2021.08.30
慰安婦はドイツ語ではどのように説明されるのか?
~ドイツ語ウイキペディア和訳の試み 序章~
2021/08/30 吉岡綾子
ドイツに5体目の慰安婦像が設置された。
ヨーロッパではドイツだけが狙い撃ちで他にこの様な国は無い。
では一般のドイツ人はこの慰安婦像をどう思っているのだろう?
慰安婦像がドイツに建つたびに筆者はドイツの新聞記事をつぶさに検索する。
が、毎度同じことの繰り返しでドイツの一般紙でオリジナルの記事が先陣を切って報道されることはない。
まず韓国の海外向け英字新聞またはドイツ語版が朝鮮側に極めて偏った記事を出す。
すると数日以内に地元紙がその記事を正確に切り取った報道をするだけなのである。
実際問題、一般のドイツ人は慰安婦像に関して無関心である。
ただし先の大戦中の日本帝国軍はドイツのナチス軍と同等かあるいはそれ以上に残虐な存在であるとの先入観があるので「悪魔の様な日本軍に近隣諸国の女性たちが性奴隷として筆舌に尽くし難い悲惨な末路を辿った」と聞いても当然のことと受け取ることだろう。
戦後教育70余年の悪影響は日本だけにとどまらない。
慰安婦、という極めて日本的な呼称をそのまま訳しても本来西洋人にはなんのことやら伝わりはしない。
コンフォートウーマン?明らかなる和製英語だ。
ところがプロパガンダとは恐ろしいもので少しずつこの表現は市民権を得つつある。
ウイキペディアにこの表現の解説が載せられているからである。
ドイツ語でTrostfrau=トロストフラウとはまさしくドイツ語で「慰安婦」の直訳、和製ドイツ語である。
ドイツ人がドイツ中に建てられた慰安婦像なるものとそれにまつわる騒動にふと関心を寄せたとき彼らがまず第一にその拠り所とする解説はウイキペディアだ。
筆者もこれまで何度もドイツ人にドイツにおける慰安婦像問題の説明を試みてきた。
そして「キミはそういうけれど、ほら、ここにはこう書いているよ!」と言われて悔しい思いを繰り返してきた。
権威主義のドイツ人を説得するために我々海外在住者がぶち当たるのはウイキペディアという権威の壁なのである。
これからシリーズを組んでウイキペディアドイツ語版に「いわゆる従軍慰安婦問題」がどのような表現で載せられているか、ドイツ語版の和訳を載せていきたい。
今回はまず、ドイツ人がこの慰安婦問題に関心を寄せたときどのようなキーワードで検索できるかを示したい。
筆者が検索をかけた限りでは「平和の少女像=Friedensstatue」「慰安婦=Trostfrau」「性奴隷=Sexsklaven」などの表現でヒットした。
他の表現を試してみられた方がいたら是非ご一報ください。
筆者が初めて検索をかけてみた5年ほど前と比べると明らかに解説量が増えている。
ドイツ人の関心も少しずつ高まっているのである。
その中でもページ数の最も充実している「慰安婦像=Trostfrau」の日本語訳並びに日本語のウイキペディア解説との比較・検証なども進めていきたい。
次回以降何回かに分けて連載していくつもりである。