2023.05.09
【質問主意書】 最先端半導体政策(ラピダス株式会社)に関する質問主意書
令和5年5月8日付で下記の通り質問主意書を提出しました。
政府からの答弁があった際には、こちらに掲載いたします。
『最先端半導体政策(ラピダス株式会社)に関する質問主意書』
日本の半導体政策に関して、経済産業省は二〇二二年十一月十一日、二nm以下の次世代半導体の製造基盤確立に向けた研究開発プロジェクトの採択先として、Rapidus株式会社(以下「ラピダス」という。)に決定したと発表した。
ラピダスには、キオクシア、ソニーグループ、ソフトバンク、デンソー、トヨタ自動車、NEC、NTT及び三菱UFJ銀行の計八社が七十三億円を出資しているほか、経済産業省は、ポスト5G基金事業における次世代半導体の研究開発プロジェクトとして開発費七百億円を支援するとしている。また、二〇二三年には三千億円規模の補助金を追加するとの報道もある。
他方で、同省が二〇二二年十一月に公表した「次世代半導体の設計・製造基盤確立に向けて」においては、最先端半導体戦略として、まず四十五nmのレガシー半導体はルネサスエレクトロニクスを、二十八〜十二nmはJASM(TSMC熊本工場誘致)を支援すると記載しており、二nm以下の最先端半導体はラピダスへ支援するとしている。
日本の半導体政策全体を鳥瞰して、日本政府が発表しているこれらの最先端半導体の国家戦略が妥当なものであるかについて、以下質問する。
一 半導体は、線幅が小さければ小さいほど技術確立の難易度は高くなり、最先端半導体へのニーズ動向についても不透明な要素が多くなる。「ラピダスの最大の課題は、IBM以外の企業からの需要をほとんど見通せていないことだろう」、「出資した会社を含め、半導体を使う側の企業が最先端の半導体を使ってどのような製品を生み出すか、戦略を描かなければラピダスは空回りしてしまう。「出口」での取り組みが将来を決める」といった二nmの最先端半導体への投資に対する懐疑的な報道もある。
一方、前述のように最先端半導体戦略の対象となっている半導体領域は、四十五nm、二十八〜十二nm及び二nm以下であり、十二〜三nmの最先端半導体は空白領域になっている。
二十八nm以下の先端及び最先端半導体について、我が国にはそれを担う国内半導体メーカーがいないため、その領域をリードしていく国内メーカーを育成していくことが、5G促進法等の政策目標であるとすれば、技術的及び需要的な不確実性が低い十二〜三nmの次世代半導体の国産化にも積極的に取り組むべきではないか。この点について、政府の見解を示されたい。
二 二〇二三年三月一日の読売新聞の報道によると、二〇二七年の量産開始に向けたラピダスの事業では、技術の確立までに二兆円、量産ラインの準備に三兆円規模の投資が求められるとされている。それに対して、二〇二二年十一月の経済産業省の発表では七百億円の支援と民間出資が七十三億円、二〇二三年二月九日付けのダイヤモンドの記事によると、経産省は三千億円の追加支援の予定と報じられているが、それらを合わせても合計五兆円の費用にははるかに届かない。
一方で、米政府は、国内の半導体生産や開発を加速させるため、五百二十七億ドル(約七・二兆円)の補助金を投じる「CHIPS・科学法」を成立させている。最先端半導体への支援に対する日米間の実現に向けた取組姿勢が全く異なっているように考えられるが、政府は、次世代半導体の国産化に対して不退転の決意をもって臨み、一定の成果が見込まれるまでの間は、辛抱強く必要な規模の支援を継続していく覚悟はあるのか。政府の見解を示されたい。
右質問する。