2024.12.22
神谷宗幣【国会 12/19】 財務省の減税及び予算編成の指針について
令和6年12月19日、
神谷宗幣 参議院議員が
財政金融委員会で国会質疑を行いました。
今は減税と積極財政が大切。
しかし、何でも出せば良い
という事ではなく、
株主資本主義のグローバル資本に
お金が流れない仕組みをつくり、
国益を最大限に考えた予算
を組んでもらいたいと要望しました。
動画はコチラから視聴できます。
https://youtu.be/RwhzTV03clM
神谷宗幣 参議院議員は、
財務省の減税及び予算編成の指針
をテーマに、
加藤勝信 財務大臣への
初の質問を始めました。
「大臣は所信の中で、
日本経済に前向きな動きが見られる
と発言されていたんですけれども・・・」
実際の経済は、
企業の倒産が31ヶ月連続で増え、
この10年で最多。
税金や社会保険料が払えなくて倒産する
というケースも増え、
GDPは少し伸びているが
各国からどんどん抜かれ、
1人当たりのGDPは
2022年には韓国に抜かれ、
今年は台湾にも抜かれた。
国民の負担率はどんどん上がり約45%。
国民は「苦しい」ということで、
先の選挙では国民民主党が訴える
「手取りを増やす」ということに
多くの国民が賛同して投票し、
”103万円の壁”の議論がされてきた。
けれども、
「どこまで上がるか分からない」
「上がったとしても、
他で税金や社会保険料が上がると、
結局、手取りは増えない」
国民はすごく不満で、
議論の行き先を注視している。
そういう状況にある。
大臣も発言していたデフレ脱却に対し、
賃上げと投資も良いが、
「実質的に税金を下げるのが、
今は一番良い経済政策」
だと、これをずっと言い続けてきた。
「減税政策に対する加藤大臣のお考えを
まずお聞かせ下さい」
加藤 大臣は答えました。
「まずデフレ脱却を確かなものとして
成長型経済に移行していく」
多分ここは一致している。
今回の経済対策では、
賃上げ環境の整備として
価格転嫁の円滑化の推進、
省力化・デジタル化・投資の促進、
さらに成長力の強化に向けた
国内投資を促進する施策を盛り込み、
着実に実行していきたい。
その上で、
こうした促進する手段としては、
指摘のように税制面の対応もある。
また、財政措置、金融措置、
あるいは規制改革など様々あるので、
それぞれの目的に合わせて
必要で効果的な施策を積み上げていく。
税について議論しようとすれば、
恒常的な対応をするのであれば、
「安定財源を確保する」
ということも当然求められる。
引き続き
歳出・歳入の両面での
取り組みを進めることで、
力強く経済再生を進め、
財政健全化も実現していく。
「経済再生と財政健全化の
両立を図ることが重要だ
と考えております」
神谷議員は、今の答弁からは、
「減税も視野に入れないわけではない」
と受け取れたとして質問を続けました。
我々は
「税金をゼロにしよう」
と言っているんじゃなく、
インフレが過度になってきた時は
上げれば良いわけであって、
「今の状況は下げるべきだ」
と考えている。
そして、
「この委員会で過去何度も訴えてきた」
と強調しつつ歳出改革へ話を移しました。
GXに10年間で官民合わせ150兆円、
この投資は本当に効果があるのか?
カーボンニュートラルを
日本が達成したとしても、
世界の3%のCO2の削減にしかならず、
0.006℃しか地球気温は変わらない。
そのために
150兆円の予算をかけることは、
あまり効果のない歳出ではないか?
アメリカのトランプ次期大統領も
同じようなことを発言しており、
1月の就任後は、アメリカの政策も
大きく変わるのではないか?
これを良い機会として、
日本もエネルギー政策を転換し、
脱炭素に対する予算を少し減らし、
国民が今、約3兆円払わされている
再エネ賦課金も下げてあげることが
非常に大事ではないか?
国民が求めていることではないのか?
