2021.05.12
世界中の有権者が炭素税を拒否
2021/05/12 森雄飛
読売新聞は2021年3月1日に、
“2050年の温室効果ガスの排出量実質ゼロ実現のため、環境省が排出量に応じて企業に税負担を課す「炭素税」を本格的に導入する方向で検討している”
と報じました [1]。
しかしながら、全米税制改革協議会(Americans for Tax Reform, ATR)の記事 [2] によると、この炭素税は10年以上前から各国で議論され、有権者によってことごとく反対されている税金だそうです。
ATRとは,トランプ政権を強力に支えていた共和党保守派の団体です [3, 4].ATR会長のグローバー・ノーキスト氏(Grover Norquist)は同記事 [2] の中で次のように述べています。
“炭素税を導入すると、車のガソリン代や家庭の冷暖房費、生活費が上昇します。アメリカ、カナダ、オーストラリアおよびフランスの有権者たちは、あらゆるエネルギー税および炭素税に反対してきました。これほどまでに徹底的に検証され、世界中の有権者によって拒否されている政策案はめったにありません。”
同記事 [2] には、2010年から2019年の間で、アメリカ、カナダ、オーストラリアおよびフランスの有権者が選挙を通して炭素税導入に反対してきた事例が20件も掲載されています。
その中でも比較的新しい事例を2件紹介したいと思います。
・2019年5月18日「オーストラリア総選挙における史上最大の逆転劇」…炭素税反対派の保守連合が再選し、炭素税推進派の野党労働党が敗退しました。
・2019年10月21日「カナダ総選挙で自由党が過半数割れ」…炭素税推進派であるジャスティン・トルドー首相率いる自由党は27議席を失い、過半数割れに追い込まれました。
このように、各国の有権者は、自らの投票行動によって炭素税にNoを突き付けてきました。我が国においても我々有権者が反対の声を上げれば、炭素税の導入を阻止することができるはずです。今こそ「政治に参加する」時ではないでしょうか?
参考文献
[1] 読売新聞, 【独自】「炭素税」本格導入を環境省検討、税率を段階的に引き上げへ, https://www.yomiuri.co.jp/economy/20210228-OYT1T50253/
[2] Americans for tax reform, Carbon Tax Decade of Failure: Voters Reject Carbon Tax, https://www.atr.org/carbon-tax-toxic-ballot-box-timeline?page=1
[3] Americans for tax reform, https://www.atr.org/
[4] 渡瀬裕哉, SYNODO, トランプ大統領を支える共和党保守派の「今」を知る, https://synodos.jp/international/22529#google_vignette