2024.07.13
世田谷区のオーガニック給食から考える - 食の安全と防災備蓄の新たな可能性|岡川たいき
世田谷区では、子どもたちの健康と食の安全を守るため、「オーガニック給食」に取り組んでいます。この取り組みは全国から注目を集め、多くの方から問い合わせをいただいています。
オーガニック給食は、単に給食の質を向上させるだけでなく、日本の農業や食育にも良い影響を与えると考えます。令和6年3月の予算特別委員会では、オーガニック給食と防災備蓄を結びつける提案を行政に行いました。幸い、行政も前向きに検討してくださるとのことでした。「食の安全」「地域の防災」「日本の農業の未来」、これらがどのようにつながる可能性があるのか、皆様と一緒に考えるために、詳しくご紹介させて頂きます。
・オーガニック給食の現状と課題
(参照元:せたがやの学校給食 有機給食の取組み)
令和5年度、世田谷区は全公立学校でオーガニック給食の取り組みを本格的に始めました。内容としては年6回、公立の小中学校全91校、約5万人の児童の給食に有機米を提供するというものです。この取り組みは、単に安全で栄養価の高い食事を提供するだけでなく、子どもたちに化学肥料を使わずに手間暇をかけてお米を作っていることについて学び考える機会を提供しています。
令和6年度も同様の取り組みを継続しています。令和5年度は、有機米の安定供給に課題がありましたが、JAの協力により年6回の有機米を提供することが出来ました。この継続こそが、子どもたちのお米に対する価値観を育む重要な要素だと考えています。
しかし、このような素晴らしい取り組みにも課題はあります。主な課題は以下の3点です。
1. コスト:有機米は一般的な米より高価であり、精米する機械も専用のものが必要となります。
2. 安定供給:有機米の生産量は限られているため、十分な量を安定的に確保することが難しい場合があります。
3. 理解促進:保護者や地域住民に、オーガニック給食の意義や必要性を理解してもらうことが重要です。
※生産者様から子供達へのメッセージ
(参照元:せたがやの学校給食 有機給食の取組み)
・オーガニック給食から防災備蓄へ
これらの課題を克服し、オーガニック給食の取り組みをさらに発展させるために、私は防災備蓄との連携を提案しました。
現在、世田谷区の防災備蓄状況は十分とは言えません。区内には15万7000人分(避難される方の限界値)の1日分の食料しか備蓄されておらず、東京都が羽田クロノゲートに備蓄している15万7000人分の2日分の食料を足しても、全区民93万人分の1日分にもなりません。また、大規模災害時には同時に多くの市区町村が被害を受けますので、区への物資輸送が困難になる可能性は考えておかなければいけません。 これまでの大震災でも、あっという間にスーパーから食料品が消えた経験をされたはずです。そこで、次のような提案を行いました。
1. 世田谷区内にお米を備蓄する
2. 備蓄米を原則有機米とし、平常時は給食で使用する
3. ローリングストック方式で常に新鮮な備蓄を維持する
(上記:岡川の提案についてあらわした図)
この提案により、食の安全と防災対策を同時に進めることができます。
・まとめ:食の安全と防災対策の両立
オーガニック給食の取り組みを発展させ、防災備蓄と結びつけることで、世田谷区は食の安全と防災対策を同時に進めることができます。これは、子どもたちの健康と安全を守り、持続可能な農業を支援し、災害に強いまちづくりを進める重要な一歩となります。
さらに、都市と地方の新たな連携モデルを創出することで、日本全体の農業と防災の在り方に一石を投じることができるのではないかと考えます。
・おわりに
今後も、このような多面的な視点から政策を考え提案し、世田谷区の未来、そして日本の未来のために、まずは絶対に必要であり続ける食から見直してまいりたいと思います。
皆様の地域では、どのような取り組みをされていますか?
共に、安全で持続可能な社会を築いていきませんか。
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岡川 たいき
Okagawa Taiki
所属議会
世田谷区議会議員(東京都)
経歴
京都産業大学経済学部 卒業
株式会社TIPPING POINT 経営
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