NEWS

2024.08.02

我が家に業者がやって来た!〜清水町での太陽光発電の現状〜
|山本なお

【はじめに】
北海道清水町(しみずちょう)議会議員の山本なおです。
21年前に農家に嫁ぎ、上は19歳から下は11歳まで、4人を子育て中のママ議員です。
清水町は人口8,840人という小さな町ですが、食料自給率はなんと2,000%、牛は60,000頭も飼育されている、農業が盛んな町です。また町の面積の44%(17,757ha)が森林という自然豊かな町でもあります。
 
我が家に業者がやって来た!〜清水町での太陽光発電の現状〜<br>|山本なお
【清水町の現状】
太陽光発電に関する清水町の現状(令和5年9月時点)ですが、個人・法人を含めて73ヶ所の事業計画が認定済みであり、発電出力合計は24,870kW(4人家族が1か月に使用する電力の約60軒分)となっています。 規模が大きい太陽光発電設備は、山に近い畑のそばや、中心地から少し離れた地域、国道沿いなどに点在しています。 発電事業者のなかには町外の企業もあります。代表者名を確認すると日本人の方がほとんどですが、他国の方と思われる名前もあり、私の住む地域でも外国資本が参入しているのかと不安を抱きました。
 
昨年、研修で北海道庁を訪れた際に、太陽光発電について担当の方にお話を聞くと、ソーラーパネルの廃棄の方法がまだ決まっていないということがわかりました。
令和5年11月の環境省のデータによると、日本のソーラーパネル廃棄見込み量は、2032年あたりから年間約80万トンとなり、令和3年の自動車リサイクル法の枠組みにより処理されている日本の自動車は約52万トン(約279万台分)よりも多い量になります。
それを清水町の担当課に確認したところ、「廃棄計画も無く予想廃棄量の把握もしていない」との驚きの回答でした。また「 FIT制度での買い取り価格が下がりソーラーパネルが放置されてしまう事例も把握しているが、経済産業省の管轄なので最終的には国が指導すること」と町が関与していない旨の回答もありました。これは我が町に限ったことではなく、国の方針に従って実施している他の市町村でも同様ではないかと予想できます。
 
FIT制度とは、太陽光発電などの再生可能エネルギーで発電した電気を、国が定める価格で一定期間、電気事業者が買い取ることを義務付ける制度のことで、個人宅用(10kW未満)は原則として10年間、事業用(10kW以上)は20年間発電電力を買い取ることが決められています。
 
我が家に業者がやって来た!〜清水町での太陽光発電の現状〜<br>|山本なお
【太陽光発電ビジネスの裏側】
偶然にも最近、このFIT制度に関連する経験をしました。
なんと我が家に太陽光発電の会社が営業にやって来たのです。
 
元気とやる気のある若い営業マンが「こんにちは!山本さん所有の使っていない土地があるようなのですが売ってくださいませんか?他の会社より高く買えます!」とPRしてきました。
びっくりしつつも話を聞くと、Googleマップで利用していないと思われる土地を探し、登記簿謄本を取り、地権者の家に直接訪問・交渉し、土地を取得して、発電設備を設置しているとのことでした。
しかし、年々買い取り価格が下がって利益が少なくなっているのに、何故積極的に営業をしているのか聞きました。 すると「土地(不動産)と太陽光発電設備を合わせて他の企業に販売し、利益を上げ、さらに管理・運営を受託して、そこでも利益を上げるシステムになっているからです。」と教えてくれました。
また、 なぜ他の企業は発電設備を購入するのかと聞くと、「再生可能エネルギー利用を掲げる有名企業は、イメージアップのために購入してくれます」との返答で「需要と供給」のバランスが取れていることがわかり、私はショックを受けました。
さらに、「土地を手放した地権者からは、土地管理に困っていたので売却できてよかったと喜んでもらえている方もいます」とも聞きました。 近所の目を気にする方に対しては、「近くに他のソーラーパネルが設置されていれば、その続きで設置されているようにカモフラージュして作ることも可能とアドバイスしています」とも話していました。
代々受け継いできた土地を簡単に売ることは出来ないとおっしゃる住民がいる反面、土地の管理に困って売ってしまう住民もいらっしゃることを知りました。
 
【結びに】
清水町は、北海道の「ゼロカーボン」政策に呼応してゼロカーボン宣言を行い、再生可能エネルギーの活用を進めています。当局は自然を活用した地球温暖化対策への貢献を強調していますが、同時に地域の安全と環境を守るための慎重な対応も必要です。今後は、太陽光パネルの日常管理、災害時の対策、事業終了後の処理など、具体的な課題に対応する条例整備が求められます。そのためには、行政、議会、そして住民が一体となって情報を共有し、町の特性に合ったエネルギー政策を協働で構築していくことが重要です。この取り組みを通じて、清水町が環境保護と地域の安全・発展を両立させるモデルとなることができるよう、私も尽力して参ります。
 

山本 なお
Yamamoto Nao
我が家に業者がやって来た!〜清水町での太陽光発電の現状〜<br>|山本なお
 
所属議会
十勝清水町議会議員(北海道)
 
経歴
北海道帯広市生まれ。
北海道十勝清水町在住です。
農家のお嫁さんです。
子供4人。
個人事業主『iitenki』として活動中。
アクセサリーとアートの制作販売。

BACK