2023.09.05
テロリズムと移民
2023/8/28 山下 政治
2023年7月22日の令和臨調において国立社会保障・人口問題研究所は今後の日本における外国人の試算比率を発表した。
現在は外国人の比率は2%弱のおよそ300万人が日本で暮らしているが2070年には日本の総人口の12.5%に及ぶと調査発表があった。この比率はヨーロッパ各国の外国人比率並みとなるそうだ。
この席で岸田総理は外国人と共生していく社会をつくる方針を述べた。
「外国人を受け入れるためにこれからは外国人が暮らしやすい社会を作っていく」との事だ。
いろいろな考えや思いはあるが、日本はこれから外国人との共生を余儀なくされていくようだ。
そういう筆者は1993年より米国で生活しているので米国にとってみれば外国人だ。米国は移民国家なので元々のアメリカ人はインディアンだと定義付けるのが妥当かもしれない。その意味では米国民は元来、皆外国人なのだが今や米国籍を取得すればどこの人種であっても、もはや米国人なのである。
2023年8月22日にワシントンD.C.に本部を置く公共政策研究機構でアメリカの保守系シンクタンクであるCATO Instituteから「テロと移民 (Terrorism and Immigration)」と題したレポートが上がった。
このレポートでは1975年から2022年までの米国内で外国生まれのテロリストの分析をしている。
「1975年から2022年末までに米国内で3,046人を殺害した219人の外国生まれのテロリストを特定している。そのうち9人は不法移民、70人は合法的永住権保持者、22人は学生、1人はK-1婚約者ビザ、28人は難民、13人は亡命希望者、44人はさまざまなビザを持つ観光客、14人はビザ免除プログラム国出身者、1人は政府の業務または軍事訓練のためのA-2ビザ、1人は熟練した一時的外国人労働者のためのH-1Bビザで入国した。残りの16人のテロリストのビザは特定できなかった。」
以上のように外国生まれのテロリストはこの間米国に219人入国している。入国の際の入国方法は様々である。
そして「外国生まれのテロリストのイデオロギーは、外国人ナショナリズム、イスラム主義、左翼(共産主義、動物愛護、環境保護主義など)、動機が不明確な政治的暗殺、宗教(非イスラム主義)、右翼(インセル・イデオロギーのメンバーを含む)、さまざまな種類の分離主義、特定の宗教に対するもの(反ユダヤ、反イスラムなど)、不明またはその他のカテゴリーに分類されている。テロリストの出生時の国籍は出身国である。」
これはテロリストの動機が民族的、人種的、国家的、宗教的、その他の偏見に動機づけられた犯罪ではないということを意味している。このことがテロを特定することを非常に困難にしている。テロリストはテロリズムの下に動かされているのである。その根元であるテロリズムはどこから来るのかを見定めないと解決しない問題なのだ。
1975年から2020年の間に3,046人がテロにより殺害されているが、このうちの2,979人が2001年の9.11同時多発テロによる犠牲者である。即ち特質すべきテロである9.11世界貿易センタービル同時多発テロは統計的には異常値を示している。従って以下の表は9.11以前・以降に振り分けた外国人によるテロ殺害一覧である。
Chance of being killed in a terrorist attack by the nativity of the attacker, 1975–2022
Sources: See methodology section for detailed breakdown; “American Community Survey,” U.S. Census Bureau; and author’s estimates and calculations.
1975年から2001年9月11日までの間に、テロを未遂または実行に移した外国生まれのテロリストは28人であり殺人はわずか23件であった。2001年9月12日から2022年12月31日までは、合計9人の外国生まれのテロリストによって44人が米国内で殺害された。
9.11以前と以降を比較すると少数の外国人テロリストにより殺害者は増加している。
米国はとりわけ他国からのテロ攻撃を受けている。この情報がそのまま日本にも適用するのかといえば疑問だが冒頭に述べたとおり、日本も今後は否が応でも外国人を受け入れる国家となるのである。
日本におけるテロといえばオウム真理教の起こした地下鉄サリンテロが思い浮かぶ。これは日本国内でのテロで外国人によるものではない。ただ、北朝鮮による拉致もテロと言ってもいいのかも知れない。これをテロと位置づけするなら、外国人によるテロとなる。以上のように、以前から日本にもテロ事件はあったが、今回のCATO Instituteのレポートにあるように米国においてはテロと移民は密接な相関がある。日本の安全保障を考えれば今後は外国勢力からのテロも十分に可能性を秘めていると考えておいた方が賢明だと思う。レポートの冒頭では「外国生まれのテロリストが海外から侵入するのを阻止するために、エラー率の低い厳格な審査手続きによって、行政上の実質的なハードルと障壁が設けられている。賢明なテロ審査政策は、その存在を正当化するために、害よりも益をもたらすものでなければならない。」と指摘している。
日本は外国人を受け入れるためには入国審査等をより厳格にし身元の確認を徹底して日本国を安全に、外国人によるテロ行為は絶対に許してはならない。特定外国人からのテロ攻撃を受ければ日本の民意も当該外国人に対して敵意を向けざるを得なくなる。これがエスカレーションすれば内戦も起こらないとは限らない。
日本に移民する外国人も日本語を喋り、日の丸を掲げ、君が代を歌って地域のお祭りにも参加するように日本に溶け込んでほしいと思う。同時に日本人は外国人とも大調和しながら平和で健やかな日本をこれから千代に八千代に、いつまでも、と願いたい。
参考文献
CATO Institute August 22, 2023
https://www.cato.org/policy-analysis/terrorism-immigration
画像
Photo by S.Yamashita