2024.11.11
NHK国際放送の適正運営に対する政府の関与方針に関する質問主意書
令和6年11月11日付で下記の通り質問主意書を提出しました。
政府からの答弁があった際には、こちらに掲載いたします。
『NHK国際放送の適正運営に対する政府の関与方針に関する質問主意書』
提出者 神谷宗幣
令和六年八月十九日、NHKラジオ国際放送において、中国籍スタッフが「尖閣諸島は中国の領土」と日本政府の公式見解に反する発言を行い、さらに、「南京大虐殺」、「慰安婦」など日本を批判する発言(以下「今次発言」という。)をしたことが明らかとなった。今次発言は公共放送としての使命に反し、放送法及びNHKの「国際番組基準」に明確に抵触するものである。
放送法第八十一条第五項は、NHKの外国人向け国際放送に「我が国に対する正しい認識を培い、及び普及すること等によつて国際親善の増進及び外国との経済交流の発展に資する」ことを求めている。また、NHKの行動指針や国際番組基準では「公正な編集」、「真実の報道」、「国家としての立場の明確化」との旨が強調されている。
さらに、総務大臣には放送事項を指定してNHKに要請できる権限があり、NHKの国際放送には時事問題や国の重要政策、国際問題に関する政府見解や日本文化について正しく外国に伝える責務がある。こうした目的のために、令和五年度にはNHKラジオ国際放送に九・六億円、NHKテレビ国際放送に二十六・三億円の交付金が支出されている。この点においても、今次発言は重大な問題である。
しかし、今次発言はこれらの責務が十分に果たされず、NHKが政府から交付金を受けながら公共性を逸脱する内容を放送したことで、深刻な信頼失墜を招いている。また、当該スタッフには事前に過激な発言が見られたにもかかわらず、NHKは事前の対応策を講じず、放送内容を即時訂正することもできなかった。本事案は、NHKの危機管理体制と緊急対応能力の欠如を露呈している。さらに、今次発言の後も対応が遅れ、当該スタッフが日本を出国するに至った経緯には、NHKの危機意識の欠如が顕著に現れている。
NHKは本事案を受け、再発防止策とガバナンス強化を表明しているが、危機意識の欠如や対応の遅れ、情報精査の不備など課題は依然として残っている。NHKが掲げる行動指針と国際番組基準に照らし、再発防止策の実効性と公共放送としての信頼回復がどのように果たされるのかが問われている。本事案は、NHKの公共性及び放送法上の義務を深く揺るがすものであり、政府としてもNHKへの指導と監督体制を再考する必要がある。
以上を踏まえ、以下質問する。
一
NHKの国際放送が政府の要請や放送法に沿った内容になるよう、内容を確認・保証する仕組みは確立されているか。ある場合、その内容と運用方法について示されたい。
二
今回のように、放送法や政府の要請に反する放送内容が発生した場合、政府は行政指導以外にどのような対応が可能か。例えば、放送免許に関わる措置など、他に取り得る方法があれば示されたい。
三
NHKの危機管理体制を強化するに当たり、政府として支援できる施策があるか。例えば、他の公共機関から専門的な知見や技術を提供するなど、NHKの危機管理とガバナンス強化に対する具体的な支援について政府の見解を示されたい。
四
NHKが表明した再発防止策やガバナンス強化の進捗状況について、政府としても監督し、国民に公表するようNHKに求めるべきではないか。また、定期的な公表のタイミングを指示する考えはあるか。
五
国際放送の健全性や公共性を確保するため、政府とNHKが定期的に会合を設け、放送内容やガバナンス状況を確認する仕組みを導入することを検討すべきではないかと考えるが政府の見解を示されたい。
六
NHKのラジオ国際放送だけでなく、テレビ国際放送も放送法及び国際番組基準に沿っているか確認し、必要があれば政府として改善を指示する考えはあるか。また、交付金が使われる放送として、日本以外の国への偏りがないか調査すべきではないか。
七
NHKにおける外国籍スタッフの採用実態(国籍、人数、業務内容)を把握しているか。特に、中国籍スタッフは「国家情報法」に基づき国外でも政府命令に従う義務があることから、中国籍スタッフがNHKの業務に関わることの安全保障上のリスクについて政府としてどのように認識しているか示されたい。
八
NHK放送センター内に韓国放送公社(KBS)が支局を設置し、また、中国中央電視台(CCTV)も過去に支局を置いていたとされるが、政府としてこの事実関係を把握しているか。また、外国放送局がNHK敷地内で活動する場合、NHKの公共性やガバナンスへの影響を踏まえ、どのような監督・管理体制を整備しているか示されたい。
九
NHKが国際番組基準を確実に遵守し、公正な報道を維持するために、第三者による監視機関や評価機関の設置を検討すべきと考えるが政府の見解を示されたい。
右質問する。