「脱炭素とGXの推進に対して
多額の予算を投じている事について、
大臣のお考えをお聞かせ下さい」
加藤大臣は次のように前置きをして
答弁しました。
「(アメリカの)次の政権が
どういう方向で行くか
今の時点で言うのは、
差し控えたいと思いますが・・・」
世界ではすでに多くの国と地域が
カーボンニュートラル目標を
表明していること、
各国でGX分野の大規模な投資促進策が
打ち出されていること
等を踏まえると、
カーボンニュートラルに向けた
取り組みの重要性は
大きく変わるものではない。
政府としては、
2050年カーボンニュートラル
の実現に向けて、
GX推進戦略に基づき、
徹底した省エネの推進、
新エネの導入拡大に向けた支援など、
脱炭素の取り組みを進めることが
必要であると考えている。
脱炭素の効果の話もあったが、
世界が足並みを揃えせていく中、
産業政策として、経済政策として、
その位置づけ・重みというのも
一方で「ある」と認識をしている。
加えて、再エネ賦課金について、
FIT制度では、
再エネ電気の買取り等のために、
再エネ拡大のメリットを受ける
電気の利用者に負担いただく
こととしている。
再エネの電源構成における
比率を高めていくためにも、
再エネ賦課金を活用して行う
再エネ電気の買取り等が
不可欠な制度であると考えており、
現行制度を着実に運用していくことが
重要であると認識している。
神谷議員は
「国際社会に合わせるという事は分かる」
と理解を示し、論点を絞りました。
原子力や新しい火力発電等に
予算を掛けることに
反対しているわけではなく、
中国からばかり買わされる
太陽光パ ネル等に対して、
予算が無駄にかかっている
ことを指摘したい。
「是非ここは詳しく時間を取って
議論したいと思いますので、
検討事項として頭に入れて頂ければ
と思います」
神谷議員は
今後の議論を予告して、
歳出に関連する2点目の質問へ
移りました。
「これもずっとこの委員会で
言っているんですが…」
コロナ期の緊急事態宣言と
それに伴う補償、
治験中のワクチンの大量接種
に関する予算の検証が
十分になされていない。
この時期の対策による
経済の停滞・停止のダメージは
まだ続いている。
借りたお金を返せない等も問題だが、
先の参議院 予算委員会で
川田龍平 議員から、
コロナワクチンの健康被害で
申告されているだけでも
900人以上が亡くなっていて、
「薬害レベルだ!」
という訴えがあった。
今年に入っても、
被害者の給付に
当初予算は毎年36億円にも関わらず、
補正予算で180.5億円が
計上されている。
昨年よりは減っているが、
それでも予定より補償額が50倍
というのはかなりの被害。
そういった状況にも関わらず、
まだワクチンとか感染症対策とか
そういった方向性で予算がついている。
コロナ期に一番ひどい時は
100兆円以上予算をかけて対策したが、
何が有効で何が有効でなかったのか?
特にワクチンのところは
都合のいいデータだけで
しっかりとデータが示されていない。
「これももう他の委員会で
ありましたので詳しくは言いませんが、
次また起こった時の
計画だけはあるんですけども、
検証の上に成り立ったものではない
というふうに考えています」
「厚労大臣もされていたと思いますので、
この点の加藤大臣のお考えを
お聞かせ下さい」
加藤大臣は答えました。
「厚生労働大臣・官房長官などでの
立場として、全力で取り組んできた
思いではあります」
多額の予算を投入したことは事実。
その効果検証を適切に実施して、
将来の感染症対策あるいは
今後の予算編成に生かしていく、
これは当然であり重要である。
こうした観点から、
財政制度審議会や
行政事業レビューにおいて
個別の事業のあり方について
意見をいただいている。
他にも、新たに発足した
内閣感染症危機管理統括庁の下、
政府が講じてきた新型コロナ対策
全般を振り返り、次の有事に備え、
政府行動計画を見直すなど、
対策が進められる。
財務省としても
限られた財源を最大限有効に活用する、
これは基本原則。
「こうした検証や見直しの結果を
今後の予算編成に生かしていきたい
