東広島市に暮らす外国人市民が、1万人を超えました(2026年7月末現在、10,382人・総人口比5.43%)。およそ18人に1人が外国人市民ということになります。東広島市は、人口に占める外国人の割合が中国地方で最も高い自治体とされています。
大学と企業が集まるこの街の国際化は、地域の活力でもあります。しかし同時に、生活の現場では小さくない摩擦が生まれています。私はこの問題を考えるとき、「多文化共生」という言葉の中身を問い直す必要があると感じています。大切なのは、地域のルールを共通の土台として、ともに暮らしていくことではないでしょうか。そのために私が議会で提案しているのが、「和文化共生」という考え方です。
ある保護者からこんな相談を受けました。「先生が日本語の十分に話せない外国人の子どもへの対応に時間を取られてしまって、うちの子への目が届いていない」という内容です。先生を責めているのではありません。先生も精一杯やっています。ただ、日本語支援の体制が追いついていない中で、しわ寄せが子どもたちの教育環境に出ている現実があります。
また別の方からは、地域に暮らす外国人市民の生活マナーや地域ルールについて話そうとすると、「それは差別ではないか」と言われてしまう空気があるという相談を受けました。地域のルールについて率直に話せない空気がある限り、問題は見えないまま積み重なっていきます。それは日本人市民にとっても、外国人市民にとっても、良いことではありません。
私は学生時代に米国へ留学した経験があります。現地の人から「日本文化の素晴らしさは何ですか」「日本の歴史をどう考えていますか」と聞かれたとき、私はうまく答えられませんでした。日本人でありながら、自分の国の文化や歴史を自分の言葉で語れなかった。その悔しさが、今の私の政治家としての活動の原点の一つになっています。
一方で、これまで多くの外国人の方と出会ってきました。中には日本語を流暢に話し、日本のマナーや作法を丁寧に守り、「私は外国人ですが、和の文化が好きで日本にあこがれています。なによりも日本の伝統が大好きです」と日本をリスペクトする外国人の方にも出会ってきました。そういう方と話すとき、私は「真の共生社会とはこういうことだ」と感じます。

「多文化共生」という言葉は美しいですが、あらゆる文化をそのまま並べて全てに合わせようとすれば、いずれ限界が来ます。文化と文化の間に真反対の価値観がある場合、どちらに合わせればよいのか答えが出ません。
私が考える共生のイメージは、鍋料理ではなく幕の内弁当です。何もかも混ぜ合わせてしまうのではなく、それぞれが個性を保ちながら一つのお弁当箱の中で美しく収まっている。その「お弁当箱」にあたるのが、日本の文化・価値観だと思っています。
日本はもともと、受け入れることが得意な国です。神仏習合という言葉があるように、神道と仏教という異なる信仰を争うことなく日常の中に溶け込ませてきました。新年には神社に初詣に行き、お盆にはお仏壇に手を合わせる。そういう調和の文化が、日本には長い歴史の中で培われてきました。この「和の心」こそが、共生の土台になると私は考えています。
「和文化共生」とは、外国の文化を否定する考えではありません。日本の歴史、文化、地域の習慣、そして人と人との調和を大切にしながら、外国人市民にも東広島で安心して生活していただく。そのための共通の土台をつくる考え方です。同じ地域で生活する以上、国籍にかかわらず守らなければならない法律や生活上のルールがあります。「外国人だから特別扱いする」のでもなく、ただ日本の文化とルールを共通の土台として共に生きる。それが和文化共生です。
そのためにまず必要なのは、日本語を学べる環境の整備、ごみ出しや防災といった地域ルールをわかりやすく伝える仕組み、そして自治会や地域行事に参加しやすいきっかけづくりです。「違うから分かり合えない」で終わらせるのではなく、違いがあるからこそ、共通の土台となるルールをしっかり共有し、交流の場をつくる。それが地域に根ざした共生につながるはずです。

外国人市民が1万人を超えた東広島市は、これからの日本が直面する課題をすでに先取りしている都市でもあります。だから私は、この問題を「外国人問題」として対立的に捉えたくありません。日本人も外国人も、同じ東広島市で暮らす住民です。
どうすれば地域のルールを、共通の土台として共有できるのか。
どうすれば顔の見える関係をつくり、率直に話し合える場をつくれるのか。
どうすれば日本の文化を大切にしながら、異なる背景を持つ人々と共に暮らしていけるのか。
その答えを、地域の皆さんと一緒に考えていきたいと思っています。日本の文化を大切にすることと、外国の方々を尊重することは矛盾しません。東広島市から、そんな「和文化共生」のかたちをつくっていけるよう、これからも市民の声を聞き、議会で提案を続けてまいります。
山田 学
Yamada Manabu

所属議会
東広島市議会議員(広島県)
経歴
幼少期から活動していたバトントワリングで子供達と触れ合い、高校卒業後は教育を学ぶため渡米。大学卒業後に帰国しイベント関連事業で起業。県内企業に勤めネット通販事業部を立ち上げに関わった後、地元に戻りIT関連会社を設立。
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