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2023.10.20

【質問主意書】 我が国の排他的経済水域への中国による浮遊式障害物の設置に関する質問主意書

令和5年10月20日付で下記の通り質問主意書を提出しました。
政府からの答弁があった際には、こちらに掲載いたします。
 
『我が国の排他的経済水域への中国による浮遊式障害物の設置に関する質問主意書』
 
 今年七月、海上保安庁が、尖閣諸島周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)内に、中国が我が国に無断で設置した浮遊式障害物(以下「本件障害物」という。)を確認した。政府はこれについて、中国側に抗議して障害物の撤去を求めたものの、それ以上の措置を講じず、中国側も抗議を無視して、障害物は未だに放置されたままとなっている。
 
 国連海洋法条約によれば、排他的経済水域内の構築物の設置は、沿岸国に認められる権利であり、相対国又は隣接国には認められていない。この点について、松野博一官房長官も、九月十九日の記者会見で、「我が国の同意なく構築物を設置することは国連海洋法条約上の関連規定に反する」と述べている。
中国による我が国の排他的経済水域への浮遊式障害物設置は、これが初めてではなく、二〇一三年、二〇一六年、二〇一八年にも同様の事案が発生した。しかし、政府は、この時も、中国側に対し、抗議すること以上の対応を行っていない。
 
 排他的経済水域や公用水面に勝手に浮遊式障害物を設置することは、漁業の安全操業や船舶の安全航行の妨げになり、同時にこれが海域への「管理権」などの権益主張につながるものでもあって、我が国の主権と海洋安全保障を脅かすことは明らかである。障害物撤去など、断固たる措置が必要なことは言うまでもない。
 
 この間、中国の我が国周辺海域で展開する不法な活動や、北朝鮮による排他的経済水域内あるいは周辺海域へのミサイル発射などについて、その都度抗議しかしない日本側の姿勢は、これらの国による強引な手段による現状変更の試みと既成事実化を許すことにつながる。たとえばフィリピンでは、日本とは対照的に、自国の排他的経済水域内に中国が設置した浮遊式障害物を、大統領令により撤去する措置を取っていることに鑑みるなら、日本政府の消極的な姿勢が明瞭となる。
 
 我が国においても、排他的経済水域内で中国が設置した浮遊式障害物は、海域に権限を有し管理する我が国が速やかに撤去し、我が国の領土・領海を保全すべき断固たる姿勢を示すべきである。
以上を踏まえて質問する。
 
 二〇一三年、二〇一六年、二〇一八年に、我が国の排他的経済水域内に中国による浮遊式障害物の設置が確認された際、我が国はどのような対応をしたのか。また、これに対して中国側はどのように反応したのか、経過と具体的な事実を示されたい。 
 
 政府は、本件障害物を確認後、中国側に抗議と撤去を求めたというが、政府としてこの事実を九月十九日以前に公表していたのか。また、本件障害物の位置情報などについて、尖閣諸島周辺海域を航行する船舶等に対して安全確保上の周知、注意喚起を具体的にいつからどのように行ったのか、示されたい。
 
 現在、尖閣諸島周辺の我が国の排他的経済水域内には、我が国に無断で中国が設置したとみられる浮遊式障害物は、他にも存在しているのか。存在するなら、その数と位置、判明している設置時期などについて示されたい。
 
 今回明らかになったものを含め、我が国の排他的経済水域あるいは領海内に不法に設置された海洋浮遊式障害物等、漁業の安全操業や船舶の安全航行の妨げとなるとともに、我が国の有する権限、権益、主権と領土を損なう構築・設置物について、政府が対処する上での基本的かつ具体的な対応を示されたい。国際法に照らすなら、我が国の排他的経済水域や領海での障害物等、不法な構築・設置物は、安全管理上の責任から原因者の自発性に期待するよりも我が国自体が断固、撤去することが基本であると考えるが、政府による撤去を行うことは基本方針としないのか。
 
右質問する。

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