2024.12.19
我が国に設置された孔子学院に関する質問主意書
令和6年12月19日付で下記の通り質問主意書を提出しました。
政府からの答弁があった際には、こちらに掲載いたします。
『我が国に設置された孔子学院に関する質問主意書』
提出者 神谷宗幣
私が第二百十三回国会に提出した「我が国に設置された孔子学院に関する再質問主意書」(第二百十三回国会質問第一二二号、以下「本件質問主意書」という。)に対し、答弁書(内閣参質二一三第一二二号、以下「本件答弁書」という。)が送付された。しかし、本件答弁書では、多くの質問に対し「趣旨が明確でない」、「情報収集能力を明らかにするおそれがある」などとして回答を避けており、政府としての説明責任を果たしていない。
まず、質問一に対し、本件答弁書では、「「孔子学院」の「性格、役割、意義」に関する「評価」については、その趣旨が明らかではないため、お答えすることは困難である。」としているが、質問の趣旨は十分に明確であり、政府として孔子学院の設置目的や活動実態に基づく評価を示すことは可能である。また、「「孔子学院」の「実際の我が国への影響(安全保障面等)」に関する「評価」についてお答えすることは、我が国の情報収集能力等を明らかにするおそれがあることから、差し控えたい。」としているが、情報収集能力を開示する必要がない範囲でも一般的な影響評価を示すことは可能であり、回答を避ける姿勢は国民の知る権利を損なうものである。
次に、質問三に対し、本件答弁書では、「具体的に意味するところが明らかではなく、また、御指摘の「本件二法律」は他国の法律であることから、お答えすることは困難である。」としている。しかし、質問では具体例を挙げており趣旨が明確であることは明らかである。また、「国防動員法」及び「国家情報法」などの中国法が中国籍職員に義務を課し、その影響が日本国内に及ぶ可能性がある以上、政府がその影響を評価し対応を検討するのは当然であり、無回答は不適切であると考える。
質問五から七に対し、本件答弁書では、「具体的に意味するところが明らかではない」とし、回答困難である旨答弁しているが、質問内容は具体例を示した上で政府の見解を求めるものである。具体的に意味するところが不明確であるとの回答は不適切であり、政府としての説明責任を欠くと考える。
各国で孔子学院が閉鎖される動きが進む中、中国政府が名称変更や姉妹校プログラムを活用して活動を継続しているとの指摘がある。特に米国では、孔子学院閉鎖後、同様の課程が旧孔子学院との密接な関係を維持したまま再開され、活動場所を他の組織に移すことで影響力を継続している事例が報告されている。これに加え、中国国内では、孔子学院総部の呼称を「中外言語交流センター」に変更するなど、孔子学院の影響を新たなかたちで継続させようとする動きが確認されている。
我が国においても、孔子学院と異なる名称や形式での活動が行われている可能性を注視し、必要に応じて適切な調査や対応を講じるべきである。
以上を踏まえて、以下質問する。
一
本件質問主意書における質問一、三、五、六及び七について、本件答弁書では「趣旨が明確でない」等の理由により回答を回避している。しかし、これらの質問はいずれも具体的な例を示した上で、政府の評価や方針を問うものであり、趣旨が明確でないとの主張は不適切である。特に次の点について、政府として具体的な回答を求める。
1 質問一及び三について
孔子学院の設置目的や活動実態を政府としてどのように評価しているのか。また、その評価の根拠としてどのような情報に基づいているのか明らかにされたい。
2 質問五から七について
これらの質問に対し、政府としてどのような見解や方針を有しているのか具体的に回答されたい。
二
質問三について
「他国の法律であること」を理由として、回答を避けることは、政府の説明責任を放棄するものであり受け入れ難い。中国法が中国籍職員に義務を課し、その影響が日本国内に及ぶ可能性がある場合、政府として評価を行うことは不可避である。この点について、政府がいかなる評価を行い、どのような情報に基づいて判断しているか回答されたい。
三
本件答弁書では、「「孔子学院」の設置により大学の自主的・自律的な運営が妨げられることのないよう、「孔子学院」を設置する各学校法人が、その運営の透明性を確保する必要があると考え、当該学校法人に対して、その運営に関する情報を公開するよう働きかけており、引き続き、「孔子学院」を設置する各学校法人の動向を注視してまいりたい。」及び「「孔子課堂」を設置する学校法人の動向を注視しつつ、その運営に関する情報を公開するよう継続的な働きかけを行う」とされている。これに関して、現在の情報公開の進展状況について、政府が把握している具体的な内容を示されたい。また、政府として、これまでの働きかけに基づき情報公開が十分に進展していると評価しているのか、課題が残ると評価しているのか、具体的な評価を示されたい。さらに、高校における「孔子課堂」についても、大学と同等に透明性が確保されているか、政府の見解を明らかにされたい。
四
政府は、「学校法人が「孔子学院等」を設置することにより当該学校法人が設置する学校の教育研究活動に支障が生じている場合や、設置された「孔子学院等」の活動に法令違反があると認められる場合には、適切に対処してまいりたい。」と答弁しているが、その後の情報公開や調査により、具体的な支障や法令違反の事例を把握しているか。事例が確認されていない場合、その確認のためにどのような調査や監視を実施しているのか、具体的に説明されたい。
五
我が国において、孔子学院の名称を変更する、中国との交流プログラムを利用するなどの手法を通じて、従来孔子学院を通じて行われてきた影響工作が実施されている事例が存在するか。政府はこれを具体的に把握しているか。仮に事例が確認されていない場合でも、その可能性についてどのように調査・監視を行っているのか、具体的な方法を示されたい。また、名称変更や新たな形態を用いた活動が安全保障や我が国の主権に与える影響について、政府としてどのように評価し、対応しているかを明らかにされたい。
右質問する。