2024.09.27
空想力が地域をつくる!|はやしもと光広
あらゆる地域に課題はあるものです。地方では、少子高齢化や過疎化、都市部では、“痛勤”と表現されるように、通勤ラッシュが深刻な問題です。政府は対策を講じていますが、効果は限定的です。私は幼少期から空想にふける癖があり、今回は市議会議員という立場から、地域の課題解決ビジョンについて空想してみます。
和歌山市は県庁所在地なのですが、中心部を離れるとのどかな田園風景が広がります。
そのような郊外では、高齢化と共に若者の県外流出が進み、農業の担い手が減り、耕作放棄地が増えつつあります。過疎化が進み、唯一のスーパーも撤退し、買い物難民が増えています。このような課題を抱える地域は、全国の至る所にありますが、和歌山県南部の太地町という町で実走されている「自動運転カート」を和歌山市に導入して、地域を救うという空想に、少しだけお付き合いください。
都会の生活に疲れた旅人が、わかやま電鐵貴志川線「伊太祁曾(いだきそ)駅」に降り立つと、そこには自動運転カートがお出迎え、ガイド兼運転補助者として雇用された地元住民が、乗車のお手伝いをして、いざ出発。と言っても、最高速度は時速12km、狭い道は時速3kmまで減速するので、歩いているのとほぼ同じ。ゆったりと田園風景を楽しむことができます。また、狭くて軒先が当たりそうな道でも、自動運転なので安心です。
引用:「新・公民連携最前線 PPPまちづくり」サイトより
途中で地元住民が手を挙げて、カートに乗り合い、会話が弾みます。更に進むと、古民家を改装した田んぼのそばのカフェ、いわゆる「ライステラス・カフェ」に到着。このカフェは、地元農家のみなさんが中心になって経営しているので、それぞれの畑で収穫されたものが食材になり、6次産業化しています。6次産業とは、農業をはじめとする1次産業から加工・流通・販売の2次産業、さらにサービス業の3次産業まで、一体的に連携して付加価値を高める産業構造のことです。カフェの敷地内には農産品の直売所やミニスーパーもあり、地元のみなさんが運営しています。休日に開催するマルシェには、県外の方にも出店していただき、地元住民と触れ合いながら、地域の良さを体感していただきます。
イメージ:ライステラス・カフェ
引用:有限会社ブラウンズフィールドHPより
高齢化の進む農家の子どもや孫たちが地元に戻り、民泊を運営しています。この民泊は、観光目的だけではなく、中長期にわたって滞在いただき、農作業や地域活動、神社の祭りなどにも参加を促し、移住や定住に繋がる仕掛けを施しています。
引用:有限会社ブラウンズフィールドHPより
このカフェは地域のつどいの場でもあり、近隣住民がつどい、介護予防体操や脳トレ、カラオケ大会、趣味の会などを開催しています。また、有事の際には避難所にもなるように、公共のインフラ(電力、水道、ガスなど)に依存しないオフグリッド化が施されています。ここは、健康寿命を伸ばすだけでなく、防災・減災にも有意義な場所です。更に地元の高齢者を巻き込んで、託児所を開設しているので、若い家族の利用や移住を促進しています。
広報とブランディングは、本市の移住・定住担当者をはじめ、インスタグラマー等のインフルエンサーを招待して、取材と拡散を依頼しています。また、本市の東京事務所を通じて首都圏在住者への誘致も行い「スロートラベルのすすめ」を広く発信しています。
※スロートラベルとは…自分のペースでゆっくり地域をまわり、地域の人々や文化との繋がりを重視した、質の高い観光のことを言います。
市民だけでなく、市外や県外、そして、海外からの来訪者にも利便性の高いMaaS(Mobility as a Service)を導入しています。これにより、移動をすべてキャッシュレスで完結でき、ポイントも付与されるため、リピーターを増やすことができます。公式LINEアカウントや専用アプリを活用して、四季折々の観光情報をプッシュ型で提供し、和歌山市内すべての観光資源を継続的にアピールしています。例えば、農作業を観光資源として活用しており、春には田植え、秋には収穫と、年に2回は来訪者を呼び込んでいます。
※MaaSとは…複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済等を一括で、スマートフォンアプリで行うサービスです。
以上が、私の考えるひとつのモデルケースです。公共交通機関が不便で、過疎と高齢化が進む地域でも、自動運転カートという新たなモビリティを導入することで、地元住民の経済活動を可能とし、本市の財政にも貢献できるのです。また、1次産業と自然豊かな地域を守り、有事の際には日頃の人的交流で築かれた相互扶助の精神が、災害に強い地域づくりにつながります。本市のように、一見すると課題ばかりの地域でも、それらを魅力に変えることで、都会にはない素晴らしい地域づくりが可能です。全国各地や時には海外を視察したり、住民のみなさんから寄せられるアイデアをもとに、私たちの空想はどんどん広がります。そして、政治家としての使命はこの空想(ビジョン)を発信し続けて、形にすることです。
さぁ、今日も一緒に空想を膨らませ、明るい未来を創造しましょう!
—
はやしもと光広
Hayashimoto Mitsuhiro
所属議会
和歌山市議会議員(和歌山県)
経歴
追手門学院大学文学部心理学科卒業
国立療養所近畿中央病院附属リハビリテーション学院 理学療法学科卒業
2003年 有限会社Getwell設立 代表取締役に就任
2004年 訪問看護ステーションはやしもと開設
訪問理学療法士として在宅医療に関わる
X(旧Twitter):https://twitter.com/hmocky
Facebook:https://www.facebook.com/mitsuhiro.hayashimoto
Instagram:https://www.instagram.com/hmocky/
ブログ:https://go2senkyo.com/seijika/186155