2024.11.11
選挙における投票方式と無効票に関する質問主意書
令和6年11月11日付で下記の通り質問主意書を提出しました。
政府からの答弁があった際には、こちらに掲載いたします。
『選挙における投票方式と無効票に関する質問主意書』
提出者 吉川里奈
十月二十七日の第五十回衆議院議員総選挙では、全国の小選挙区で無効票が約百六十七万票、全体の二・九九%に達し、前回二〇二一年から増加している。無効票の多さは、有権者の意思が選挙結果に正しく反映されないおそれがあることから、選挙の公正性や信頼性に重大な課題をもたらしている。
公職選挙法では、公職の候補者でない者の氏名や事項を記載したもの、候補者が特定できないもの、候補者の氏名以外の事項を記載したもの等の投票を無効と定めている。
しかし、今回の選挙では、ひらがなで氏名が途中までしか記載されていない票が、同様のふりがなの候補者がいない場合は有効とされている。このような票を有効票に含める判断は、公職選挙法の趣旨を逸脱した解釈ではないかと考える。一方、候補者名が正しく記載されている票でも、エクスクラメーションマーク(!)などが付記されている場合は「余事記載」として厳格に無効とされている。このように、余事記載に対しては極めて厳格な基準が適用される一方で、ひらがなで不完全に記載された票には緩やかな基準が適用されている。基準の運用が一貫しておらず、公平性を欠くと感じる。
また、一九九四年の公職選挙法改正で記号式投票が一度導入されたが、翌一九九五年に自書式に戻され、以後、国政選挙で記号式は一度も実施されていない。当時、「候補者名を有権者に自書させることが、候補者や政党にとって重要な資産である」との考えが背景にあったとされるが、これを理由に自書式投票を続けることは、有権者の意思を正確に反映する観点からは妥当ではない。立候補者確定から印字までの期間が短いことや印刷コストが課題とされているが、開票時間や費用の削減、無効票の減少を考慮すると記号式投票の利点は明白である。
信頼性の高い選挙制度の確立のため、無効・有効票の判定基準を全国で統一し明確にする必要があるのではないかと考える。
以上をもとに、質問する。
一
平成以降の衆議院および参議院議員選挙における無効票数およびその割合の推移について政府の見解を示されたい。また、開票所における無効票の判断基準が明文化され、全国で一貫して運用されているかについて、政府の確認状況を具体的に示されたい。
二
無効票の多発が選挙結果の正確な反映を妨げる可能性について、政府はどのように認識しているか。また、無効票削減に向けた具体的な取組があるか示されたい。
三
国政選挙において記号式投票が一度検討されたにもかかわらず、最終的に採用されなかった経緯と理由について、政府が把握している内容を具体的に示されたい。
四
日本の国政選挙で採用されている自書投票方式は、世界でも日本のみが導入しているとされる。政府として他国で国政選挙において自書投票方式を採用している例があるか把握しているか。ある場合、その国名を示されたい。
五
今回の衆議院議員総選挙を踏まえ、二〇二五年七月の参議院議員選挙までに投票方式を見直す必要があると考える。次回衆議院議員総選挙において記号投票方式導入を検討する予定があるか、政府の見解を伺いたい。
六
自書投票方式と記号投票方式のそれぞれの利点や課題について、政府の見解を示されたい。また、現行方式が記号方式より優れている点について具体的に示されたい。
七
令和三年度において、青森県、島根県、大分県などの知事選や市区長選、町村長選で記号投票方式が導入されているが、現在の導入状況について、地方選挙の種類別に政府の見解を示されたい。
八
記号投票方式を導入している地方自治体では、国政選挙での自書投票方式との混在が生じている。このような自治体から政府に対し、国政選挙への記号投票方式導入について意見や要望が寄せられているか、具体的に示されたい。
九
自書投票方式が高齢者や障がい者にとって投票のハードルとなっている現状についての政府の認識を示されたい。また、すべての有権者が平等に投票しやすい環境を整えるため、記号投票方式などを含む投票環境改善の方針があるか示されたい。
十
開票所ごとの無効票判断基準や運用に差が生じる可能性について、政府としてどのように把握し、統一した運用を確保しているか示されたい。
十一
無効票に加え、疑問票の割合、そのうち有効票とされた票の割合およびその推移について、政府が把握している数値を可能な限り示されたい。疑問票が多いことは自書方式の課題を示すものと考えるが、政府の見解を求める。
十二
無効票削減と有権者意思の正確な反映を目的として、電子投票やオンラインでの記号式投票など、新たな技術を導入する可能性について政府が検討しているか示されたい。
十三
自書投票方式は記号投票方式に比べて高いコストがかかるとされるが、このコスト負担を継続することについて政府の見解を示されたい。また、コスト削減および投票制度の公平性確保の観点から、記号投票方式の検討予定があるか。
十四
無効票削減と有権者の投票意思の正確な反映を目的に、政府として有権者に対する投票方法の教育や周知活動を行う必要があると考える。政府において、これらの活動を強化する具体的な計画があるか示されたい。
右質問する。