企業活動のあらゆる現場における混乱を招きかねないのではないか。
 
 以上を踏まえ、以下、質問する。
 
 
政府が考える「差別」の具体的な定義を示されたい。これまで明確に示されなかった理由は何か。
 
 
本件メッセージで言及された「性的マイノリティの人々などが不当な差別を受ける事案」は、いつどのようなところでどの期間に何件、どのような具体的内容で起きているのか。また、それを不当な差別とする根拠は何か。
 
 
本件質問主意書において、LGBT理解増進法施行後に民間団体への委託事業の実施と公的資金の管理方法について問うたのに対し、本件答弁書は、今後検討する旨の答弁がされた。本法施行から一年近くが経過するため、その後の検討状況について具体的に説明されたい。
 
 
本法律に従い、国及び地方公共団体が国民の理解の増進に関する諸施策を進め、また、事業者がその経営陣及び従業者の理解の増進に努めさせるにあたり、政府は、どのような具体的な指針等を示しているのか。分野別に示されたい。
 
 
前記三に関連して、政府は国民の理解を増進する具体的内容をどのように定めているのか。行き過ぎを防ぎ、是正して無用な社会の混乱・分断を招かないためにはどのような方策をとっているのか、明らかにされたい。
 
  右質問する。

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