2024.12.17
中国の海外警察拠点に関する質問主意書
令和6年12月16日付で下記の通り質問主意書を提出しました。
政府からの答弁があった際には、こちらに掲載いたします。
『中国の海外警察拠点に関する質問主意書』
提出者 神谷宗幣
私が提出した「中国の海外警察拠点に関する質問主意書」に対する答弁書(内閣参質二一〇第二一号)及び「中国の海外警察拠点に関する再質問主意書」に対する答弁書(内閣参質二一〇第五〇号。以下「答弁書」という)の内容を受け、改めて質問する。
政府が答弁書で「引き続き、情報の収集及び分析に努めるとともに、適切な措置を講じてまいりたい。」と答弁してから既に約二年が経過している。二〇二四年三月二十二日、産経新聞は、警視庁公安部は中国籍の女が新型コロナウイルス対策持続化給付金を不正受給したとの詐欺容疑で、「中国の海外警察拠点」と指摘されている東京都千代田区のビルを捜索したと報じた。しかし、「中国の海外警察拠点」としての活動実態の有無、我が国に対する主権の侵害の程度など肝心な部分については、いまだ明らかにされておらず、我が国の主権に関わる重大な問題に対する具体的な進捗は不明のままである。言うまでもなく、中国の警察が我が国に設置した拠点等を利用して警察活動を行うことは、極めて深刻な主権の侵害であり、我が国の警察や司法組織を冒涜するものである。我が国の関係組織は誇りを持って徹底的に捜査し、その結果を公表し、広く国民に警鐘を鳴らすべきである。
他方、二〇二四年十月九日、ヒューマン・ライツ・ウォッチは、「中国当局が日本在住の中国人やその親族に圧力をかけ、日本での中国政府批判的活動をやめさせようとする試みが続いている」、「新疆ウイグル自治区、チベット、内モンゴル出身者の親族が中国警察から嫌がらせを受けている旨の聞き取り調査結果を公表した。これに関連し、二〇二四年十一月五日、産経新聞は社説「在日中国人に弾圧 見て見ぬふりはできない」で、中国が公安の出先機関を外国に設け、在外中国人を拘束したり、帰国を強制したりするなどの海外闇警察活動を行っていたと報じた。さらに、中国公安の出先機関は、米国やドイツ、オランダなどで摘発され、閉鎖命令を受けているという。
二〇二四年六月二十六日の国連人権理事会において、理事国の日本を含む五十四か国は、「国境を越えた弾圧行為」に対して、①人権擁護者、ジャーナリスト、ディアスポラ(離散)コミュニティ及び標的とされる可能性のある人々を支援すること、②国境を越えた弾圧行為に対する情報共有と協調的行動を強化すること、③これらの行為に関与する者に対し、代償を強く求め、責任を追及することを決議し、情報共有の強化や人権擁護者への支援を呼びかけている。
以上を踏まえて、質問する。
一
政府が答弁書で「引き続き、情報の収集及び分析に努めるとともに、適切な措置を講じてまいりたい。」と答弁してから二年が経過したが、世界的にも大きな関心が寄せられている「中国の海外警察拠点」について、その全容や活動実態をどの程度把握しているのか。また、それに基づいてどのような措置を講じたのか。あるいは、これに関連する主権侵害の事実は確認されなかったのか。我が国の主権に係る重大な問題であるので、政府は責任を持って真摯に答弁されたい。
二
「国境を越えた弾圧行為」を行う外国政府に対して、価値観を共有する各国と緊密に連携し対応することが政府には求められている。各国と「海外警察拠点」の問題について、情報共有や連携などの協力は十分になされているのか。具体的な内容を明らかにされたい。
三
国連人権理事会では、「国境を越えた弾圧行為」に対し、情報共有の強化、リスクにさらされる人々の支援、そして加害者への責任追及を決議しているが、政府の対応方針を示されたい。特に、リスクにさらされる人々の支援と加害者への責任追及に向けた措置及び国民がこれらの問題を正しく理解できるように情報提供するための政府広報の活用方法などについて、具体的な検討をしているのか示されたい。
右質問する。