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2024.11.11

「政治的公平性」と選挙報道の課題に関する質問主意書

令和6年11月11日付で下記の通り質問主意書を提出しました。
政府からの答弁があった際には、こちらに掲載いたします。
 
『「政治的公平性」と選挙報道の課題に関する質問主意書』

提出者 吉川里奈

 
選挙報道は、国民が投票先を判断するための重要な情報源であり、特に党首討論番組は高い関心を集めるとともに、政党助成金を受ける政党への監視手段としても重要である。放送事業者は公共の財産である有限な電波を利用しているため、その影響力を公正に行使する責務がある。ゆえに、選挙の公平性を確保し、国民の参政権を担保するため、放送法第四条が定める「政治的公平性」「事実を歪めないこと」「多角的視点の提供」の厳守が求められる。
 
しかし、第五十回衆議院議員総選挙では、日本記者クラブ主催の党首討論会や一部民放の討論番組において、一部政党が排除される事態が発生した。日本記者クラブによれば、今回は、「現職の国会議員五人以上、かつ得票率二%以上」を登壇要件とし、従来用いていた基準(「国会議員五名以上」または「得票率二%以上」)より厳しい条件にしたという。これにより、一部政党が発言の機会を失い、特定の政党が優位に扱われる報道が行われた。こうした恣意的な基準の変更が、選挙報道の公平性に影響を与えていることが強く懸念される。
 
さらに、民放各社がスポンサー収入に依存していることも、選挙報道の公正さに影響を与えかねない要因である。スポンサーの意向に沿わない政党が不利に扱われる懸念もあり、こうした状況が続くと、国民が重要な選挙情報を正確かつ多角的に得る機会が制限され、「知る権利」や参政権の行使に支障をきたすおそれがある。
 
以上を踏まえ、選挙報道においては、放送法第四条に定める「政治的公平性」「事実を歪めないこと」「多角的視点の提供」の厳守が不可欠であり、放送事業者にはこの責務を徹底することが求められる。
 
以上を前提に、質問する。
 
 
政府は、放送法第四条に基づく「政治的公平性」や「多角的視点の提供」が選挙報道において適切に守られているかをどのように確認しているか。また、これらが守られていないと判断した場合、具体的にどのような措置を講じる方針か。
 
 
政府見解によれば、放送法第四条第一項第二号は法規範性を有し、違反があれば業務停止命令が下される可能性がある。この点、強制措置の前段階として改善要請や是正勧告、警告などの行政指導を行う基準や方針はあるか。また、過去に放送法第四条違反に対して改善要請や是正勧告、警告といった行政指導が実際に行われた事例はあるか、件数と時期、その内容を併せて伺いたい。
 
 
選挙報道全体で特定の政党が有利に扱われることなく公平性が確保されるためには、登壇基準や報道基準が恣意的に不公平な内容に変更されないよう公平な内容で統一されることが重要であると考えられるが、政府としてその必要性をどのように認識しているか。また、登壇基準の公平性や恣意的な変更がされないための基準統一に係るガイドラインの整備について今後検討する意向はあるか。
 
 
政府見解では、放送法第四条に基づく「政治的公平性」の判断は、その時の総務大臣が個別に行うとされている(平成二十八年二月八日、衆議院予算委員会での高市早苗総務大臣(当時)の答弁)。しかし、大臣が個別に判断を行う場合、その基準が不透明で、政治的圧力や個人の裁量に左右される懸念がある。政府として「政治的公平性」の判断基準を明確化する考えはあるか。
 
 
国民が公平で正確な選挙情報を得られるよう、政府として「知る権利」を保障する観点から、具体的にどのような対策が考えられるか。特に、少数政党の意見や多様な視点が公平に報道される仕組みを強化する必要があると考えるが、政府としてどのような取組を進める考えか。
 
右質問する。

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