2023.11.22
【国会 11/16】 金融経済教育に求めること
令和5年11月16日、神谷宗幣 参議院議員が
財政金融委員会で国会質疑を行いました。
今回の質問内容は、
これから進められる【金融経済教育】について。
主に次の3点を求めました。
・投機やマネーゲームにならず、
社会の発展を考える
”日本人の精神に沿った投資” になる教育を。
・国内企業の防衛と発展に繋がる
”安全保障を考えた投資” になる教育を。
・『資産運用立国』と掲げた背景には、
「年金制度などはもう機能しない」という
厳しい現実があると国民へ伝えること。
動画はコチラから視聴できます。
https://youtu.be/lilafzaPXSg
新たに成立する金融経済教育推進機構は、
金融経済教育を何を主眼に行おうとするものなのか?
国民の資産運用のあり方について、
どのような問題意識でどのような方向を
日本経済に与えようと考えているのか?
神谷議員は金融経済教育の前提をまず確認しました。
金融経済教育の前提として示されたのは、
金融リテラシーの向上を通じ国民1人1人が経済的自立をし、
より良い暮らしを送っていけるようにすること。
具体的には…
・家計管理や生活設計の習慣化
・様々な金融商品のリスク・リターンなどの理解
・自らに合った金融商品やサービスの選択
・詐欺的な投資勧誘によるトラブル防止など
金融に関する幅広い知識の習得や判断を可能にすること
加えて、2024年1月から始まる新NISAに伴い、
資産形成に新たに取り組む国民の増加が見込まれ、
金融経済教育がより重要なものになるとの認識が示されました。
それを受け、神谷議員は日本の金融経済教育の変遷に触れました。
・戦前までは、”仲間を応援する助け合いの仕組み” が地域にあった。
みんなでお金を出し合って少し利子をつけて貸し、
貸す側が仕事を融通するなど返済不能にならないサポートもしていた。
”他人や社会を豊かにする”という思想を育む経済教育がそこにあった。
・GHQ占領時代、この助け合いの仕組みが壊され、
大事にしていた考え方や知識が失われてしまった。
・近年、金融リテラシーの向上ばかりが先走り、
”節約して効率的にお金を貯め将来に備える” ことが
国民の関心になってしまっている。
それがこの30年の日本経済停滞の
原因のひとつにもなっているのではないか?
今回の金融経済教育へ期待を表しつつ、
日本人が大切にしてきた他者を思いやり社会全体を考える
”日本人の精神に沿った金融経済教育” の必要性を説きました。
つづいて神谷議員は、
外国資本に日本の土地が買い占められ
外国人投資家のために日本人が働いている状況について触れ、
金融経済教育の重要性に結びつけて議論を進めました。
外国人株主資本比率は、
国内大手不動産デベロッパーである三井不動産で48.27%、
三菱地所で43.64%(2023年3月時点)、
SONY・東芝・任天堂などの大手企業でも非常に高い状況。
これは日本国民の金融リテラシーの低さから、
日本企業の株式を「リスクが高い」「儲からない」と言って
日本人が持ち分を減らし、それを外国人が買ったことに
起因していると指摘しました。
その上で…
・国民の資産が増えても、日本の土地・企業が
外国人のコントロール下にあるのでは本末転倒。
・戦争のプロセスは情報戦・経済戦・武力戦であり、
先の防衛予算の増額はほとんどがミサイルなど武力戦に備えるもので、
情報戦・経済戦の予算がほとんどなかった。
・”国を守り国の富を守る” 視点で
国民の資産が増えるようにしないといけない。
このように述べ、
日本の国土・企業・人を守る経済安全保障の観点も入れた
金融経済教育を強く要望しました。
最後に神谷議員は、
個人型確定拠出年金の加入者が2015年から2022年までで、
21万人から195万人へ急増した事を紹介し、
国民に広がる ”将来の年金への不安” を取り上げました。
キッカケとなったのは所謂『2000万円問題』。
公的年金だけで標準的な生活を送ろうとすると毎月5.5万円が不足し、
老後30年間生きるには約2000万円が不足するという試算です。
(「高齢社会における資産形成・管理」金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 2019年)
ただしこれは、日銀が目指す年2%物価上昇を考慮していない数字で、
年金の『マクロ経済スライド』が導入されたことにより、
物価上昇が達成された際は不足が2000万円どころではなくなる。
厳しい現状についてこう言及し、
国民1人1人が国の制度やあり方を真剣に考える状況を
つくらないといけないと指摘しました。
※『マクロ経済スライド』とは…
年金制度を継続させていくための『100年安心プラン』の一環で、
将来の現役世代の負担が過重なものとならないよう保険料を定め、
その中で年金の給付額を自動的に調整する仕組みです。
これにより、かつてのように年金給付額が
物価上昇率と同程度に上昇していくわけではなく、
年金収入は増えず支出だけが増えることになります。
(参考:総務省統計局 なるほど統計学園「年金給付額の調整」)
「民主主義において大切なことは、
国民が現状と今後の展望を正確に理解していること」
『資産運用立国』『資産所得倍増元年』『貯蓄から投資へ』
などの言葉の裏側にあるメッセージを次のように解説し、
国民が気づけるようオブラートに包まず伝えて欲しいと強調しました。
昔は、貯蓄をして銀行に預けておけば銀行が上手く利用して増えた。
でも今は、そういう仕組みが壊されてもう出来ない。
国の年金制度では、国民の老後の生活を保障できない。
自分で老後資金などを考え確保しておかないと回らない。
国民が不幸にならないように、
言いにくい事もしっかり伝えていくのが国のリーダーの責務だとして、
金融経済教育により国が資産運用を勧めることの本当の意図を、
国民に分かりやすく伝えていただきたいと
繰り返し要望して、質問を締めくくりました。
詳細は動画をご視聴下さい。