NEWS

2024.06.20

帰化要件の見直しに関する質問主意書

令和6年6月20日付で下記の通り質問主意書を提出しました。
政府からの答弁があった際には、こちらに掲載いたします。
 
『帰化要件の見直しに関する質問主意書』
 

 政府が進める外国人労働者の受け入れ制度の中の特定技能二号では、外国人労働者が家族を帯同することが認められている。これにより、在留資格を更新することで、外国人労働者は、長期間日本に滞在することが可能となり、将来的には、永住権の取得や、帰化申請による日本国籍の取得も可能となる。
 
 こうした経過で帰化して日本国籍を取得した外国人は、日本国民としての権利と責任を持つことになる。具体的には、選挙権や被選挙権を有し、日本国籍を条件とする公務員になる道も開かれる。したがって、帰化には、日本国民としての権利、義務と責任と共に国への帰属意識とその土台となる我が国固有の歴史や文化、生活文化と価値観、それら全ての前提としての日本語を駆使して就業、生活する能力を不自由なく身につけていることが必要と考えられる。
 
 しかし、現在の帰化制度では、これらの要件が具体的に定められておらず、諸外国と比べても極めてあいまいな資格要件となっている。なお、諸外国においては、国籍取得の条件として忠誠や国に関する知識を求めるのが通例である。
 
 帰化を目指した居住権の更新にあたり、アメリカ合衆国では、合衆国の歴史と政治原則及び政体の基本に関する知識と理解を求め、憲法の原則を愛好し、米国の安寧幸福を望むことを誓約することが求められる。
 英国では、連合王国での生活に関する十分な知識を求め、君主への忠誠を誓うことが求められる。
 オーストラリアでは、オーストラリア及びその市民権に関する責任と特権についての知識を求め、公式なセレモニーで忠誠を誓うことになっている。
 ドイツでは、法秩序、社会秩序及び生活事情についての知識を求め、基本法秩序への忠誠の表明が求められる。
 フランスでは、歴史、文化、社会及びフランス国籍による権利と義務についての知識を求め、共和国の基本原則と価値観を遵守することを宣誓することが求められる。
 ロシアでは公用語としてのロシア語修得試験や歴史、政治と社会、生活文化に関わる一般教養試験の受験と合格が求められる。
 
 日本においては、憲法尊重要件について他国と基本的な目的が共通しているが、法務省が行う面接や審査で申請者の法令遵守や憲法に対する理解を確認するだけでは不十分である。他国では、前述の通り、憲法や法律に対する忠誠を公式なセレモニーで具体的に宣誓させるが、日本ではそのような明示的な表現や具体的な誓約の形式が欠けている。
 
 また、帰化の要件のうち、日本語能力に関しては、審査では考慮されるものの、必要とされる日本語能力の程度や適切な試験の実施などが法律に規定されていない。
 
 これらを鑑みるなら、日本の帰化要件においても、忠誠や歴史・文化に関する知識の明示的な要求、日本語能力の具体的な基準設定が必要であると言える。
 
 以上を踏まえ、以下質問する。
 
 
日本の帰化制度において、申請者の背景調査や審査プロセスの透明性を確保するためにどのような対策が講じられているか。
 
 
帰化申請者の犯罪歴や過去の法令違反について、具体的な調査方法と体制がとられ、その内容がどのように審査基準に反映されているのか、示されたい。
 
 
帰化申請が却下される主な理由は何か、列挙されたい。
 
 
帰化申請者に対する審査の公平性を確保のための措置は、どのようなものか。
 
 
近年の帰化申請が増加傾向にあるが、その対応としてどのように審査体制の強化が図られているのか。
 
六 
日本と他国の帰化制度を比較した場合の日本の制度の特色と今後の課題はどのようなものと考えられるか。
 
七 
外国人が帰化後、日本国籍を持つ市民としての責任を果たしているかをフォローアップするための制度や施策はあるか。また、今後導入を検討している制度や仕組みはあるのか。社会教育施策を含め、具体的に明らかにされたい。
 
八 
帰化申請が認められて日本国籍を取得する際に、新たな国籍取得者が日本国民としての責任を自覚するための儀式や宣誓を導入することについて、その可否をどう見るか示されたい。可否いずれの場合についても、その根拠となる理由を示されたい。
 
九 
帰化の条件として、日本語能力を明確な基準を法令的に定めるべきと考えるが、どうか。
 
十 
帰化申請の審査において、申請者の日本国に対しての帰属意識や日本国憲法を遵守する意思、歴史・文化・国の価値観に関する知識を確認するべきことについて、どのように考えるか。
 
 右質問する。

BACK