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2024.10.02

中国における日本人の安全対策に関する質問主意書

令和6年10月1日付で下記の通り質問主意書を提出しました。
政府からの答弁があった際には、こちらに掲載いたします。
 
『中国における日本人の安全対策に関する質問主意書』
 
 二〇二四年九月十八日、中国深センにおいて、日本人学校に通学中の児童が中国人に刃物で襲われ、翌十九日に死亡するという悲惨な事件が発生した。近年、中国国内では日本人を対象とした攻撃や犯罪行為が急増しており、今回の事件はその一例にすぎない。同年六月には日本人学校のスクールバスが刃物を持った男に襲われる事件があり、同年四月には日本人男性が路上で襲撃されるなど、同様の事件が続発している。さらに、日本人学校への投石や卵の投げ込みといった嫌がらせも報告されており、日本人に対する暴力や嫌がらせは深刻化している。
 
 こうした事件の背景には、かつて日本が中国国内にスパイ学校を開設していたという誤った情報が中国のインターネット上で広まり、現在も日本人学校にその影響が残っていると信じられていることが、不当な攻撃を引き起こしているとの見方がある。
 
 これらの事件は、日本人一人一人の安全を脅かすのみならず、日本と中国の国際関係にも悪影響を及ぼしている。特に、日本政府が中国側に対して再発防止策や日本人保護を強く求めてきたにもかかわらず、依然として日本人が狙われる事件が相次いでいる現状は、政府の対応が不十分であることを示しているといえる。加えて、米国やオーストラリア、韓国など、環太平洋の先進国が中国への渡航に係る危険レベルを引き上げる中、日本だけが依然としてレベルを「ゼロ」としている現状も問題視されるべきである。
 
 また、日本人への暴力行為だけでなく、中国国内では反日デモや政府による日本人の不当拘束が問題視されており、日本人の安全は更なる危険に直面している。これらの状況を放置すれば、日本人への被害が更に拡大する懸念がある。
 
 よって、政府にはこれまでの対応を徹底的に見直し、実効性のある具体的な措置を早急に講じることが強く求められる。さらに、被害の再発を防ぐため、日本人に対する注意喚起や渡航制限の強化、そして中国側との対話を通じた協力的な解決策の模索が必要不可欠である。政府は、日本人の安全を守るため、具体的な行動を即時に開始すべきではないか。
 
 以上を踏まえて質問する。
 
一 
六月のスクールバス襲撃事件後、九月に再度事件が発生したが、政府はこの再発をどのように受け止め、再発防止のために中国政府にどのような具体的対応を求めたのか。また、再発を防ぐために有効な措置を講じる考えはあるか。
 
二 
日本人学校への襲撃事件が続く中、政府としてこれまでにどのような安全対策を講じてきたのか。例えば、六月にスクールバス襲撃事件が発生した後、外務省は二〇二五年度予算案の概算要求に中国でのスクールバスの警備費として三億五千万円を計上したとされるが、更に迅速かつ効果的な対応が必要ではないか。今後、どのように安全対策を強化する予定か、具体的な行動計画を示されたい。
 
三 
近年の日本人に対する犯罪行為や日本人学校への襲撃事件を踏まえ、中国全域に対する渡航に係る危険レベルの引上げを政府として検討しているのか。米国は危険レベルを「レベル三」とし、渡航を再考するよう警告を発し、不当な拘束のリスクを指摘しているほか、オーストラリアやカナダ、韓国なども危険レベルを引き上げている。我が国においても、日本人やその家族に対する強い注意喚起に加え、中長期的な安全対策の強化を早急に検討すべき時期ではないか。
 
四 
このような状況下で、一部の日本の学校が修学旅行の行き先として中国を推進することに対し、政府はどのように考えているか。安全上の懸念を踏まえた政府の見解を示されたい。
 
五 
最近の日本人に対する犯罪行為の背景には、SNSやその他の情報プラットフォーム上での誤解や偏見が影響している可能性があるとも考えられる。政府として、このような情報が日本人の安全に与える影響をどのように認識しているか。また、SNSなどで拡散される反日的なコンテンツや誤情報に対して、正確な情報発信や国際的な協力を通じた対応をどのように進めていく考えか明らかにされたい。
 
六 
中国における日本人保護を強化するため、他国と連携して外国人全体の安全確保に向けた取組を進める考えはあるか。また、国際的な情報共有を行い、国際世論に対して安全対策の必要性を訴える予定はあるか。
 
 右質問する。

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