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2024.11.29

地域の絆を取り戻そう 互いを知ることからはじめる国づくり|中島敏勝

石川県津幡町の中島敏勝です。
今回は地域社会が直面している課題について考えてみたいと思います。

 

地域の子どもに声を掛けられなかった

先日、地震で壊れた鳥居のことで打ち合わせをしていたとき、下校途中の小学生が私の前を横切りました。「おかえり!」と声をかけたのですが、返事がありませんでした。
 
私はもう一度、声を掛けしようとしましたが、躊躇してしまいました。ここ最近町内SNSで子どもへの不審な声かけ事案が続いていることが頭をよぎったからです。
 
私はその子どもの名前も親御さんも知りません。名前を聞けば答えてくれたのかもしれません。しかし、私にはそれができませんでした。
 
「昔とは違うのだ。もう変わったのだ。 」そう気づいていながら、あらためて地域が変わってしまったことを自覚しました。
 
地域の絆を取り戻そう 互いを知ることからはじめる国づくり|中島敏勝能登半島地震で壊れた地元の神社の鳥居
 

大人と学校の先生に守られていた子どもたち

私はのどかな村落共同体で育ちました。
小学校は木造校舎の学年 1 クラス。田んぼでザリガニを取り、小川があり、畑では、こやしの匂いがしました。学校で、運動場で、神社で、村の駄菓子屋で、学年に関係なく、子どもたちは、いっしょに遊びました。
 
まわりの大人からはよく叱られました。
畑のイチゴや庭のグミをとって歩き、村の共同浴場では騒ぎ、湯船で、おしっこをするのですから当たり前です。葬式があれば、お菓子をとろうと、縁側で待ち構え、終わると同時に奪い合います 。行儀が悪いと注意されました。火遊びが見つかり、芋づる式にばれて、職員室の時計の下で正座しました。地域の大人と先生が連携して、しつけをしてくれていました。
 
行事も盛んでした。
祭り、盆踊り、ソフトボール、相撲、サッカー、卓球、自転車の乗り方、キャンプ 、雪の芸術作り、ミニスキー、子ども会、おもしろいことがたくさんありました。大会の後は、必ず外食に連れていってくれました。普段食べられない焼肉、ラーメン、アイスクリームに大喜びしました。大人たちも大変だったと思います。
 
学校の先生もよく遊んでくれました。
放課後だけでなく、下宿していた先生の部屋に起こしに行っていっしょに遊びました。 朝 4 時に起きて、理科室から望遠鏡を出してきて、みんなで彗星を見ました。子どもたちは、ただ楽しいだけの日々でした。
 
どの家も鍵などかけていませんでした。
帰ってきたら、勝手に野菜や餅やお土産が置いてありました。ごはんが足りなくなると茶碗を持って借りに行きました。振り返れば、地域の大人たちが見守っている中で、安心して日々過ごしている、そんな地域でした。どこのだれか知らなければ「お前はどこのもんや?」と必ず聞かれました。屋号や父の名前をいうと「そうか。そうか。」と言ってくれました。知らない人などいないのです。
 
地域の絆を取り戻そう 互いを知ることからはじめる国づくり|中島敏勝昭和40年代の筆者と姉
 

新しい地域コミュニテイ作りへ

時は移り、個人主義が進み、生活スタイルも変わり、新しい移住者も増えました。
その結果、大人も子どもも、お互いのことを知らないことが多くなりました。昼間でも、いちいち鍵をかけるようになりました。昔に比べ、地域のつながりが薄くなってきたことを肌で感じるようになりました。
 
地域コミュニティとは、単なる地理的な集まりではなく、住民同士が相互に知っている関係が形成されてこそ、地域コミュニティと言えるのではないでしょうか。私の村も昔と比べて、地域コミュニティとは言えない状態に進んでいます。PTA 役員、自治会の担い手が見つからない、行事の参加者が少ない等の議論は私の村だけではないはずです。
 
地域コミュニティには、教育、郷土愛、防犯、防災、助け合いなどいろんな機能があると言われますが、まずは 「互いに知る」ことから地域コミュニティは始まると私は考えます。
 
大人も子どもも、お互いに知りましょう。
あいさつの次は、自己紹介をしましょう。
次は回数を増やしましょう。
新しい人が来たら、古い人から積極的にいきましょう。
 
回数が増えると人間関係ができていきます。
笑顔をくれたり、話を聞いてくれたり、心配してくれたりします 。そんな基本動作から大人の私たちから始めて「子どもが安心して過ごしている地域」を作っていきましょう。
 
ささいなことかもしれませんが、互いを知ることから、地域コミュニティが形成され、良い日本に繋がっていくと私は信じています。
 
地域の絆を取り戻そう 互いを知ることからはじめる国づくり|中島敏勝昔の盆踊りの仮装大会の様子
 


中島 としかつ

Toshikatsu Nakashima

地域の絆を取り戻そう 互いを知ることからはじめる国づくり|中島敏勝

所属議会

津幡町議会議員(石川県)

経歴

金沢大学文学部行動科学科 社会学専攻。 元冠婚葬祭会社の介護事業部長。

 

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