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2023.12.19

取り返しのつかないダメージ:私たちの娘を誘惑するトランスジェンダーの狂気

取り返しのつかないダメージ:私たちの娘を誘惑するトランスジェンダーの狂気写真:アビゲイル・シュライヤー著”Irreversible Damage”電子版書籍の表紙
 

令和5年12月17日 藤野はるか

 
 筆者が2023年10月24日付の記事で紹介したロバート・ケネディ・ジュニア氏の著書は、投稿後『人類を裏切った男』という邦題で日本語での出版が確認された。執筆時に聞いていた噂が噂に過ぎなかったことに安堵した。
 
 しかし今回は噂ではなく事実である。著者であるアビゲイル・シュライヤー氏自身が、Xで投稿している。
 
「私の本の日本での出版社であるKADOKAWAの人たちはとてもいい人たちだ。しかし、私の著書『取り返しのつかないダメージ』への活動家たちの組織的な反対運動に屈することで、検閲勢力をつけあがらせてしまっている。
 アメリカは日本から学ぶべきことがたくさんあるが、我々は彼らに、自分は被害者だと泣き喚いて他人を攻撃する人たちとどう向き合うべきか教えてあげることができる。」


 というわけで、またもやアマゾンの電子書籍でこの本を購入した。前稿同様「まえがき」のみの紹介になるが、まず感じたことは、女風呂に女性を自認する生物学的男性が入ってきたことぐらいで大騒ぎしている日本は周回遅れなのではないだろうか、ということである。LGBT理解増進法が存在する我が国は、トランスジェンダー先進国、アメリカで今、何が起きているのかを知って次に備えるべきだ。それなのに、この本が日本語で読めないのは多くの意味で問題がある。
 
 アビゲイル・シュライヤー氏を「トランスフォビア(=トランス嫌い)ジャーナリスト」と紹介する向きもあるが、彼女の主張は論理的である。彼女が最初に異変を感じたのは2017年だった。「まえがき」にある彼女の主張を要約すると以下のようになる。
 
「2017年6月にカリフォルニア州で成立した、患者の要望した性区別のある代名詞を使うことを医療従事者に強制する法律は、合衆国憲法修正第1条違反である。なぜなら、1943年の『ウェストバージニア州教育委員会対バーネット』裁判において、最高裁判所は学生のアメリカ国旗に敬礼しない権利を支持したからだ。もし政府が学生に国旗への敬礼を強要できないのならば、医療従事者に特定の性別を持つ代名詞を口に出すことを強要することもできないはずだ。アメリカにおいて、政府は礼儀のためだとしても、人々に何かを言わせることはできないのだ。どんな理由があったとしても。」

(電子書籍版:XXVページ)

  
 シュライヤー氏はこの件について、「トランスジェンダー言語戦争」(原題:The Transgender Language War)というタイトルで、ウォール・ストリート・ジャーナル紙に寄稿した。この記事がきっかけとなり、「まえがき」の主要な登場人物であるルーシーの母親と出会うことになったのである。ルーシーは幼いころ、ヒールのついた靴を履き、フリルのついたドレスを着て、髪を長く伸ばし、ディズニーのお姫様映画が大好きで、お姫様に変装するためのグッズをたくさん持っているような、女の子らしい女の子だった。女友達と良い関係を築くことは苦手だったので、男の子といる方が気楽で、よく男の子とデートしていたという。しかし、大学生になって一人暮らしを始めたあと、丸刈りにし、男物の服を着て、両親の知らない男の名前を名乗り、トランスジェンダーを自認、主張するようになったのである。母親によると、ルーシーは「インターネットの助けによって自分の性を自認した」という。恐るべきことに、インターネット上には、どうやって胸のふくらみを抑えるかに始まり、医師にテストステロンをどうやって処方させるか、親が性転換を認めなかった場合にどう反撃するかにいたるまで、ありとあらゆることを指南してくれるトランスジェンダーの「先輩」が存在しているというのだ。
 
 では、トランスジェンダーとは客観的、科学的にどう定義されるのか。著者は以下のように述べている。
 
「性別違和感、-正式には『性同一性障害』として知られている-、は耐え難く、長く続く自らの生物学的な性別に対して感じる不快感が特徴である。一般的にこの症状は幼少期、-2歳から4歳ごろ-、に始まり、青年期への成長にともなって耐え難いものになっていく。しかし、たいていの場合、-およそ70%-、子供時代の性別違和感は解消する。歴史的に見て、これは極めて少ない人たち(全人口のおよそ0.01%)、そしてそのほとんどが男児に限られる、を苦しめてきた。事実、2012年以前は、性別違和感を患ったという11歳から21歳の女子についての科学的論文はひとつもない。この10年でこの状況が急激に変化した。西欧諸国で突然、性別違和感を訴え、自らを『トランスジェンダー』だと主張する若い女性が急増した。出まれながらの女子が性同一性障害を訴えることのみならず、それが過半数を超えているのは、医学史上、初めてのことである。」

(電子書籍版:XXVIIページ)

  
 確かにこの定義に鑑みると、日本で騒がれている女風呂に入る性自認が女性の生物学的男性の存在は、否定されるべきものではないとの一定の理解には至る。さりとてこれについては、日本のXでは「どうやって心が女だと確認するのか」という怒りの声が上がっているが、はからずもこれについての解決策もシュライヤー氏は述べてくれている。
 
「これらの若い女性たちについて執筆するにあたり、私は200近くのインタビューを行い、さらに50以上の彼女たちの家族とも話をしてきた。私は親の説明にも重きを置いている。なぜなら、伝統的に性別違和感とは、幼少期に始まり、自分の身体に対する『持続的で、執拗で、一貫性のある』不快感(子供が簡単に隠せるようなものではない)として、長期間にわたって見受けられるため、親は、青年期に見られる感情的な性別違和感が、幼少期に始まったものなのかを判断できる、最もよい立場にいるからである。」

(電子書籍版:XXVIIIページ)

 
 今後、増加する懸念がある女風呂、女子トイレ、女子スポーツへの生物学的男性の乱入騒動が裁判になる際には、当事者の親への成育状況についての聞き取り調査を必須として欲しい。「心の判断」の基準を緩やかにすれば、被害に遭うのは多数派の生物学的女性なのだから。
 
 シュライヤー氏のXには、彼女の次作『間違った治療:なぜ子供たちは成長できないのか?(筆者仮訳)』を紹介するページへのリンクがあった。この本は簡潔に言うと、子供たちを相手に多くの不適切な精神薬を処方する精神医療の闇を扱ったものである。本書同様、日本においても子供を持つ親が学べることは多くあるはずだ。
Please meet … BAD THERAPY: Why the Kids Aren’t Growing Up (thetruthfairy.info)
 
 アメリカで合衆国憲法修正第1条が守られていないのと同様、最近の日本でも、表現の自由を保障した日本国憲法第21条が事実上、まったく守られていないと感じるのは筆者だけだろうか。シュライヤー氏の本がまたもや日本で販売中止になる日に備えて、筆者は彼女の次作もアマゾンで購入しなければならないのだろうか。そんな日本にならないことを切に願っている。

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