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2023.03.18

「ツイッター文書」に学ぶ現代の情報収集のあり方

「ツイッター文書」に学ぶ現代の情報収集のあり方
 

2023/03/13 藤野 はるか

 
皆さんは「ツイッター文書(またはツイッターファイル)」をご存知だろうか。日本でこれについて発信しているジャーナリストはごくわずかで、しかもネット上に限られている。ツイッター社を買収したイーロン・マスク氏によるここ数年の言論統制の暴露情報であり、これまで「陰謀論」呼ばわりされてきた多くの世界情勢に論拠を与える貴重な証言であると言える。もちろん日本の大手メディアは完全無視を貫いている。今回、筆者はその一部についての邦訳を試みた。少しでも「ツイッター文書」の存在を世に知らしめたい、いかにソーシャルメディアによって言論弾圧が行われてきたのかを世に問いたい、その一念からの試みである。

「ツイッター文書」とは何なのか。英語版のウィキペディアでは以下のように解説されている。

「ツイッター文書」とは、ツイッター社の最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク、ジャーナリストのマット・タイビ、バリ・ワイス、リー・ファング、著述家のマイケル・シェレンバーガー、デイヴィッド・ツヴァイク、アレックス・ベレンソンが同社の内部文書を公開したものである。マスクがツイッター社を買収した2022年10月27日から間もない12月に公開が始まった。タイビとワイスがツイッター社の経営陣と連携して文書を入手し、その詳細はツイッターの一連のスレッドとして公表されている。
Twitter Files – Wikipedia

2023年1月末現在、第15回までの連載が投稿されており、扱われているテーマは、

(1)2020年11月の大統領選挙直前、ニューヨーク・ポストが報じた当時の大統領候補ジョー・バイデン(民主党)に圧倒的に不利になる息子ハンター・バイデンの遺棄されたノートパソコンにまつわる大スキャンダルについて、ツイッター社がその記事がツイッター上で拡散しないよう操作した件。
(2)ツイッター社がひそかに作成しているブラック・アカウント・リストについて。
(3)2021年1月6日の「国会議事堂襲撃事件」から前大統領ドナルド・トランプがツイッターから永久追放されるまでの詳しい経緯。
(4)ツイッター社がFBI、CIAをはじめとした政府情報機関の下請けとなって、ツイッター上で彼らの指示通りに検閲を行うに至った経緯。
(5)ツイッター上でのCovid-19(新型コロナウイルス)やワクチンに関するさまざまな言論を、誰の指示でどのように不正操作していたのかについて。

本来であれば、これらすべてについて網羅したいところだが、今回は私たち日本人にも影響が大きく及んでいた(5)について詳細に見ていきたい。このテーマはツイッター文書では、第10回、第13回、第15回で扱われている。

第10回:政権からの圧力によるツイートの検閲について(書き手:デイヴィッド・ツヴァイク)
https://twitter.com/davidzweig/status/1607378386338340867

【邦訳】アメリカ政府はツイッター社をはじめとしたSNSプラットフォーマーに対して、新型コロナウイルスに関する特定の内容がより拡散し、別の特定の内容が拡散しないようにするよう、圧力をかけた。トランプ政権下ではその目的は「パニック買い」防止だった(しかし「パニック買い」は止められなかった)が、バイデン政権になってからのツイッター社経営陣への要請は、アレックス・ベレンソンのようないわゆる「反ワクアカウント」への対応であった。
2021年夏、バイデン大統領が「SNS企業はワクチンデマを許すことで人々を殺している」と発言した数時間後にベレンソンのアカウントは停止され、翌月には追放された。ツイッター社内ではこのような検閲の是非についての議論が多く交わされたが、最終的にはホワイトハウスの正式な見解と異なる立場の多くの科学者、医師、専門家の意見は弾圧され、その結果、国民が議論する機会が失われた。
検閲はボットと呼ばれるAIおよびフィリピンなど海外の医学知識の全くない契約社員が行っていた。彼らは与えられたフローチャートに従って検閲作業を行っていたが、そのフローチャートは支配層の独善的な考えに傾倒したツイッター社の職位の高い社員の主観で決められていた。
その結果、たとえばマーティン・クルドルフ(ハーバード大学医学部の疫学者)の「ワクチンは感染リスクの高い高齢者や介護職員には必要だが、自然感染歴のある者や子どもには必要ない」というツイートや、Kelley K(公衆衛生ファクトチェッカー)が、「2021年9月から子どもの死因1位は新型コロナウイルスである」という事実に反するツイートにCDCのデータを引用した上で異議を唱えたツイート、医学者がすでに公表されている研究を「若年層(16歳から39歳)のワクチン接種と心停止には関連性がある」と改めて紹介しただけのツイートなどが、Misleading(判断を誤らせる)と認定され、リツイートしたり、「いいね」したり、コメントを書くことができなくなった。科学的根拠があり、海外では通用することであっても、アメリカ政府の意向に反する意見、具体的にはワクチンの危険性に言及したり、新型コロナウイルスのリスクを過小評価したりするようなツイートはことごとく検閲されたのである。

