2024.11.28
改正戸籍法に基づく振り仮名記載義務化の短期間での実施に関する質問主意書
令和6年11月28日付で下記の通り質問主意書を提出しました。
政府からの答弁があった際には、こちらに掲載いたします。
『改正戸籍法に基づく振り仮名記載義務化の短期間での実施に関する質問主意書』
提出者 北野裕子
二千二十五年五月二十六日の改正戸籍法施行により、戸籍に氏名の振り仮名を記載することが義務化される。この取組は、行政のデジタル化を推進する一環として行われているが、効率的なデータ管理や本人確認の精度向上、不正行為の防止といった目的が掲げられているものの、その性急な進め方には大きな懸念が残る。
本年十一月十七日の時事通信社の報道によれば、施行を目前に控えた現時点で自治体から「間に合わない」という声が相次いでいるとのことである。全国民に振り仮名を通知し、修正が必要な場合には届け出る仕組みとなっているが、大量の通知発送や住民からの修正対応、問合せ対応など膨大な業務が発生する一方で、国からの具体的な支援や詳細な業務フローが十分に示されていないとされている。また、住民への周知不足が指摘されており、これにより自治体窓口への負担が大幅に増加する懸念もある。
こうした状況は、国が掲げる施策を円滑に進めるために必要な十分な時間的猶予を確保せず、性急に制度を進めようとしていることに原因があると考えられる。拙速な運用開始が自治体や住民に混乱をもたらさないよう、計画全体を見直し、現場に即した対応方法を慎重に検討する必要があるのではないかと考える。
以下これらの点を踏まえて質問する。
一
自治体から業務が「間に合わない」との声が相次いでいる中、施行後一年以内に振り仮名の届出を完了する計画が現実的であると判断した根拠は何か。また、政府は、そのスケジュールの妥当性をどのように検証したのかを明らかにされたい。
二
報道によれば、国から自治体への具体的な支援や業務フローが十分に示されていないとされるが、この点について、政府の見解と対応策を示されたい。
三
振り仮名登録業務に必要な経費に関し、国が自治体に負担を強いている現状について、政府はどのように認識しているのか。また、自治体の負担を軽減する具体的な策を明らかにされたい。
四
通知する振り仮名の正確性について、地域によって異なる読み方がある名字(例えば、「小野」の読み方が「おの」「おのう」など複数存在する場合)、特殊な漢字や代用漢字を使用している場合、誤ったデータ入力や住民の申請ミスが起こった場合には、正確性が担保できない可能性があると考えられる。このような場合に正確性をどのように保証するのか、政府における具体的な対策を示されたい。また、誤りが発生した場合、その責任を国と自治体のどちらが負うのか、どのように役割分担がなされるのかも明確にされたい。
五
オンライン手続に不慣れな高齢者やアクセスが難しい人々が修正手続で負担を負うことを防ぐため、政府はどのような支援策を講じる予定か。
六
住民への周知が不足しているとの指摘があるが、この問題を解決するため、政府はどのように情報提供と手続への支援を行う予定か。
七
改正戸籍法の施行に伴い、戸籍制度の管理やデジタル化が進む中、戸籍制度とマイナンバー制度の役割や関係性についても議論が求められると考えられる。両制度はそれぞれ異なる目的や役割を持つとされるが、政府はこれらを将来的にどのように位置づける方針なのか。また、両制度を統合する可能性について、現時点での見解を示されたい。
右質問する。