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2020.10.28

米国も実はツラい…
自衛の自助努力が急務

2020/10/28 伊達 善信

 

今年6月に発足したばかりの対中政策に関する列国議会連盟  (IPAC)が早速仕事に取り掛かっているようだ。9月22日のチベット亡命政府の発表に拠れば、同連盟に所属する63名の議員が、チベットでの強制労働の報告について中国を非難する共同声明を発表したという。チベット亡命政府はこの報告書が指摘する強制労働は、ウイグルで実施されているものと「非常に類似している」と分析する。チベットとウイグルで同様の人権侵害が行われているということは、地方行政の問題ではなく、中国共産党の体質もしくは政策に問題があるということであるから、中国を非難という対応は妥当であろう。なお同連盟所属議員の内、共同声明に署名した日本の国会議員は中谷元議員(自民)、山田宏議員(自民)、山尾志桜里議員(国民民主)の3名であった。山尾議員の最近の言動から推察するに、責任ある大人に成長しつつあるようだ。何歳になっても成長ができるのも人間らしさではないか。ぜひとも今後も注目して行きたい。

ところでこのような共同声明に反対したい向きの親中派議員諸先生方は、慎重な判断をすべきであろう。時代の移り変わりか、国際社会は今更ながら全体主義的国家による人権侵害に厳しい目を向ける風潮になって来た。アメリカの入管に相当する市民権・移民局(USCIS)は、10月2日に政策指針を発表し、共産党または他のいかなる全体主義政党(支部や関連団体を含む)にも所属したことがある人物の移民申請を受け付けないこととした。アメリカに行くことができないだけだと高を括るべきではない。日本にも全体主義政党が複数存在するが、そのような政治団体に企業献金などをしている会社に所属しているだけで不利な扱いを受ける可能性があるからだ。将来アメリカで仕事をすることになる可能性がある優秀な社員は今すぐ自社と政治団体との繋がりを確認するべきだ。労働組合なども例外ではないだろう。

そんな中、台湾で奇妙な動きがあった。RFIの中国語版が報じたところによると、国民党が10月6日、台湾立法院において、「政府は中共に抵抗するため我が国への協力を米国に要請」と「米国と国交回復」を求める、二つの議決案を検討事項の第一、二案として提出したところ、与野党で全会一致で可決された。聴くところによれば国民党の狙いは蔡英文政権より過激な主張をすることで、与党にこれに反対させて政局を有利に持ち込もうというものであったようであるが、そのまますんなりと可決されてしまうという珍事になってしまった。上記記事に台湾行政院長の蘇貞昌のコメントが掲載されているが、皮肉が効いている。「台湾は、米国と外交関係の樹立と断絶をしてきたが、すべて国民党がやってきた。今国民党はようやく良心を持った、それも良いことだ。」と述べたという。

図ってか図らずか、全会一致で中共対策をする事になった台湾と違って、アメリカの内情は複雑だ。現在大統領選の最中であるが、民主党の候補バイデン氏の息子、ハンター・バイデン氏はウクライナや中国で汚職に関与していた疑惑が深まっているからだ。蘋果日報台湾版はこの件について林俊良という台湾人商人が関与していたと報じている。台湾の情報網では、ハンター氏自身の疑惑はもはや確定的で共犯特定の段階に進んでいるようであり、興味深い。記事には「ハンター氏は父親が副大統領だった時代、少なくとも6回は中国を訪問しており、いずれも林氏が間に立って仲介していた事が分かった」とあり、その立役者の林氏の手法を「名門大学であるイェール大学管理修士の学歴とコネの力をテコに、ハンター、ボーグなどのアメリカ政治家二世に巧みに取り入」ったと紹介している。留学生として受け入れた学生が将来的にその学歴を悪用する場合に、学習した内容だけでなく人間関係を使うこともできるというのは非常に参考になる。日本で同様の事例がないか点検が必要だろう。万が一にもトランプ氏が大統領選で敗退するような事があった場合でも、中華マネーに染まった大統領に関係なく自力で国益を守ることができるのか。日本政府の対応に注目だ。

 

  1. Hunter Biden, Chairman of Rosemont Seneca Partners and World Food Program USA, at the Center for Strategic & International Studies in 2013. This file is licensed under the Creative Commons Attribution 3.0 Unported license
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