2021.10.25
慰安婦はドイツ語ではどのように説明されるのか?
~ドイツ語ウイキペディア和訳の試み 目次と導入部~
2021/10/25 吉岡綾子
シュミット彩子
ドイツ語 目次*1) 「Trostfrau」
1 戦争指導者 (Teil der Kriegsführung)
2 勧誘・強要 (Anwerbung und Zwang)
3 女性の扱い (Behandlung der Frauen)
4 犠牲者 (Opfer)
5 終戦後 (Nach Kriegsende)
6 出遅れた、そして継続的な公開議論
(Spät beginnende, dann anhaltende öffentliche Debatte)
*1) https://de.wikipedia.org/wiki/Trostfrauen
(参考)
日本語 目次*2) 「日本における慰安婦」
1 概要
2 近代日本の公娼
3 日本軍慰安婦
3.1 呼称
3.2 慰安婦所創設経緯
3.3 慰安所
3.4 慰安婦の数
3.5 慰安婦の募集
3.6 現地への移動
3.7 慰安婦の収入
3.8 慰安婦の生活状況
3.9 日本の慰安婦問題
3.10 慰安婦の博物館
3.11 元慰安婦への支援
3.12 日本の慰安婦を中心に描いた作品
4 その他
*2) https://ja.wikipedia.org/wiki/日本の慰安婦
【解説】
従軍慰安婦問題は日本(と韓国)の問題だ。
従ってウイキペディアの解説も独日で大きくボリュームが異なるのは
肯首できる。
日本語のウイキペディアは慰安婦を広義にとらえ日本における
売春婦の歴史を語り、その中の一つのテーマとして
第3章で「いわゆる慰安婦問題」を大きく採り上げ説明している。
ドイツ語では量が少ないだけに、せめて質に期待がかかるところだが、1章、2章、3章と目次を見るだけでも、この問題が「強制連行」を
前提としたしつらえになっていることが読み取れる。
予備知識ゼロのドイツ人がこの目次を見れば自然に
日本軍の暴力的犯行がインプットされることになるだろう。
ドイツ語 導入部 和訳
「慰安婦」とは、第二次世界大戦中の日本の戦時売春宿で強制的に売春させられた少女や女性を指す婉曲的な言葉である。被害者の多くは、韓国や台湾をはじめ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、中国などの被占領地出身者である[1]。終戦までに多くの人が病気や拷問、飢えなどで亡くなった。戦争末期には数千人の慰安婦が殺害され、生き残ったのは約30%だった(サイト内の出典①)。
慰安婦」を記憶するプロセスが動き出したのは、1980年代後半のことである。この話題は、日本ではいまだに論争の的となっています。
サイト内の出典①:
渡辺和子:女性の身体の売買、昔と今。従軍「慰安婦」問題。
in: Women’s studies quarterly 27 (1999), New York, Seite 19-31, Anmerkungen Seite 20
(参考)日本語サイトの概要欄
「慰安」とは、一般に「心をなぐさめ、労をねぎらうこと。また、そのような事柄」「日頃の労をねぎらって楽しませること」を意味し、慰安婦とは「戦地で将兵の性の相手をする女性」という意味である。
国家による管理売春は公娼制度といい、慰安婦・慰安所も公娼制の一種と考えられている。軍人に対し売春を行っていた婦女は日本に限らず、米国、韓国、ドイツ、フランスなど多くの国で存在していた。
日本では慰安婦制度を作った軍と委託していた民間業者との関係性や制度の管理・運営、慰安婦たちの置かれた環境や境遇や報酬体制、また強制連行や強制性の有無、占領現地の軍政下の慰安所に於ける慰安婦の扱いなど多岐に渡って研究されている(日本の慰安婦問題を参照)。