2024.10.02
憲法第四十一条の解釈と国民の参加制度に関する質問主意書
令和6年10月1日付で下記の通り質問主意書を提出しました。
政府からの答弁があった際には、こちらに掲載いたします。
『憲法第四十一条の解釈と国民の参加制度に関する質問主意書』
日本国憲法第四十一条は「国会は、国の唯一の立法機関である」と規定しており、法律を制定する権限を国会に限定している。この規定は、立法手続における国会の排他的権限を示すものであるが、その具体的な解釈については、なお検討の余地がある。
まず、政府(内閣)による法律案提出が憲法第四十一条に照らして適切かどうかは解釈の要となる課題である。政府による法律案提出は慣例として行われているが、憲法の「唯一の立法機関」という文言との関係を明確にする必要があると思われる。
また、国民の意思を直接法律に反映させる制度としては、国民投票や国民発案(イニシアティブ)が考えられるところ、これらの制度が導入された場合、国会の立法権にどのような影響を与えるかも重要な課題である。特に、国民投票で否認された法律を再審議させる義務や、国民発案による法案審議の義務付けが憲法上許されるかが問われる。
さらに、これらの制度において、国民の意思がどの程度国会を拘束するものと解釈されるべきか、その法的効果についても明確にされる必要がある。
以上の観点から、憲法第四十一条に関する政府の解釈及び国民参加制度の導入に対する政府の見解につき、以下質問する。
一
立法手続は、一般に法律案の発議・提出、その審議・修正、議決・成立といった段階を含むが、憲法第四十一条はこれらすべてを国会が排他的に行うことを規定しているのか、政府の見解を明らかにされたい。
二
内閣による法律案の提出は、憲法第四十一条に違反していないと政府は解釈していると考えるが、その場合、これを憲法第四十一条の例外とみなしているのか、あるいは憲法第四十一条の適用範囲外と解釈しているのか、政府の見解を示されたい。
三
仮に国会で成立した法律について、国民投票で賛否を問う制度が法制化された場合、国民投票により否認された法律を国会に差し戻し、再審議を義務付けることは憲法上許されるのか、政府の見解を明らかにされたい。なお、この再審議は義務付けのみであり、審議・修正及び可決・否決の自由は国会に保障される前提での質問である。
四
国民が法律の制定や改廃を直接提案する国民発案の制度が導入された場合、その発案された法律案の審議を国会に義務付けることは憲法上許容されるのか、政府の見解を示されたい。この点も、審議・修正及び可決・否決の自由が国会に保障されていることを前提とする。
五
前記三及び四の制度が法制化された場合、国民投票による否認や国民発案による法律案は、それぞれどのような法的意味を持つと政府は考えるのか。また、それらが事実上の拘束力を有すると認識するか、政府の見解を明らかにされたい。
右質問する。