と考えています」
神谷議員は追及を続けました。
最初、ワクチンは
「予防効果がある」が、途中から
「重症を予防する」効果に変わる等、
いろいろ経緯があった。
初めてのことで、分からなかった事が
たくさんあったと思うが、
今はもう色々なデータがある。
もう一回振り返り、
データと使った予算の関係を検証し、
次に進めて頂きたい。
また、先の衆議院 財務金融委員会で、
原口一博 議員から
「ワクチンの生産体制の整備
のために積まれていた基金が、
見込み額を超える
ワクチン接種の助成金に
流用されていた」
「生産補助と接種では目的が異なり、
目的外の使用になっているのでは?」
という指摘があった。
なぜこれが必要になったかというと、
ワクチンの金額が一気に上がったから。
3千数百円だったものがいきなり
1万1千数百円に上がり、
各社同じように上がった。
「これは談合ではないか?」
という指摘も委員会でされていた。
「厚生労働省がこの点について
どういうふうに考えたのか
分かりませんけども、
製薬会社が上げたので
それに対して助成金を回しました
ということになったら、
これも一種の癒着のようなもの
ではないかと捉える事もできます」
「こういった、
目的外に金を使うということに対して、
財務省はどのように考えているのか
お聞かせ頂きたいと思います」
横山信一 財務副大臣が答弁しました。
ワクチン生産体制等緊急整備基金は、
厚生労働省の責任において、
設置基金のための交付要項に定める
目的の範囲で各種事業が実施されている。
これは厚労省が説明すべきもの。
その上で、財務省として言えば、
ワクチン接種単価の見込み価格と
流通価格の差額にかかる
市町村への助成については、
ワクチンの安定供給のためには
差額を助成する事業が必要であり、
当該事業は国内外のワクチンの確保
及び安定的な国内供給に向けた
環境整備事業として、
「ワクチンの確保及び
供給の準備を行う」
という基金の目的の範囲内である
という判断が厚労省においてなされ
実施されたもの。
「財務省としても
基金実施事業の目的外使用に
当たらないと考えております」
神谷議員はその答弁を
「生産のためのお金が接種に使われ、
接種でばらまくことが
次の生産を支える」
と受け止め、拡大解釈だと批判しました。
「こういった基金の使い方には
問題があると思いますので、
今回の解釈は一旦聞きましたけれども、
これも少し詳しく調べて
またお話を聞きたいと思います」
議論を次の機会に求め、
質問を展開しました。
「次に、DXの推進ということも
所信で大臣はおっしゃられて
いましたけども…」
今回の国会でも
『ガバメントクラウド』という法案が
出されている。
国と地方自治体の情報の集約のみならず、
日銀やNHKなど省庁の所管法人にも
利用の努力義務が課されている。
組織が共同で同一のクラウドサービス
を利用することによって、
利用料金を下げて情報管理を円滑に
しようという事だが、
実際はまとめることで
金額が上がってしまう。
地方自治体で上がるところは結構ある。
もう1つの問題は、
委託する先が、
クラウドサービスの提供事業者が
100%アメリカの企業だということ。
他国のデジタル化の事例を見ると、
ドイツやフランスなどでは
国のデジタル主権を確保するために
国内のデータセンターの構築に
予算を投じている。
日本は経産省が
国産化に向けて舵を切ろうとしている
というような事を言っていたが、
今回もまた丸ごとアメリカの企業に
となっている。
自治体や国民のデータを
外国企業のクラウドに集約する事は、
安全保障上極めて大きなリスクを伴う。
日本はアメリカと2020年に
日米デジタル貿易協定を結んでおり、
預けた日本国民のデータが
国外の企業に流用される
可能性もゼロではない。
第三者に流出する可能性も
考えないといけない。
それから、
一社が独占的にその市場を持っていると
価格交渉できない。
「今度メンテナンスでお金がかかります」
「もっと料金を上げます」
と言われた時に、飲まざるを得ない。
「撤退します」という時には、
「預けたデータはどうなるのか?」
というリスクもある。
