2023.05.19
【質問主意書】 我が国における外国人による土地取得に関する再質問主意書
令和5年5月19日付で下記の通り質問主意書を提出しました。
政府からの答弁があった際には、こちらに掲載いたします。
『我が国における外国人による土地取得に関する再質問主意書』
我が国における外国人による土地取得に関する質問主意書(令和五年三月二十三日提出、質問第四二号)(以下「本件質問主意書」という。)に対する答弁書(令和五年四月四日付、内閣参質二一一第四二号)(以下「本件答弁書」という。)では、本件質問主意書で行った十三の質問のうち十一の質問に関して、質問内容が理解できないとの理由により具体的な答弁が得られなかった。
これまでの国会審議及び質問主意書の中では、質問主意書に対する答弁の在り方が取り上げられ、質問主意書に対して「お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではない」、「意味するところが必ずしも明らかでない」等の言い回しを行った後、答弁を留保する、拒否する、質問の趣旨と離れた一般的な答弁を行うケースが多く見られる等の指摘がなされている(例として、平成二十九年五月十日提出質問第二九四号、令和二年六月十七日質問第一九三号、令和三年一月十八日質問第三号、令和三年三月十七日衆議院法務委員会、平成三十年五月三十一日参議院総務委員会、平成二十七年七月二十九日参議院我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会、平成三十一年三月七日衆議院総務委員会における審議など)。
また、答弁がおざなりで不誠実になっているとの報道が複数の新聞でなされている(例として、「質問主意書の提出最多 野党活用、おざなり答弁も増」朝日新聞平成二十一年七月十八日、「アクセス 逃げの答弁書3割 質問「意味するところ不明」現政権 ゼロ回答・一般論急増」毎日新聞平成二十九年五月九日、「チェック 質問主意書 野党の武器 威力低下「ゼロ回答」頻発/提出増加も影響」毎日新聞平成三十一年二月十三日夕刊、「政界Zoom 質問主意書その威力は 7日で政府統一見解」日本経済新聞平成三十一年一月十八日夕刊)。
政府は、国会法(昭和二十二年法律第七十九号)の規定に基づき、転送された質問主意書に対して答弁することが求められている。したがって、当方から提出する質問主意書のいずれに対しても、政府は誠実に答弁することが求められていると理解している。
本件質問主意書は、我が国における外国人による土地取得が規制なく行われ、安全保障上重要と考えられる土地が外国人所有となることに懸念があることから、我が国における外国人による土地取得を規制する方策を検討するに当たり、土地取得に関連する国際約束に関して法的な確認を行うことを目的とするものである。
以上を念頭に本件質問主意書の各質問事項について以下のとおり改めて質問する。
一 本件土地取得の規制について
サービスの貿易に関する一般協定(General Agreement on Trade in Services)(以下「GATS」という。)及びその他の関連する多国間協定(地域的な包括的経済連携(RCEP)協定を含む。以下同じ。)を援用することで、GATS及びその他の関連する多国間協定の締約国は、自国における外国人による土地取得(以下「本件土地取得」という。)を規制することは現状で可能であるか。
可又は否のいずれの場合も、その法令上の根拠を説明されたい。また、安全保障上や自国民の諸権利を守るための目的でなされる各国における外国人による土地取得規制の現状について、政府が知悉している内容を明らかにされたい。
二 国家が条約批准の際に特定の条項を自国には適用しない又は変更を加えて適用するという意思表示をすること(以下「留保」という。)について
1 GATS及びその他の関連する多国間協定の締約国は、条約上の「留保」を行うことにより本件土地取得を規制することを可能とするためには、条約上の手続を含みいかなる法的な手続を行うことが必要であるか説明されたい。
この質問は、GATS及びその他の関連する多国間協定が「留保」を付すことを許容しており、かかる「留保」により本件土地取得の規制を行うことができる場合、締約国はいかなる手続によりかかる「留保」を行うことができるかを問う趣旨である。
2 現時点で、我が国はGATS及びその他の関連する多国間協定上の「留保」を援用して本件土地取得に係る規制を行うことが可能であるか。可又は否のいずれの場合も、法令上の根拠を説明されたい。
この質問は、日本がGATS及びその他の関連する多国間協定に「留保」を既に付していて本件土地取得の規制を現在行うことができる状態にあるかどうかを問う趣旨である。
3 前記二の2について、現状では日本が本件土地取得の規制ができない場合は、今後我が国が本件土地取得の規制を実施するため、GATS及びその他の関連する多国間協定上の「留保」を行うにはいかなる手続が必要かを示されたい。
この質問は、もし現在は日本がGATS及びその他の関連する多国間協定に「留保」を付しておらず本件土地取得の規制ができない状態にある場合、今後日本がGATS及びその他の関連する多国間協定に新たに「留保」を付して本件土地取得の規制を行うために必要な手続の内容を問う趣旨である。
4 日本において外国人が何らの規制なく土地を取得することは安全保障の観点から問題ではないかとの懸念があり、GATS及びその他の関連する多国間協定に付した「留保」を援用することにより(もし現在は日本がかかる留保を付していないのであれば、今後かかる留保を付すことにより)、我が国における外国人による本件土地取得を規制すべきであるとの考えがある。この考えについて、政府の見解を示されたい。
