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2024.10.02

若者の奨学金負担軽減に向けた支援に関する質問主意書

令和6年10月1日付で下記の通り質問主意書を提出しました。
政府からの答弁があった際には、こちらに掲載いたします。
 
『若者の奨学金負担軽減に向けた支援に関する質問主意書』
 
 昨今の日本では、若者の将来展望に不安が広がっている。民間各社が行っている高校生意識調査でも、学生たちは収入の安定や将来の不確実性を懸念していることが浮き彫りになっている。若者にとって、収入や雇用の安定が大きな課題となっており、これは奨学金の返還負担にも深く関連している。
 
 我が国の年齢階級別実質賃金水準を見ると、二十代の実質賃金はわずかに上昇している一方で、中高年層では賃金が低下している。この背景には非正規雇用の増加があり、若者にとって将来的な収入や雇用の安定が大きな課題となっている。このような状況が続く中、奨学金の返還が更なる負担となり、若者の生活やキャリア形成に悪影響を与える懸念が高まっている。
 
 一方で、現在、外国人留学生の受入れ拡大や労働力不足を補うための育成就労制度が進められている。これらの取組により、短期的には労働力の確保に一定の効果が期待されるものの、長期的には日本の将来を支える国内の若者の育成が重要である。
 
 人口減少が進む中で、日本人学生が安心して学び、奨学金返還に過度に悩まされることなく、将来に向けて十分な教育を受ける環境を整備することが、日本社会の持続的発展に不可欠である。したがって、日本人学生に対する学費支援や奨学金制度の見直しが最優先課題であり、その強化が急務である。
 
 以上を前提に、以下質問する。
 
一 
政府は、「こども未来戦略」に基づき奨学金返還の負担軽減策を講じているが、令和六年度に導入された同軽減策について、具体的な効果の見込みと、その効果をどのように検証し、結果をいつ、どのように公表する予定か、具体的な計画を示されたい。
 
二 
政府は、従来、奨学金返還困難者に対して返還期限猶予や減額返還制度を実施しているが、前記一の負担軽減策によって、どのような改善が期待されているのか具体的に示されたい。また、既存の支援制度の利用実績を踏まえ、同軽減策がどのような効果を発揮すると見込んでいるのか具体的に示されたい。
 
三 
「次世代の教育を支えるための奨学金制度拡充に関する質問主意書」(第二百十三回国会質問第一三七号)に対する答弁(内閣参質二一三第一三七号。以下「答弁一三七号」という。)では、「教育・研究職免除制度」を廃止した理由として、特定の職種に対してのみ優遇することへの不公平感等を挙げている。一方、現在、「教師になった者に対する奨学金返還支援」では、教職大学院を修了し教師となった者に限定して返還免除が行われている。この制度が公平性の観点から問題がないと考えられる理由を示されたい。
 
四 
政府は、教師以外の公務員や他の公共サービス職従事者に対する奨学金返還免除や猶予制度について、現時点では検討していないと答弁している(答弁一三七号)。どのような観点から現時点で検討に至っていないのか、理由を具体的に示されたい。また、今後、これらの職業に対する奨学金返還支援を開始する可能性について、政府の見解を示されたい。
 
五 
財源が限られる中で、外国人留学生への支援と日本人学生への奨学金支援が相互に影響を与える可能性があるか。
 
六 
警察庁が令和四年一月から「奨学金の返済苦」を自殺の原因・動機に追加したことは、奨学金返還が若者に深刻な影響を与えていることを示唆している。政府として、奨学金返還が若者の精神的及び経済的状況にどのような影響を与えていると認識しているのか。さらに、これまで講じられている支援措置が、実際に返還困難者に対して十分に機能しているか、政府の評価を示されたい。
 
 右質問する。

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