第13回:ファイザー社取締役のクレームに基づくツイートの検閲について(書き手:アレックス・ベレンソン)
https://twitter.com/AlexBerenson/status/1612814320777449474

第13回はアメリカ政府からも「反ワク」のレッテルを貼られていたジャーナリスト、アレックス・ベレンソン氏によるものである。日本では鳥集徹氏(医療ジャーナリスト)のような人物であると思えば分かりやすいだろう。
この回における主要人物はスコット・ゴットリープ博士である。彼は今年1月下旬に「プロジェクト・ヴェリタス」によって暴かれた「政府機関と製薬会社を回転ドア(revolving door)で行き来する」典型的な人物で、2021年当時ファイザー社の重役であると同時に、元FDA(米国食品医薬品局)長官、CNBCテレビ出資者の肩書を持っていた。

【邦訳】
2021年8月、彼はファイザー社のワクチンの売上に悪影響を与えそうなツイートを見つけた。それはかつてFDAで部下だった小児科医ブレット・ギロイルのもので、「新型コロナウイルスに感染して得た免疫はワクチンで得られる免疫よりも優れているため、アメリカ政府は自然獲得免疫を持っている人をワクチンの接種義務対象から外すべきだ」と述べていた。他方で、ギロイルはいわゆる「反ワク」ではなく、「自然獲得免疫を持っていない人は、積極的にワクチン接種するべきだ」とも述べていた。
新型コロナワクチンで810億米ドル(約100兆円)の売上を見込んでいるファイザー社から、年間365,000米ドル(約4,700万円)の報酬をもらっているゴットリープは、ツイッター社ワシントン支社のロビイスト、トッド・オボイルに連絡し、ギロイルのツイートに対する懸念を伝えた。オボイルはホワイトハウスにも顔が利く人物である。オボイルは、ゴットリーブの苦情を、社内の「戦略的対応チーム」、つまりツイッター社にとって最重要利害関係者の対応をするチームに転送した。しかしオボイルは「元FDA長官からのメールを見てくれ」とだけ伝え、ゴットリーブがファイザー社の利害関係者であることはあえて伝えなかった。「戦略的対応チーム」のアナリストはギロイルのツイートに規約違反はないと判断したが、最終的には当該ツイートはMisleading(判断を誤らせる)と認定され、ほかのツイッターユーザーからほとんど見ることができなくなった。
ゴットリーブとオボイルは、同じやり方で、学校閉鎖を伴うロックダウンや新型コロナワクチンに異議を唱えるツイートを発信していた作家、ジャスティン・ハートや、ベレンソン自身に対する言論弾圧を行ったのである。

第15回:製薬業界がSNS企業に圧力をかけて行ったワクチン政策のロビイングの実態(書き手:リー・ファング)
https://twitter.com/lhfang/status/1615008625575202818

ここまでの2つの回と比較すると、私たち一般国民からは少し離れた話になるが、ファイザー社とその業務提携先であるBioNTech社、モデルナ社が、新型コロナウイルスという世界的パンデミックに際して世界中が力を合わせて立ち向かうべきときに、自分たちだけで利益を独占するために政府にロビー活動をしていたことを暴露している。またそのロビー活動にツイッター社がどのように利用されていたのかが記されている。

【邦訳】
新型コロナウイルス・パンデミックを克服するためには、世界中の製薬会社や研究機関が一時的にでも特許競争を中断し、発展途上国に安価で先行薬と同じ効果のある薬剤やワクチンを供給する必要があった。しかし、世界的製薬メーカー(いわゆるビッグファーマ)は新型コロナ危機を自分たちの利益のために最大限活用しようと考え、ホワイトハウスに積極的にロビー活動を行い、特許で守られている技術の業界での共有や、発展途上国でのジェネリック医薬品の普及を最大限妨害した。具体的にはバイデン政権に対して、「自分たちの特許を侵害し、新型コロナウイルス予防・治療薬として安価なジェネリック医薬品を供給しようとする国を制裁するよう」求めたのである。
そのロビー活動はSNS企業に対しても行われた。大手製薬会社は、SNS企業に「安価なジェネリックワクチンを求める」趣旨の投稿をする一般ユーザーを検閲するように求めたのである。さらにバイオテクノロジー産業協会から、ツイッター社に1,275,000米ドル(約165,750,000円)が提供されていたことが最近発覚した。それは一般ユーザーを監視するためのボットの開発や、公衆衛生業界にいるユーザーたちを監視し、自分たちにとって望ましいツイートをするユーザーを「承認アカウント」の資格を与えるための費用であった。
バイオテクノロジー産業協会などから提供された資金で立ち上げられたプロジェクトは「ワクチンにはマイクロチップが入っている」「ワクチンが強制される」などのツイートに注目していた。ファイザー社、モデルナ社から提供された資金で立ち上げられたプロジェクトでは、ツイッター社に対して具体的なツイートを名指しして対応を求めるメールが多く送られていた。

