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2024.07.05

わが町の公立病院から、日本の医療を考える。|中島 としかつ

石川県津幡町議会議員の中島敏勝です。
津幡町には、町が運営する公立河北中央病院があります。令和元年に厚労省から再編・統合が必要な病院とされましたが、病院改革プランで経営強化に励み、コロナ補助金を除いても黒字となったことから、新たに建て替えの話が出てくるようになりました。病院スタッフの並々ならぬ努力がうかがわれ、一見して大変よい話ではないかと思えます。しかし、私が気になったのは、経営数値ではなく、改革プランにあった町民の利用率が外来12.6%、入院28.6%と低い数値であったことです。
 
町民にとって、はたして公立病院が必要なのだろうか。
そもそも公立病院とは、経営的な数値ではなく、ニーズ(必要度)で考えるべきものではないだろうか。
この利用率で経営が成り立ってしまうことにも違和感を覚えました。
 
わが町の公立病院をどうするのか、町民が我が事としてとらえ、日本の医療をも考える良い機会ではないかと考えています。津幡町は金沢市の隣に位置し、高度救急センターが車で20分以内に2つあり、回復期病院、地域包括ケア病棟、療養病院、さらには、様々な診療科クリニックと選択肢が多くあり、過疎地域にくらべれば大変恵まれた環境にあるといえます。
 
町民利用率(シェア)が低いというのは、誤解を恐れずに言えば、なくても困らない、つまり、ニーズがない、不満や欠乏感がない状態ではないかと考えます。ちなみに、津幡町のさらに北にある「かほく市」には、救急病院がありません。公立病院のニーズは、例えば、救急病院が遠い、へき地で医療機関がない、民間経営では不採算部門となる診療科をやっているということなどです。高度経済成長期ではないので「ニーズはともかく、経営的に問題なければよいだろう。」というわけにはいきません。
 
日本の医療はビジネス的側面が強く、各病院が患者を奪い合い、病棟は常に満床を目指しています。病院数、ベッド数は世界一、CT・MRIの高額機器の台数は断トツの世界一です。高齢者への薬の多剤投与など「過剰な医療」という言葉もあります。それを支えているのは、国民皆保険という制度です。
 
令和3年の国民医療費の財源比率は、患者負担が12%でした。例えば、患者が1,200円払えば、そのほかに8,800円も税金や保険料という形で私たち自身が払っていることになります。この感覚をマヒさせてしまうのが、国民皆保険制度のデメリットです。
また、年齢別にみると65歳以上の医療費が60%を占め、ひとり当たり医療費は、65歳以上が75万4000円となっています。これから益々、超高齢化と少子化が進み、若い世代への負担が増えていきます。
 
わが町の公立病院から、日本の医療を考える。|中島 としかつ
わが町の公立病院から、日本の医療を考える。|中島 としかつ

※厚労省令和3年のデータを中島がグラフにした。

 

令和3年の国民医療費は、45兆円を超しました。この医療財源を確保するために、政府は、そのほかの支出を削減し、増税を続け、プライマリーバランスという財政規律をしいてきました。医療のためにあらゆる犠牲が払われてきたともいえます。
 
小さな町の公立病院であっても、日本の子どもたちの未來につながっています。地方自治は、民主主義の学校と言われます。若い世代を含め、町民にきちんと情報を出して、町民が我が事として、公立病院や医療費を考えるきっかけにしてほしいと思います。病院とは、ほぼ高齢者が使うものです。お年寄りも状況が分かれば、自分のことよりも、次世代のため、孫のために理解してくれる方も多いのではないかと私は感じています。
 
「わが町に本当に公立病院が必要でしょうか?」
 

中島 としかつ

Nakashima Toshikatsu
わが町の公立病院から、日本の医療を考える。|中島 としかつ
所属議会
津幡町議会議員(石川県)
経歴
金沢大学文学部行動科学科 社会学専攻。 元冠婚葬祭会社の介護事業部長。
 

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