2024.06.22
【国会 6/18】日銀の金融政策・政府の財政政策 外資への警戒を怠るな
令和6年6月18日、神谷宗幣 参議院議員が
財政金融委員会で国会質疑を行いました。
今回は日銀の金融政策と
政府の財政政策のあり方、
外国資本導入のリスク
について質疑を行いました。
神谷議員の質問のポイント:
・日本経済の低迷と日銀の対応
・政府の財政政策のあり方
・外国資本の導入とそのリスク
・政治資金規正法の趣旨
動画はコチラから視聴できます。
https://youtu.be/dAOvjyspGOc
現在の日本経済は、
1-3月期にマイナス成長を記録し
3期連続で成長が見られない状況です。
物価高の影響で個人消費が低迷し
スタグフレーションの状況に
入りつつある
という見方もあります。
神谷議員は、
このような日本経済の状況に対し、
スタグフレーション回避のために
どのような方策を考えているのか
植田日銀総裁に質問しました。
植田総裁の見解は、
「スタグフレーションに陥るとは
考えていない」ということでした。
その根拠は以下のようなものでした。
・個人消費の減少などにより
第1四半期の実質経済成長率は-0.5%だった。
・物価上昇と一部自動車メーカーの
販売減少が影響している。
ただし、
・名目賃金の増加でサービス消費は
堅調さを維持している。
・全体としては個人消費は
底堅く推移している。
神谷議員は、
消費の活性化については
日銀では対応できないとして
政府の財政政策のあり方に切り込みました。
6月11日にリリースされた
骨太の方針の原案では、
2025年度に国・地方合わせた
プライマリーバランスの黒字化を目指す
ということになっています。
さらに鈴木財務大臣も
「2025年度の基礎的財政収支の黒字化
という目標に引き続き取り組む」
「財政健全化に向けた姿勢は
いささかも後退していない」
と強調されています。
しかし、日本政府の
純利払い費はG7の中でも
1,2番目に低い水準です。
エネルギー価格の高騰などの
外的要因によるインフレ傾向で、
日本経済はデフレ脱却の踊り場にあります。
「こういう状況だからこそ
財政政策の思い切った転換が必要だ」
神谷議員は強く訴えました。
神谷議員が何度も繰り返すように
日銀の金融政策だけでは
限界があります。
国会の審議による
臨機応変な減税や財政出動が
今まさに求められています。
このような状況で、骨太の方針に
プライマリーバランスの黒字化
を掲げ、過度な歳出キャップを
設けることは
経済の失速を招く可能性があります。
また、こうしたキャップを
かけること自体が
国会の議論に制限をかけることに
なっています。
「憲法第八十三条の趣旨に反する
可能性もあるのではないか」
神谷議員の問題提起です。
※憲法第八十三条:
国の財政を処理する権限は、
国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。
(参考:e-GOV 法令検索)
「今一度、財政民主主義の
趣旨に立ち返り
減税と財政出動について
根本的な議論を行うべき」
と財務省の見解を問いました。
財務省の財政政策の取り組み
についての回答は
以下のようなものでした。
・民需主導の持続的な成長を
実現していくことを目指す。
・潜在成長率の引き上げや
社会課題の解決に重点を置いた
メリハリの効いた予算編成を行う。
・賃上げを力強く押し進めるべく
財政・税制措置を通じて
デフレ脱却に向けて
必要な政策を実施する。
・”財政健全化至上主義”ではなく
出すところにはしっかり出す。
一方、財政健全化については
以下のような見解でした。
・財政の持続可能性に対する信認が
失われた場合、
金利の急上昇や過度なインフレにより
国民生活に多大な悪影響を
与えてしまう可能性がある。
・政府債務が今後も累積していけば
将来的に政策の選択肢が狭まったり
必要な財政支援も滞ったりして
経済に悪影響を与える。
・財政が経済の足を
引っ張ることがないように
政府債務を減らす必要がある。
・今後も引き続き
経済成長と財政健全化の
両立を図る。
