2024.12.13
旧幼稚園施設の再活用
~地域と共に育む新たな学びの場~|鈴木まゆみ
みなさん、こんにちは。静岡県焼津市の鈴木まゆみです。
今回は、2月の一般質問で旧幼稚園施設の再活用について質問し、6月議会にて全会一致で可決した「不登校児童生徒の新たな学びの場」設立までの道のりをお話ししたいと思います。
私が、新たな学びの場について関心を持つきっかけとなったのは、5年前に息子と受診で訪れた心療内科での経験でした。
病院の受付に行くと、予約が2か月先まで埋まっており、受診はさらにその先になってしまうことを伝えられ、新たな受け入れができない程、患者でいっぱいということが分かりました。受診をあきらめて帰ろうとした時、ふと目に入ったお部屋がありました。患者さんの待機室です。卓球をしている学生さん達と、プレーを見守りながら順番を待っている親子。部屋いっぱいに並んでいる光景を見て心が痛み、地域の子どもたちが心療内科に頼る状況の厳しさを実感しました。
もう一つのきっかけは、市内の市立幼稚園の廃園です。
この幼稚園は、入園児童の減少などにより、惜しまれつつ2年前に廃園となりました。市側は企業への売却を模索しましたが、実現には至りませんでした。なかなか具体的な運用が決まらない中、地域住民の方々から、旧幼稚園施設を地域の活性化のために活用できないかという声が上がり始めました。
そのような中、2月議会で私は、旧幼稚園施設を地域のカフェとして活用する提案をしました。参考にした他県の事例では、小学校に隣接した施設を授業の一環で児童生徒がカフェとして運営し、好評を得ており、地域住民が交流の場として利用しています。
近年の核家族化、PTA・子ども会・自治会未加入等による孤立・孤独化で、地域とのつながりが薄くなってきています。この提案は、学校に通えない子どもたちの居場所の提供をすることと、地域コミュニティの場の提供を目的としました。
2月議会が終わった3月上旬、市内3か所目となる教育支援センター「チャレンジ教室」の新設案が発表されました。このチャレンジ教室は、学校に行きたいという思いをもちながらも、登校できない児童生徒のために市が開設したものです。これまで市内には中部と南部の2か所に教育支援センターがありました。今回、新設案の発表があった地域は北部で、その場所が2月議会において一般質問で取り上げた旧幼稚園施設でした。
6月議会において補正予算案が上程、不登校児童生徒の学びの場として「焼津市チャレンジ教室(教育支援センター)」の新設が全会一致で可決されました。カフェとしての活用は採用されませんでしたが、児童生徒へ寄り添った支援ができる施設として生まれ変わることになりました。補正予算成立から10月のオープンへと、スピード感のある実行力に驚きました。同時に嬉しい気持ちも込み上げてきました。地域住民の方々も大変喜んでいます。
既存の2か所のチャレンジ教室は市の庁舎内に併設されています。チャレンジ教室は「自然と触れ合える環境を」との構想があったものの、予算に組み込むことはできなかったと説明を受けました。花や野菜を育てるにもプランター栽培しかできないのが現状でしたが私が2月議会の一般質問において、多くの児童生徒が心療内科に通っているという事実をお伝えしたことにより、チャレンジ教室の自然豊かな場所での新設に少なからず影響を与えることができたのではないかと確信しております。
この旧幼稚園施設は東益津チャレンジ教室と命名されました。施設は里山のふもとにあり、野菜作りなどの体験や広い旧園庭での軽スポーツなど、ワクワクするような学びの体験ができます。定員は24名ですが、10月のオープンから早速申し込みがあり、すでに定員に達している状況です。南部からバスで通ってくる児童生徒もいらっしゃり、欠席率は少ないそうです。室内や庭には子どもたちの手作りのものがあちこちにあり、小鳥の餌置き場は、カラスに食べられないようにと出入り口の大きさを工夫しています。自分達で考えて判断して作る。想像力を掻き立てられる環境がこの教室の魅力の一つです。また、地域住民の方との餅つき、しめ縄作りの体験など、楽しく伝統文化を受け継いでいます。
焼津市内の不登校児童生徒数は456人です。中学校区に一つはこのようなチャレンジ教室が必要だと感じました。
チャレンジ教室は、子どもたちが円(縁)の真ん中にあり、学校・地域・家庭が結びついて、「子どもたちの成長を共に育んでいく学びの場」となっています。いずれカフェも開けたらいいなと、当初のプランは私の中でそのまま取っておき、実現させたいと思います。
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鈴木 まゆみ
Suzuki Mayumi
所属議会
焼津市議会議員(静岡県)
経歴
奈良芸術短期大学デザイン科卒業後、デザイン事務所を経て観光ホテル勤務。
26才でエステサロンを起業。結婚後は子育てをしながら介護職に就く。
夫、子供3人の5人家族。子供のアレルギーをきっかけに食の大切さに気付く。
50才 介護福祉士
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