2024.12.12
大学における外国人留学生の出身国の偏在と安全保障上の懸念に関する質問主意書
令和6年12月12日付で下記の通り質問主意書を提出しました。
政府からの答弁があった際には、こちらに掲載いたします。
『大学における外国人留学生の出身国の偏在と安全保障上の懸念に関する質問主意書』
提出者 神谷宗幣
我が国の教育機関には、世界各国からの留学生が在籍している。これは日本社会や教育の国際化を促進し、日本の国際的な存在感を高めるものである。しかし、外国人留学生が増加する中、その数や比率、出身国などについて、バランスや安全保障等の観点から注視する必要がある。特に、特定の国からの留学生が多数を占める場合には、慎重な対応が求められる。
外国人留学生の数は、コロナ禍において一時的に減少したものの、再び増加傾向にある。日本学生支援機構が実施した「二〇二三(令和五)年度外国人留学生在籍状況調査結果」によると、二〇二三年五月一日現在の外国人留学生数は約二十八万人に達しており、前年比で二十%以上の増加となっている。このうち、中国人留学生が約十一・五万人と最も多く、全留学生の約四十一%を占めている。第二位のネパールは約三・八万人、第三位のベトナムは約三・六万人であり、これらに比べて中国からの留学生の数は突出している。外国人留学生の多い大学としては、早稲田大学が最多で五千五百六十人、次いで東京大学が四千六百五十八人、立命館大学が三千二十七人である。
東京大学の調査によれば、同大学における中国人留学生の比率は、二〇二三年五月一日現在、外国人留学生の約六十五%、全学生の十一%以上を占めている。東京大学は国の最先端の研究機関であり、敏感な安全保障関連の研究も行われている。そのため、留学生の国籍構成とその管理は、単に学術的な問題を超え、国家の安全保障に直接的な影響を及ぼす可能性がある。
中国は力による現状変更の試みを継続しており、我が国の領海・領空への侵入を繰り返している。また、軍民融合を掲げ、民間技術の軍事転用を進め、国防動員法や国家情報法を施行している。このような状況の中で、留学生政策においても国籍のバランスを考慮し、安全保障上のリスクを最小限に抑えるための対策が求められる。
以上を踏まえて、質問する。
一
政府は、国内の大学における外国人留学生の数、比率、出身国をどの程度把握しているのか。また、学生総数に占める外国人留学生の比率や、出身国に偏りが見られる現状について、政府の見解を示されたい。
二
中国からの留学生が突出して多い現状を政府はどのように評価しているのか。一国が突出している状況、特に、安全保障上の課題が多い中国からの留学生の増加について、政府はどのように考えているのか。
三
中国の国防動員法・国家情報法及び軍民融合政策を踏まえ、日本の教育機関における中国人留学生の突出が我が国の安全保障に与える影響について、政府は具体的に分析すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
四
外国人留学生の出身国に係る偏りを是正するため、政府はどのような施策を検討しているのか。
五
少子化が進む中で大学の数が増加している現状に対して、政府はどのような対策を講じているのか。供給過剰にある大学の定員確保策として外国人留学生の受入れを増加させることが適切であると考えているのか。
右質問する。