とはいえ、国債の残高は
すぐには減りません。
この国債残高を持ったまま
進んでいくしかない状況です。
しかし、経済を成長させれば
国債の残高は相対的に小さくなります。
そちらの方に大きく舵を切っていくべき
ときではないでしょうか。
特に円安や金利上昇で苦しむ
企業家の方などを
ピンポイントで支援する政策に
力を入れてほしい
と神谷議員は要望しました。
2013年からのアベノミクスにより
大企業の利益は大幅に上がりました。
しかし、結局トリクルダウンの
効果はなく、コロナ禍の影響もあって
依然として中小企業の経営は
厳しい状況が続いています。
昨年5月、岸田首相はロンドンのシティで
「インベスト・イン・キシダ」と呼びかけて
外国資本の日本への投資を促しました。
この呼びかけを受けて
今国会では、
金商法(金融商品取引法)の改正による
外国の資産運用会社の新規参入の緩和や
金融資産運用特区の設置などが
進められています。
さらに事業性融資の貸主からも
外国資本は除外されないことが
決まりました。
弱った日本経済の中に
強い外国資本を入れれば
株式・企業・技術などが買収されて
長期的には日本経済全体に
ダメージを与えることが懸念されます。
神谷議員は、機会があるごとに
このようなリスクを訴えてきました。
「日本経済へのリスクを取って
外国資本に日本への投資を呼びかけ
資金調達を容易にしようとするのはなぜか?」
神谷議員は質問しました。
外国資本の導入の意義について
以下のような回答がありました。
・国内だけでなく
外国の資産運用会社も含めた
新規参入の活性化を通じて
事業者間の競争を促す環境整備を図る。
・リスクテイクできる様々な参加者が
市場に入ってくることによって
成長資金が市場に拡大していく。
・金融資産運用特区、金商法の改正、
事業性融資新設など政策を推進し
金融商品や金融サービスの提供を促し、
資産運用業界全体の運用力向上を目指す。
今まで日本は資金調達しやすい状態でした。
それでも資金が回らなかったのは
日本人が金融投資のリスクを
取らなかったからだと考えられます。
ただ、NISAが始まって
日本人もリスク投資を始めています。
せっかく国民がNISAなどに
投資をするのであれば
国内の日本企業に
投資する商品を用意して、
税制優遇も受けられるように
するべきではないでしょうか。
日本人がリスクを取って
投資したお金が
海外に行かずに日本の中で
回るような仕組みを
考える必要があります。
最後に神谷議員は、
今国会で議論されている
政治資金規正法について
質問しました。
「なぜ政治家は
外国人からの寄付を受け取ることを
法律で禁止されているのか
その趣旨についてお答えください。」
※政治資金規正法
(参考:e-GOV 法令検索)
総務省の回答です。
政治資金規正法第22条の5:
「何人とも外国人・外国法人等から
政治活動に関する寄付を受けてはならない」
これは我が国の政治や選挙が
外国人や外国の組織・政府など
外国の勢力によって影響を受けることを
未然に防止する趣旨である。
政治資金規正法の趣旨に
基づけば民間の企業も
過度に外国人からお金をもらうのは
よくないのではないか。
「政治献金はダメだけれども
民間投資に外資をどんどん
受け入れても、なぜ問題ない
という判断になるのか?」
神谷議員は
その違いについて回答を求めました。
「一般論としまして」
と前置きした上で
以下のように回答が述べられました。
・自由で開かれた我が国の市場において
国内海外を問わず多様なプレイヤーが参画し
企業に対し円滑に資金が供給される環境を
整備することが重要である。
・その結果、日本企業への
リスク性資金の供給に
厚みを加えることが期待できる。
・またそのこと自体が
我が国の市場の魅力を高める
ことにもつながる。
神谷議員は、
競争や資本を回すことは大事
と認めた上で、
危機感を持つことが重要だと訴えました。
「何でも競争だ、自由だ
とやっていると、
民間から政治が圧力を受けます」
もう少し厳しい
法的な制限を考えた運用を
要望して質疑を終えました。
詳細は動画をご視聴下さい。