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2024.12.18

「風邪」を五類感染症に含める省令改正に関する質問主意書

令和6年12月17日付で下記の通り質問主意書を提出しました。
政府からの答弁があった際には、こちらに掲載いたします。
 
『「風邪」を五類感染症に含める省令改正に関する質問主意書』

提出者 北野裕子

   
 令和六年七月十二日から八月十六日に実施された「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則の一部を改正する省令案」(以下、「本件省令案」という。)に関するパブリック・コメントでは、異例の三万一千五百四十一件もの意見が提出された。この意見数から、国民の関心の高さがうかがえる。本件省令案では、日常的に発生する「風邪」を含む急性呼吸器感染症が五類感染症に追加されることが明言されている。パブリック・コメントでは、「急性呼吸器感染症は非常に幅広い病原体・症状を含んでおり、その全てが法による監視が必要な疾患であるとは思えない」との意見や「五類感染症に追加することで、医療費の増大につながるのではないか」など多くの批判が寄せられている。
  
 パブリック・コメントの結果報告(「「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則の一部を改正する省令案」に関する御意見募集の結果について」。以下、「本件結果報告」という。)によると、急性呼吸器感染症を報告する定点医療機関は、これまでどおり週間の患者数の報告が義務付けられており、新たに急性呼吸器感染症病原体定点に対してのみ検体提出が求められる予定であるという。これにより、特に検体提出を行う医療機関の負担が増大する可能性がある。
  
 日本リサーチセンターが二〇一七年一月に行った「風邪に関する調査」によれば、十五歳から七十九歳の日本人は年間平均一・四回風邪を引くとされており、その延べ人数は一億三千九百五十万人と推定されている。風邪の初期症状で医療機関を訪れる人の割合は全体の十三・三パーセントであり、これは千八百五十五万件を超える症例が発生していることを意味する。約三千カ所の定点医療機関のうち、約十パーセントが病原体定点として検体を提供することになり、対象となる症例数の多さから医療従事者への負担が危惧される。
  
 厚生労働省が公表した「医師の勤務環境把握に関する研究」調査によると、令和四年の段階で医師の二十一・二パーセントが月八十時間以上の残業をしており、過労死ラインを超えているとされている。さらに、本件結果報告を見る限り、医療現場にもたらす業務負荷や費用対効果が十分に評価されているとは言い難く、新たな省令が医療現場にさらなる負担をもたらす懸念がある。
  
 以上をふまえ、政府に対し質問する。
  
 
本件省令の改正に伴う医療機関における業務負荷と、公衆衛生上の利益に対する費用対効果について、政府がどのように分析・評価し、その結果をどの程度公開しているのか。また、この評価が省令策定過程でどのように考慮されているのか、具体的に説明されたい。
  
 
本件省令案に対するパブリック・コメントで寄せられた意見の反対・賛成比率や主な意見の内容を国民にどのように公開し、その意見を政策決定にどう活かしたのか、具体的に示されたい。
  
 
令和四年の時点で医師の二十一・二パーセントが過労死ラインを超える勤務状況にあるとされているが、本件省令案による追加業務がこの問題を悪化させる可能性について、政府はどのように認識し、どのような具体的対策を講じるのか示されたい。
  
 
五類感染症として未知の感染症を監視し早期に検出することが、どのような公衆衛生上の利益をもたらすのか、具体的に示されたい。
  
 
本件省令案により新たに発生する医療費や公衆衛生の改善効果について、国民への周知方法や情報提供の計画を示されたい。
  
 
五類感染症として発見される未知の感染症に対して、政府がどのような対応を行い、それが国民の利益にどのように直結すると考えているのか示されたい。また、これまでの新型コロナウイルス感染症への対応の課題を踏まえ、未知の感染症において効果的な対応を実現するための具体的な方策があるのか、説明されたい。
  
 右質問する。

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