2024.11.28
闇バイト規制に関する質問主意書
令和6年11月28日付で下記の通り質問主意書を提出しました。
政府からの答弁があった際には、こちらに掲載いたします。
『闇バイト規制に関する質問主意書』
提出者 神谷宗幣
現在、SNSやインターネットを通じて募集される「闇バイト」が深刻な社会問題となっている。闇バイトは、高収入を謳うことで、特に経済的に困窮し、情報リテラシーが不足している若者を犯罪行為に巻き込み、社会秩序を著しく乱している。また、これらのやりとりには、匿名性の高い通信アプリ「シグナル」などが利用され、状況把握や規制が困難となっている。この結果、闇バイトの監視や規制が不十分な状況となり、犯罪拡大の一因となっている。
実際に、闇バイトをきっかけに引き起こされた事件は全国で後を絶たない。例えば、北海道札幌市では、二十五歳の建築作業員が住宅に侵入して現金を窃盗し、「闇バイトで勝負に出て借金をリセットしたかった」と供述している。東京都品川区では、十七歳の高校生がエステ店を襲撃し、「違法な店だから強盗をしても捕まらない」と指示役から説明されて犯行に及んだと供述している。このほか、神奈川県川崎市や愛知県名古屋市、埼玉県久喜市でも、SNSを介した闇バイト募集をきっかけにした事件が発生している。
こうした事例は、SNSやインターネットを通じた闇バイト募集が犯罪の温床となっていることを明確に示しているだけでなく、経済的に困窮し、情報リテラシーが不足している若者が、「楽して稼げる」との甘言に引き寄せられ、容易に犯罪に巻き込まれる現状を浮き彫りにしている。
この問題に対処するためには、犯罪の入口を断つ取組が不可欠である。闇バイトの実行段階を取り締まるだけでは不十分であり、SNSや求人サイト上の募集投稿を監視・規制する体制の整備が急務である。また、経済的な困窮や情報リテラシーの不足が犯罪の引き金となっている現状を改善する必要がある。政府は、SNS規制の強化と併せて、若者への経済的支援策や情報リテラシー教育を推進し、犯罪の温床を断つ総合的な対策を講じるべきである。闇バイトは一部の若者や地域の問題ではなく、社会全体の秩序を揺るがす課題であり、迅速かつ包括的な対策が求められる。
以上を前提に、以下質問する。
一
政府及び警察庁において、闇バイトをどのように定義しているか。また、闇バイトと通常の求人を線引きする基準について示されたい。
二
闇バイト問題に対し、警察庁は犯罪捜査において、犯罪防止の観点から、現在どのような対応を採っているのか。また、匿名性の高い通信アプリなどが犯罪に利用されるケースについて、どのように追跡・摘発を行っているのか。これらの課題と対策について示されたい。
三
求人サイトやSNS上に投稿される闇バイトの募集と疑われる情報について、運営会社に対して警察への通報を努力義務として課すべきであると考えるが政府の見解を示されたい。また、現在実施している取組があれば示されたい。
四
闇バイトを防止するため、国の機関や地方公共団体に対し、疑わしい求人について国民が相談できる窓口の設置を義務化する考えはあるか。また、そのような通報先や相談窓口の周知を図るため、政府広報をテレビやインターネットで展開する計画はあるか。具体的な取組があれば併せて示されたい。
五
闇バイトの危険性を若者に認識させるため、学校教育の場で警察が直接啓発活動を行う必要があると考えるが、このような取組を全国的に実施する計画はあるか。また、匿名性の高いアプリが犯罪に利用される現状を踏まえ、情報リテラシー教育の強化に関する取組についても示されたい。
六
匿名性の高い通信アプリや暗号化技術の進化により、犯罪行為の検知や追跡が困難になるケースが増加している。このような状況に対し、政府は規制体制をどのように整備し、技術面での追跡・摘発能力を強化しているのか。また、他国における規制や技術対応に係る同様の事例を把握しているか。それらを国内の規制強化や対応策にどのように活用していく方針か示されたい。
右質問する。