2024.12.12
国際競技ルール改定への日本の関与不足と発言力強化に関する質問主意書
令和6年12月11日付で下記の通り質問主意書を提出しました。
政府からの答弁があった際には、こちらに掲載いたします。
『国際競技ルール改定への日本の関与不足と発言力強化に関する質問主意書』
提出者 吉川里奈
パリ二〇二四オリンピック及び同パラリンピック大会において、日本選手団は多くのメダルを獲得し、国民に感動を与える素晴らしい成果を挙げた。これらの結果は、選手たちの努力と、日本が積み重ねてきたスポーツ振興の成果であり、国際社会における日本の存在感を示すものとなった。
一方で、国際競技における課題も浮き彫りとなっている。それは、競技ルールの改定における日本の関与不足である。過去の大会や国際舞台では、ルール改定が日本選手に不利な影響を及ぼした事例が少なくない。スキージャンプでは、体重に応じたスキー板の長さ制限が導入され、小柄な選手が多い日本にとって不利な条件となった。競泳では、鈴木選手が活躍した要因であるバサロ泳法が距離制限を受け、日本選手の得意とする戦術が制約された。また、柔道では有効ポイントの廃止や試合展開の高速化が、「一本勝ち」を重視する日本伝統のスタイルに影響を及ぼしている。他にも、フィギュアスケートや体操では採点基準が難度重視にシフトし、表現力や完成度を得意とする日本選手が厳しい状況に直面することがあった。
これらの課題は過去の大会から継続して見られるものであり、長年にわたり続く課題を象徴している。背景には、競技の公平性を追求する意図だけでなく、商業的な目的や他国の戦略的な働きかけがあると指摘されることも多い。日本がルール策定に十分関与しなければ、自国の特性や競技文化が反映されず、国際舞台での競争力がさらに損なわれる可能性がある。
日本のスポーツ文化は、「勝敗」のみに価値を置かず、競技を通じた選手の成長や人格形成を重視してきた。柔道や剣道などの武道は、技術向上だけでなく精神的成熟を目指す競技文化を象徴している。この哲学は国際競技にも貢献し得る重要な視点である。日本がルール改定への発言力を高め、公正な競技環境を築くことは、選手の活躍を支える上で不可欠である。また、スポーツ外交の強化や国際的な人材の育成を通じ、国際舞台での存在感をさらに高める取組が求められる。
以上を前提に質問する。
一
スキージャンプのスキー板長さ制限、競泳のバサロ泳法の距離制限、柔道の試合形式変更など、日本選手に不利と指摘されてきたルール変更に対し、政府及び関連機関はこれまでに具体的にどのような対応を取ったのか。例えば、ルール変更の背景や意図を確認した上で、国際競技連盟や関連組織に異議を申し立てた、または対話を行った記録があるか。それが実際にどのような成果をもたらしたのかを具体的に示されたい。また、これらの課題に対する政府の対応方針がパリ二〇二四オリンピックでどのように反映されたのか、特に国際スポーツ組織への働きかけの有無について説明されたい。
二
日本が国際スポーツ界、特に競技ルールの改定や審判制度の決定プロセスにどの程度影響力を持っているのか、国際競技連盟の理事ポスト数、役員の割合、ルール策定会議での発言機会などを基に、政府として把握されていることを可能な限り説明されたい。また、米国、英国、ドイツなど主要な先進国と比較して、日本のプレゼンスがどの水準にあると政府は考えているのか、その根拠を明示されたい。
三
文部科学省及びスポーツ庁が推進している、国際スポーツ組織における役員ポストの獲得支援や人材育成事業について、これまでにどのような成果があったのかを具体的に示されたい。また、現在の取組で日本の発言力が十分に高まっていると考えるのか、現状の施策における課題や限界を政府としてどのように認識しているかを明確にされたい。
四
日本が国際競技ルールの改定や審判制度に積極的に関与するため、今後政府はどのような具体的施策を講じるのかを示されたい。また、日本のスポーツ特性や文化を国際的に反映させるために必要な体制や資源配分について、政府はどのように計画しているのか。さらに、それを実現するための具体的な目標を明示されたい。
右質問する。