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2021.10.20

自然エネルギー

2021/10/20 山下 政治

 

自然エネルギー

 

太陽光発電、風力発電、水力発電、地熱発電など自然エネルギーによる電力がSDGsの話題とともに盛り上がっている。

現在見つかっている日本列島最古の土器は1万6千年ほど前のもので、土器は火を使って料理するためのものだ、と聞いている。既に火というエネルギーを使って日本列島では人が生活していたのである。1万6千年も前から日本列島で暮らしていた人々はエネルギーを使いこなし生活水準を向上してきた歴史がある。

電力を作るためには石炭、石油、天然ガス等の化石燃料が主流である。のちに原子力による発電技術が開発され、さらに近年太陽光などを利用した自然エネルギーによる発電も大きなエネルギー源として位置付けされている。

前環境大臣であった小泉進次郎氏は温室効果ガス排出削減のため再生可能(自然)エネルギーの比率を上げようと躍起になっていた。しかし自然エネルギーによる負の影響を考えていたのだろうか?科学者の武田邦彦先生によると、太陽光発電パネルは太陽エネルギーにより動植物の生態が維持されているのを破壊してしまい動植物がいなくなる。風力発電では風はプロペラに吸収され風下では風がなくなり森林等の自然形態が変化する。水力発電はダムにより川を堰き止めるため川の流れが無くなり周辺の森林の葉は流れず葉が腐り、魚がいなくなりこれも自然形態を変化させる。 と例を挙げて述べ自然破壊につながるとしている。(科学者 武田邦彦 自然エネルギーに頼ると日本の自然は破壊されるhttps://www.youtube.com/watch?v=oJQUHJlth5Y参照)
原子力発電1基分(100万キロワット)と同等の太陽光発電を設備するとなると山手線内いっぱいにソーラーパネルを敷き詰めることになるのである。(九州電力 太陽光発電Q&Aよりhttp://www.kyuden.co.jp/effort_renewable-energy_photovoltaic_faq.html参照)これは大変なことだ。環境大臣はこれらの自然エネルギーで電力を賄うようなことを打ち出していたが地球からのしっぺ返しが来ることを考えていたのだろうか。
日本人は太古の昔から稲作をはじめとした農耕や漁などを通じて自然と関わりながら生活をしてきた。自然の恵みにあやかりながらも台風や日照り、地震、津波などの脅威に晒されていることで人々はこのような自然現象に神を感じている。また山や岩、大木、滝など自然物にも神を感じ祀っている。自然界や自然現象を司る神はその数と種類の多さから「八百万の神」として崇拝してきたのが日本人だ。
地球にやさしく持続可能な社会をつくろう、との音頭の元SDGsが盛り上がっているが「地球にやさしく」などと人間如きが大自然に対して痴がましいにもほどがある、というのが筆者の考えだ。大自然からエネルギーを吸い上げようなどと考えれば必ず祟りが起こるぞ。

 

 

日本はエネルギー資源がないため太陽光を利用した発電をシャープが60年前から始めたが電気変換効率が非常に低く実用的には計算機の電源になる程度であることは周知の事実である。筆者は太陽光発電用のシリコンインゴット製造を2008年にベトナムで始めたが2011年に製造を中止した。シリコンを溶解するための電力量とソーラーパネル加工費用のコストを計算すると1kwの電力を作るのに40円ほどがかかる。日本の火力発電は世界から比較すると高価であるが1kwの電気代は12円ほどに過ぎない。太陽光発電を推進するならばこの差額は納税者が負担することになる訳である。

米国のコンペティティブ・エンタープライズ研究所の今年7月のレポートでは、「太陽光発電や風力発電には補助金を出さなければ経済的に成り立たず、自然エネルギーは他のエネルギー源に対して不公平な立場にある[1]」と指摘している。また自然エネルギーは「人間の技術力の素晴らしさを示す一方で、気象の性質上、信頼できる安価なエネルギー源を提供することができない[1]。」気まぐれな天気によって発電するため安定電源にはならないのである。そして「ベースロード電力は温室効果ガスゼロの原子力発電にするべき[1]」と同レポートでは言っている。

前述のように日本はエネルギー資源がないため石油や天然ガスはほとんどを中東に依存しており長い道のりを経て日本までタンカー輸送しているのである。日本においては原子力発電をベースロードに考える必要がある。同研究所では「福島第一原発のメルトダウンは、地震ではなく津波によって(予備電源の水没により)引き起こされたものであり(その対策を行なっていればメルトダウンは起こらなかった)[1]。」と分析しており日本の原発の安全性を評価している。

「太陽光発電や風力発電への補助金は、原子力発電を市場から排除してきた。わが国の原子力発電能力を守るためには、補助金を止めなければならない。世界は常に天候や地質に左右されないエネルギー源を必要としており、原子力はゼロエミッションでベースロード需要を満たすことができる唯一の電源なのだ。[1]」と総括している。

温室効果ガス削減のために自然エネルギーを推進することは納税者への負担を増やす。気まぐれな天候に左右され結局は火力発電のバックアップを必要とする。この構図に経済的利用価値はないことに一刻も早く気が付くべきである。それよりも原子力発電技術を磨き、高速増殖炉を稼働させ核燃料のリサイクルによりクリーンで持続可能エネルギーを得ることこそ日本が今後エネルギー問題を解決する政策だと筆者は考える。日本はもの作りの国であり電力は不足することはあっても有り余ることはない。日本は資源がないため石油を言い値で購入する。日本が独自で真の持続可能エネルギーを得るならば、産油国とその利権を得ている諸国からの圧力も当然加わることだろう。その圧力に対抗するためには政治・経済・軍事のバランスの取れた富国強兵ニッポンが必要なのである。

(了)

 

[参考文献]

[1] Competitive Enterprise Institute July 5, 2021. Nuclear power vs. renewable subsidies

https://cei.org/blog/nuclear-power-v-renewable-subsidies/

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