三 相手国の自国に対する待遇と同様の待遇を相手国に対して付与しようとする考え方(以下「相互主義」という。)について
以下各質問においてA国、B国などの記号を用いて国を例示することとする。例示であって、特定国を表すものではない。
1 国内における外国人による土地取得を規制している国に関して、本件答弁書によれば、令和二年十一月九日の時点で米国、英国、オーストラリア、韓国及びフランスについては政府として規制内容等を把握していたとのことである。
その一方で、我が国における外国人による土地取得が規制なく行われ、安全保障上重要と考えられる土地が外国人所有となることに懸念が表明されているが、右は特に日本における中国人による土地取得の事例に関して問題視されている。
ついては、政府が本件土地取得に関する対応を検討するに当たり、政府は中国において外国人による土地取得がいかなる規制を受けているかを把握しておくべきではないか。
現時点で政府が把握している中国における外国人による土地取得に対する規制内容を示されたい。把握していなければ、中国における外国人による土地取得に対する規制内容を調査する意思と予定があるかを示されたい。
2 A国内で外国人(B国人を含む)による土地取得の規制を行っている場合、B国内で外国人(A国人を含む)による土地取得を行うことを規制する際、B国はGATS及びその他の関連する多国間協定上「相互主義」をA国に対して主張することで土地取得の規制をA国人に対して行うことが可能かを示されたい。
この質問は、GATS及びその他の関連する多国間協定に関して、「相互主義」を主張することで本件土地取得の扱いを自国と相手国で均衡がとれた状態にすること(相手国で本件土地取得が規制されている場合は、自国においても本件土地取得を相手国人に対して規制すること)が可能か否かを問う趣旨である。
3 現状で、我が国はGATS及びその他の関連する多国間協定の適用に関して「相互主義」を主張することにより本件土地取得に係る規制を行うことは可能か。可又は否のいずれの場合も、その法令上の根拠を説明されたい。
この質問は、C国内で日本人を含む外国人による土地取得を規制している場合、日本がGATS及びその他の関連する多国間協定の適用に関して「相互主義」を根拠として日本国内におけるC国人による本件土地取得を規制することができる状態に現在あるか否かを問う趣旨である。
四 現状で、我が国はGATS及びその他の関連する多国間協定上の「相互主義」に基づいて本件土地取得に係る規制ができる状態にないとした場合は、自国で本件土地取得に係る規制を行っている国との関係では不均衡かつ不公平であり、好ましからぬ状態である。
すなわち、D国民は日本で本件土地取得を規制なく行えるが、日本国民はD国で本件土地取得を規制され、扱いが均衡していない。この関連で、以下につき回答されたい。
1 GATS及びその他の関連する多国間協定上、日本が「相互主義」を援用できないことで本件土地取得の規制が実施できず、日本と相手国で本件土地取得の扱いが異なり不均衡な状態にある国はあるか。その国名を示されたい。
ここでいう「不均衡な状態」とは、E国は自国内で本件土地取得を制限し、日本国民もE国では本件土地取得を制限されているが、日本はE国民が本件土地取得を行うことを規制していないような、日本とE国の両国で扱いが異なっている状態をいう。
2 我が国で本件土地取得に係る規制を実施する場合、GATS及びその他の関連する多国間協定上での相互主義を主張することでかかる規制を実施するためには、我が国は新たにいかなる手続を行う必要があるか示されたい。
この質問は、今は日本が相互主義を主張して本件土地取得を規制することができないとされた場合でも、今後日本が「相互主義」を主張することで、F国は自国内で日本国民による本件土地取得を制限しているが、日本はF国民が日本において本件土地取得を行うことを規制していないといった扱いが異なる状態を、日本とF国の両国ともに相手国民による本件土地取得を制限する状態(双方の本件土地取得に係る扱いが同じになる状態)にするために必要な手続を問う趣旨である。
3 前記四の2の不公平な状態(G国は自国内で日本国民による本件土地取得を制限しているが、日本はG国民が日本において本件土地取得を行うことを規制しておらず、扱いが異なって不公平である状態)にある相手国との間で、我が国はGATS及びその他の関連する多国間協定に関わる「相互主義」を主張して本件土地取得の規制を行い、本件土地取得の扱いに関して公平を図る(日本とG国の両国が、相手国民による本件土地取得を制限している状態、すなわち、双方の本件土地取得に係る扱いが同じで公平と考えられる状態にする)ことが考えられるが、右考えについて政府の見解を示されたい。
五 二国間協定について
我が国が本件土地取得に関してGATS上の「相互主義」を援用できない不均衡な状態(H国は自国内で日本国民による本件土地取得を規制しているが、日本はH国民が日本において本件土地取得を行うことを規制しておらず、扱いが異なって不均衡である状態)にあるH国に関して、H国と新たに二国間の協定を締結する、あるいは、既に二国間協定を締結している場合は同二国間協定を改正する等の措置によって、不均衡の是正を図る(日本とH国ともに相手国民による本件土地取得を規制する状態、すなわち、日本とH国双方の本件土地取得に関する扱いが同じになる状態とする)べきであるとの考えにつき、政府の見解を示されたい。
右質問する。