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2024.12.17

エボラウイルス等を扱う BSL―4施設の稼働及び移転先に関する質問主意書

令和6年12月16日付で下記の通り質問主意書を提出しました。
政府からの答弁があった際には、こちらに掲載いたします。
 
『エボラウイルス等を扱う BSL―4施設の稼働及び移転先に関する質問主意書』

提出者 神谷宗幣

   
 長崎大学が稼働を目指す高度安全試験検査施設(バイオセーフティーレベル4施設、以下「BSL―4施設」という。)が、厚生労働省が定める稼働要件を満たし、「合格」の判断を受けたことが令和六年十一月十五日に報道された。BSL―4施設は、研究目的で特定一種病原体を扱う施設であり、平成二十八年十一月の関係閣僚会議において、長崎大学への設置を国策で推進することが決定されていた。特定一種病原体には、致死率が約五十%から約九十%にも及ぶエボラ出血熱の原因となるエボラウイルス等が含まれる。
  
 厚生労働省は、上記病原体の所持者に長崎大学を追加する内容の「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行令の一部を改正する政令案」を公表し、令和六年十二月十四日までパブリック・コメントを実施し、年内の施行を目指しているが、住民からは安全性について懸念が表明され、差止訴訟も提起されている。
  
 一方、国立感染症研究所村山庁舎のBSL―4施設は、平成二十七年から稼働し、診断・治療等に関する業務を行っているが、令和元年七月の特定一種病原体等の輸入に関する感染症法に基づく厚生労働大臣指定の際に、武蔵村山市長と同大臣との間で取り決められた確認事項の中で、武蔵村山市以外の適地への移転について検討し、結論を得ることとされた。しかし、移転先が定まらない中、同施設でエボラウイルス等を用いた動物実験を開始したことが、同年三月二十七日の地元住民向けの説明会で明らかになった。
  
 BSL―4施設は、致死率の高い疾病を引き起こすエボラウイルス等の病原体を常時施設内に保管するため、テロや謀略、攻撃、病原体の漏洩事故等が発生した際には、周辺住民の生命・健康等に甚大な影響を与えるおそれがある。加えて、我が国が国内にBSL―4施設を保有する意義や目的、安全対策の内容、漏洩事故や緊急事態発生時の対策、移転先検討状況等が、国民に十分周知されているとは言い難い状況にある。
  
 以上を前提に、以下質問する。
  
 
BSL―4施設について、都内及び長崎での稼働やエボラウイルス等の特定一種病原体の研究に関し、国民の理解や支持が十分ではないと考えるが、政府の見解を示されたい。また、都内のBSL―4施設の移転先検討の進捗状況を明らかにするとともに、BSL―4施設の稼働や移転に関する国民の懸念に対し、どのように対応しているか明らかにされたい。
  
 
エボラウイルスは主にアフリカで流行しており、日本国内での流行歴がない。この状況下で、エボラウイルスを用いた動物実験や研究を国内で行う必要性と、そのために国の資源を投入する理由について、政府はどのように説明するか示されたい。また、国内にBSL―4施設を保有することの意義及び国民にとっての便益をそれぞれ明らかにされたい。
  
 
都心部や住宅地におけるBSL―4施設の稼働について、事故発生時のリスク管理と住民保護のための安全対策の具体的内容を明らかにされたい。また、事故発生時の影響を考慮に入れた安全性を最優先にした立地選定が行われているか示されたい。
  
 
現在のBSL―4施設に関する情報公開と透明性の確保に向けた取組について、政府の方針を示されたい。また、研究内容やリスク管理の手法を国民にどのように伝え、国民の懸念や意見をどのように取り入れているか示されたい。
  
 
BSL―4施設において事故や緊急事態が発生した際、政府はどのような対応を計画・準備しているか示されたい。
  
 
国内のBSL―4施設で得られた研究成果や権利の帰属及び取扱いについて、政府の方針を示されたい。また、外国からの資金提供等により、研究成果が国外に移転する可能性や、それに対処する具体的な枠組みについて回答されたい。
  
  右質問する。

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