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2024.09.06

海外資本による日本の土地買収の現状|大久保 あきら

こんにちは。熊本県菊陽町議会議員の大久保輝(おおくぼ あきら)です。
人口4万4千人ほどの菊陽町は、3年前の2021年秋に台湾の半導体受託生産最大手TSMC(台湾積体電路製造)が半導体の新工場を建設すると発表され、全国的に注目される町となりました。
 
TSMCは世界最大の半導体製造企業として知られ、最先端の技術力を持っているということです。この企業が菊陽町に進出することで、地域経済の活性化や雇用の創出が期待されています。これは地方自治体にとっては大きな機会であり、菊陽町が技術革新の中心地として発展すること、そして地域の中小企業においても新たなビジネスチャンスが生まれ、地域経済が活性化することが期待されています。
 
海外資本による日本の土地買収の現状|大久保 あきら菊陽町に建設されたTSMCが過半数を出資しているJASMの本社棟(右側)及び工場
 
・環境負荷と住民の懸念
地方自治体としては今後の経済の活性化や税収増を見込み歓迎する一方で、大規模な半導体製造工場が建設され稼働することに、地域住民からは様々な懸念の声もあります。
 
半導体工場は大量の水やエネルギーを消費するため、環境負荷が懸念されています。特に水資源については、第1工場が1日に約8,500トンの水を汲み上げて使用すると言われており、隣接地に建設が決定している第2工場も合わせると1日に約22,000トンを汲み上げる予定ということです。この量は一昨年の菊陽町全体の地下水採取量の約80%に相当します。これだけの地下水を採取するため、企業として涵養事業もおこなうということですが、今後地下水量が減少しないかと危惧されています。
 
また、工場建設に伴う工事車両や稼働後の従業員の出退勤などによる渋滞は、これまでも渋滞問題に悩まされてきた地域住民からは改善を求める声が多くあり、このような声に対しても議会でさまざまな議論がなされています。
 
・海外資本による土地購入が急増
そのような中、私はさらに懸念していることがあります。それは、この町や近隣市町の土地を今までにないペースで外国人・外国人投資家の方々が購入しているということです。
 
私はこの町で20年前から不動産会社を経営しており、この周辺の地価の変動は把握していますが、最近の周辺地域の不動産価格は令和6年3月に発表された地価公示価格で、隣接する大津町の1地点の地価公示価格が+33.2%、(地価上昇率(全用途)全国1位)、菊陽町の1地点の地価公示価格が+30.8%(地価上昇率(全用途)全国2位)となっています。またこの2~3年の実勢価格での地価上昇は、私の肌感覚では住宅地や事業用地で2~3倍、一部の農地では投機的な動きもあり10倍~20倍ほどにもなっていると言われており、この高騰はまさにバブルと言われる状況です。
 
私は、この地域の土地を外国人・外国人投資家の方々が場合によっては相場よりも高い金額で購入している状況にある中、周りの同業者の方たちにこのことについてどう考えているのか聞いてみると、皆おなじようなことを考えていました。
 
それは、“積極的に売りたいわけではないが、高く買ってくれるから売るしかない”ということであり、そして、“なんとなくこのままではいけないような気がしている”ということでした。
 
・地価高騰が地域に与える影響
地価の上昇は地域経済の発展を象徴するものであり、土地や不動産への投資が活発化している証とも言えます。しかし、急激な地価上昇にはリスクと課題が伴います。
 
まず、住民の生活への影響です。地価の高騰は、住宅価格や家賃の上昇を引き起こし、地域住民の生活に直接的な影響を与えます。特に、若い世代や低所得層の住民にとって、住宅の取得や賃貸が困難になることが考えられます。
 
次に地元商業への影響です。地価の上昇によりテナント等の賃料も高騰するため、地元の商店やサービス業にとって経営が厳しくなることが考えられます。というより、すでに賃料の上昇により少なくない店舗が撤退しています。これにより、地域の商業活動が停滞するリスクが生じます。
 
地価高騰の背景には、外国人や外国人投資家による土地購入も大きな要因のひとつと考えられます。特にTSMCの進出が決定して以来、菊陽町やその周辺地域の不動産が投資対象として注目され、多くの外国人投資家が土地を購入しています。
 
特定の地域に外国人や外国人投資家が集中して土地を購入することに対して、地域住民の方からは、習慣や文化的な違いからくる日常生活のトラブルや生活への影響、治安に関する懸念の声もお聞きします。そして何より、土地購入が進むことで自治体の監督が行き届かなくなるなど、国家の安全保障に影響を及ぼす可能性もあると考えられます。
 
海外資本による日本の土地買収の現状|大久保 あきら複数の店舗が撤退し、解体中の土地
 
・規制の必要性と法整備の課題
先日、参政党の議員団研修において次のような内容の講義がありました。
 
それは、「日本国土が外国人や外国資本に買収されており、これは国家安全保障上の重大な危機であるが、日本の外資規制は世界標準からほど遠い状況である。現在も外国資本による日本国土の買収は進んでいるが、これほどまでに土地の売買に規制のない国は日本だけだ」ということでした。
 
私は、外国人による土地購入を適切に規制するための法整備を進めることが必要だと思います。特に、重要なインフラや軍事施設の周辺地域における土地購入を制限する規制は早急にしなければならないことです。
 
しかしながら、地方議会でこのような問題に対する具体的な行動はできることがほとんどありません。法律を変えない限り日本の国土は誰でも購入することができ、町の条例等で規制することはできないからです。
 
しかし、このままではいけないと思っているだけで何もできることはないと、この懸念を放置したままでは、現状を容認していることになります。国民一人ひとりが問題意識をもって声を上げていかなければ、気づいた時には国土の大半は外国人の土地となり、日本列島が日本人の領土ではなくなってしまう日が来るかもしれない。そのような危機意識を持ち、海外資本による土地買収の現状をもっと多くの方に知ってもらい、国と地域を守るという観点で政治活動に取り組んでいきたいと思います。
 

大久保 あきら
Okubo Akira
海外資本による日本の土地買収の現状|大久保 あきら
所属議会:菊陽町議会議員(熊本県)

経 歴 :熊本県熊本市生まれ 熊本県菊池郡菊陽町在住 49歳
平成6年 熊本県立熊本工業高等学校 情報システム課 卒業
平成16年8月に有限会社大輝不動産を設立。取締役社長に就任
平成27年4月 菊陽町議会議員選挙に出馬し当選

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