・・・・・・

これも日本ではまったくと言っていいほど報道されていないが、ツイッター文書が公開されたことを受け、アメリカの議会では、イーロン・マスク氏によって解雇された旧経営陣たちが公聴会に呼ばれて、主に共和党議員から厳しい追及を受けている。数は少ないが、この詳細を伝えている海外情報YouTuberが存在する。参政党アドバイザーの我那覇真子氏のツイートでもこれを見ることができる。

(参考)我那覇氏が公聴会の動画に日本語字幕をつけたものを公開した投稿
https://twitter.com/ganaha_masako/status/1625135623618322432

新聞、テレビのようなオールドメディアに言論統制が敷かれていることは、気づいていた人もいるだろう。しかし今回、インターネット空間にもツイッター文書で暴露されたような言論統制があったことが明らかになった。そしてこのことを、日本のメディアはほとんど報じていない。

この事実から私たちは何を学ぶべきなのだろうか。ここからは筆者の私見を述べてみたい。

新聞、テレビは当然のこと、インターネット上でも、正しい情報はますます手に入りづらくなっていることを肝に銘じなければならない。私がテレビを見るのを完全にやめたのは、アメリカを始めとした欧米諸国が排除に動いたファーウェイ社のCMを見たときである。アメリカでは新型コロナウイルスの起源について中国の責任を問う声も上がってきた頃だったので、中国企業であるファーウェイ社の広告費に頼る日本のメディアにはもはや公正な報道は期待できないと感じたのだ。

2021年からはファイザー社のCMも流れているようだが、ファイザー社が日本のメディアにどれほどの広告費を払ってワクチン政策に介入しようとしているのかを視聴者は推して知るべしではないだろうか。日本のメディアの新型コロナ報道の信頼性は大丈夫なのだろうかと気付くべきだ。テレビも新聞も洗脳装置の役割を担っているのだと醒めた目で報道や広告と付き合っていかなければ、あまりにもやすやすと私たちは流されてしまう。ではインターネットでは正しい情報は手に入るのかというと、もちろんそんなことはない。ツイッター文書が暴いてくれた情報がそれを物語っている。ツイッター文書は、情報というものは受け手が自らの意志と努力と責任で選び取っていくものなのだということを私たちに教えてくれている。さらに、ここで紹介したツイッター文書の書き手3名のツイートを翻訳しながら気づいたことは、3名ともSubstackという定額制ニュースレターを開設していることである。日本でいうとFoomii(フーミー)のようなサービスである。海外では、もはや情報は待っているものではなく、自ら取捨選択してお金を払って得るものなのだということが浸透しつつあるのだ。

新型コロナワクチン接種後に家族を失った遺族は、「本当のことを知っていれば打たせなかった」と口々に言っている。極論を言うと、彼らはファイザー社がスポンサーになっているテレビだけを見ていると「本当のこと」からどんどん離れていく、と情報のあり方を問うているのである。

もうひとつは、逆説的だが、インターネット全盛の21世紀において、いや、インターネット全盛だからこそ、対面での情報交換の重要性が増しているということである。ツイッターのような文字情報、YouTubeのような動画情報でも、オンライン上にあるものは、新型コロナウイルスについて少しでも政府やビッグファーマの公式見解と異なればすぐに削除される。たとえば私たちが参政党の街頭演説をYouTubeで見ようと思っても、ほとんどの動画は無音箇所があり、肝心のところは聞けないようになっている。YouTubeではいくつもの「禁止ワード」がある。その言葉をYouTube上で流すといわゆるBAN(アカウント凍結、取り消しなどの罰則)という憂き目に遭う。YouTube等の動画をよく観る視聴者にとって、最近では当たり前になりつつあるこの現象だが、そもそもこういった現象はいつから始まったのだろうか。このような検閲が激しくなってきたのは、ついここ数年のことであり、これらの背景を物語る根拠こそが今回公開された「ツイッター文書」なのである。情報は管理され統制される。参政党の松田学代表と外部アドバイサーの井上正康医師の共著のタイトルにある『マスクを捨てよ、町へ出よう』という言葉が、いかに現在の息苦しさからの脱出を希求する表現であるかを物語っている。

現在の日本を取り巻く偽情報に翻弄されないための最終的な解決策は、ツイッターやフェイスブック、YouTubeのような海外のプラットフォームではなく、日本の国産の情報プラットフォームを持つことであろう。それを実現させる努力をする一方で、それを待っている間にも、私たちは何が自律的な情報収集であるのかについて賢明な判断を続けなくてはならない。

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