DXが進んでいるエストニアでは、
預けた国民のデータが
いつどこで誰がどのように見て
どういう風に流用されたか
ということが追跡できる
仕組みがついている。
しかし、日本には
そういう仕組みが全くない。
DXで便利にはなると思うが、
結局、掛かるお金は増える、
国民や自治体の情報が
外国企業に管理され、
情報の安全性が保てないという事では、
予算をつけてやる意味はない。
DXの推進は
もちろん進めていくべき。
しかし、リスクに対するブレーキを
きちっとつけておかないといけない。
「それがないものに対しては、
過度な予算はつけない方が良い
と考えるんですけども、
財務大臣の所感をお聞かせ下さい」
加藤大臣は答弁しました。
ガバメントクラウドは、
提供する事業者は
国内企業・外国企業を問わず、
セキュリティやコストの透明性などの
要求を満たした者が採用されており、
データ暗号化など安全対策も
取られている。
ガバメントクラウドの整備を含め、
デジタル化推進予算の検討にあたっては、
国内企業の競争力を強化していく
などにも目を配りつつ、
個々の事業の政策目的・リスク・合理性、
あるいはその時期における選択可能性等、
幅広く踏まえて、
そのあり方について検討を進める
ことが重要だと認識している。
「引き続き、こうした観点に立って
所管のデジタル庁とも緊密に連携し、
そうした意味での検討を
進めていきたいと考えています」
神谷議員は
大臣の簡潔な答弁に感謝を示しつつ、
「現状は無理だとしても、
将来的にはやはり国産で
しっかりとやっていく」
と受け止め、エールを送りました。
「外国は頑張ってそれをやっている
わけですから、
日本の国力があって
それが出来ないという事はない
と思いますので、
是非そこは経産省と力を合わせて、
しっかり予算をつけて
国内のデータサービスを
きちっと作り上げて頂きたい
というふうに思います」
そして、神谷議員は
「GX、感染対策事業、それからDX・・・」
と振り返りつつ、
半導体、金融事業に関しても、
この委員会で取り上げていくと前置きし、
質疑を締めくくる要望へと
話を進めました。
「もうこれも繰り返し
言っているんですけれども・・・」
こういった事業で
国が予算をつける時の問題は
国益を重視しているかということ。
目先の合理性や利益に囚われて、
株主資本主義を強く追求する
グローバルな巨大資本に
「全部、日本人の富は
食われていませんか?」
ということ。
つまり、”バケツの底に穴が空いて”いて、
お金はかけているけれども
国内でそれが循環しないから、
GDPの伸び幅よりも
国債の方が積み上がってしまう。
そういう状況ではないか?
元内閣参与の 原丈人 氏の
次のような発言をされている。
「利益だけを重視する
グローバルな株主資本主義ではダメだ」
「新しい資本主義」、
中間層を豊かにする『公益資本主義』、
日本型の日本企業や日本人が豊かになる
ようなお金の使い方をしなければ、
デフレの脱却もできないのではないか?
「これはもう我々がずっと言っています。
減税は必要です!」
まず、減税。
それから、多額にお金を出す時は
外国企業にいかにお金が流れないように
するかというようにキャップをはめる。
そうして、あともう一つは
賃上げをしないといけない。
「原先生の言葉を
そのまま借りますけれど、
結局、株主配当が多すぎるんですよ!」
株主にどんどんお金を払うから
日本人にお金が回ってこない。
だから、この株主配当にキャップをはめる。
これまでずっと株主配当を
「上げろ」「上げろ!」「上げろ!!」
とやってきた結果が、
日本人の中間層の没落になっている。
お金を使う時は、
国内で日本の企業や日本人に
お金が回るような形で
きちんとやって頂く。
「積極財政を我々は求めていますので
支出して頂くのは良いんですけども、
ちゃんと国民に利益があったか
ということを検証しながら
やっていかないと」
「国際社会がどうだとか
審議会がどうだという事だけ聞いても、
それ自体がもう利権構造になっている
かもしれません」
「そこをしっかりとチェックしながら、
ぜひ力強い経済を取り戻して頂きたい」
詳細は動画をご視聴下さい。